【配当株】ノースロップ・グラマン(NOC)配当推移と将来性分析:予想配当利回り1.78%・配当性向33%・配当金2.06ドル
- 本稿では、注目の米国上場高配当株であるノースロップ・グラマン(NOC:予想配当利回り1.78%・配当性向33%・1株当たり配当金2.06ドル)の2025年4月22日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- ノースロップ・グラマンは、B-21爆撃機やミサイル防衛など幅広い事業を展開する米国バージニア州本社の航空宇宙・防衛大手であり、安定した収益基盤と高いROICを維持しています。
- 過去5年間で配当を年平均9%以上増配し続け、配当性向は33%と健全な水準で、今後も予想される安定成長によりインカム投資家にも魅力的な銘柄です。
- 最新決算では一時的にEPSが低下したものの、長期的には売上・利益ともに成長が見込まれており、流動性の高さや機関投資家からの厚い支持も同社の投資価値を支えています。
ノースロップ・グラマン(NOC)の概要
セクター:航空宇宙・防衛
現在の株価:473ドル
時価総額:681億1,000万ドル
過去5年間の配当成長率:9.20%
前回配当落ち日:2025年3月3日
前回配当支払い日:2025年3月19日
予想配当利回り:1.78%
過去5年間の売上高成長率:6.60%
過去10年間の売上高成長率:9.70%
関連用語
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ノースロップ・グラマン(NOC:予想配当利回り1.78%・配当性向33%・1株当たり配当金2.06ドル)は、バージニア州フォールズチャーチに本社を置く、航空宇宙・防衛分野における世界有数の多角的企業です。航空機の機体製造、無人機・有人機の開発、新型爆撃機「B-21」の製造、ミサイル防衛システムや通信・レーダーシステムの統合、さらに衛星・ロケットモーターの開発まで、幅広い事業を展開している点が大きな特徴です。
配当面では、過去5年間で平均9%以上の増配を継続しており、現在の予想配当利回りは約1.78%、配当性向は33%と持続可能な水準にあります。さらに、高い流動性と堅調な取引環境、機関投資家による厚い支持も魅力です。そのため、長期的な成長と安定的な配当収入を重視する投資家にとって、同社はバランスの取れた投資先といえます。
そして、同社は2025年4月22日に2025年第1四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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ノースロップ・グラマン(NOC)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して
ノースロップ・グラマン(NOC)は、2025年4月22日に発表された最新の2025年度第1四半期決算において、一時的要因を除いたEPS(EPS without NRI)を3.32ドルと報告しました。これは、前四半期の8.65ドルおよび前年同期の6.32ドルから大幅な減少となっています。
この減少は厳しい四半期環境を反映しており、1株当たり売上高も前四半期の73.29ドルから65.34ドルへと減少しました。
過去5年間において、同社の年率換算EPS(NRI除く)は年平均成長率(CAGR)-0.60%と低迷していますが、過去10年間のCAGRは9.50%と堅調であり、長期的には安定した成長を示しています。
当四半期の粗利益率は19.35%で、過去5年間の中央値である20.38%をやや下回っており、この利益率の低下と売上の軟化が収益性に影響を及ぼしました。
一方で、同社は安定した自社株買い戦略を継続しており、直近1年間の自社株買い比率は2.70%となっています。これは、過去1年間で発行済株式数の2.70%が買い戻されたことを意味しており、発行済株式数を減少させることでEPSを下支えし、利益減少による株価への影響を緩和する効果が期待されています。
今後については、アナリストは売上高の成長を予測しており、2025年、2026年、2027年の売上高はそれぞれ約421億8,000万ドル、441億7,000万ドル、463億1,000万ドルと見込まれています。
次回の決算発表は2025年7月25日に予定されており、2025年度および2026年度通期のEPSはそれぞれ26.53ドルおよび28.85ドルと予想されています。
この見通しは、今後10年間で防衛セクターが緩やかに拡大するとする業界予測に支えられた、徐々に回復し成長していく展望を示唆しています。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ノースロップ・グラマン(NOC)の財務パフォーマンスに関して
ノースロップ・グラマン(NOC)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、同社の資本配分および経済価値創造に関するパフォーマンスは良好です。同社のROICは、過去5年間の中央値が7.77%、現在の値が7.45%となっており、いずれもWACCを上回っています。WACCは過去5年間の中央値で5.06%、現在の値で3.69%です。このことは、同社のROICが一貫してWACCを上回っていることを示しており、効率的な資本配分と収益性の高い事業運営がなされていることを意味します。
また、自己資本利益率(ROE)も高く、過去5年間の中央値が32.88%、現在の値が25.23%となっており、同社が自己資本から高い利益を生み出す能力を持っていることをさらに裏付けています。これは、長期にわたり強固な財務パフォーマンスを維持していることを反映しています。 一部に変動は見られるものの、ROICは資本コストを上回り続けており、同社が投下資本を効果的に活用して経済価値を創出していることを示しています。
総じて、ROICとWACCの比較は、同社がプラスの経済価値を生み出しており、長期的な株主価値の向上に寄与していることを示しています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ノースロップ・グラマン(NOC)の配当に関して
ノースロップ・グラマン(NOC)は、安定した配当成長を実現しており、過去5年間の平均成長率は9.20%、直近3年間の成長率は9.30%となっています。この成長は、予想配当利回り1.78%という安定したパフォーマンスによって支えられています。
また、同社の配当性向は33.0%と適切な水準にあり、過去に一時的に約100%に達したこともある中で、現在は持続可能な範囲に収まっています。これは、財務負担を伴うことなく配当を維持、さらには増加させる十分な余力があることを示しています。
さらに、同社のEBITDA有利子負債倍率は2.46であり、リスクは中程度に分類されます。過度に高い水準ではないものの、同社は今後も負債水準の管理を意識する必要があります。ただし現時点では、財務健全性や配当方針に直ちに悪影響を及ぼす懸念は無いように見えます。
加えて、将来の配当成長率は7.31%と予測されており、直近の成長率平均よりやや低下する見通しですが、依然として堅調な成長が期待されています。
これらの点を踏まえると、同社の配当戦略は引き続き堅固であり、業界平均に沿った安定した成長が見込まれているように見えます。
予想配当利回り:1.78%
配当性向:33%
配当カバレッジ・レシオ:3.07倍
過去5年間の配当成長率: 9.20%
EBITDA有利子負債倍率:2.46倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ノースロップ・グラマン(NOC)のバリュエーションに関して
ノースロップ・グラマン(NOC)の現在の株価は473.2ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である517.16ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が8.5%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。
主要なバリュエーション指標を見ると、予想株価収益率(PER)は17.94であり、過去10年間の中央値17.91をわずかに上回っていますが、過去10年間の最高値である35.58を大きく下回っており、歴史的な高値と比較すると適正な水準にあると考えられます。
直近12か月(TTM)ベースのEV/EBITDA倍率は12.46で、過去10年間の中央値11.85をやや上回っているものの、10年最高値である20.38とは大きな差があり、若干のプレミアム評価ながら過度ではない状況です。
また、直近12か月ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(Price-to-Free-Cash-Flow)は39.5と、過去10年の中央値である25.66を大きく上回っており、キャッシュフローのバリュエーションに関しては懸念材料があることを示しています。
一方、直近12か月ベースの株価売上高倍率(PSR)は1.69で、過去10年間の中央値1.76をやや下回っており、売上高に対する評価は歴史的な基準に沿った妥当な水準であると見られます。
さらに、直近12か月ベースの株価純資産倍率(PBR)は4.55で、過去10年の中央値5.57を下回り、10年最低値4.01にも近い水準にあり、純資産価値に対しては割安感がある可能性を示唆しています。
以上より、株価フリーキャッシュフロー倍率のように一部の指標では割高感が見られるものの、全体的なバリュエーションは過去のレンジを踏まえるとバランスが取れているように見えます。ただし、キャッシュフロー関連の指標については引き続き注意が必要でしょう。
市場のアナリストの評価は慎重ながらも楽観的であり、現在の目標株価の平均値は542.98ドルに設定されています。これは数か月前から若干下方修正されていますが、依然として現在の株価を上回っており、上昇余地があることを示しています。ただし、近月の目標株価が減少傾向にある点は、市場センチメントの変化を示す潜在的な警告サインと捉えるべきでしょう。
総じて、同社は一定の安全余裕率を備えた魅力的な投資機会を提供しているものの、一部の指標については慎重な検討が求められるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ノースロップ・グラマン(NOC)のリスクとリターンに関して
ノースロップ・グラマン(NOC)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
同社は、いくつかの財務リスクに直面しています。その一例として、粗利益率が年平均2.4%のペースで低下している点が挙げられます。この収益性の低下は、5年間で営業利益率も年平均5.9%のペースで減少していることにより、コスト管理および業務効率における継続的な課題を浮き彫りにしています。
さらに、最近のインサイダー取引動向では、売却が10件報告されており、購入は確認されていません。これは、社内における将来見通しへの懸念を示唆している可能性があります。アルトマンのZスコアは2.79であり、企業が「グレーゾーン」に位置していることを示しており、中程度の財務的ストレスが存在しているものの、直ちに深刻なリスクがあるわけではないように見えます。
こうしたリスクにもかかわらず、同社にはいくつかのプラス要素も見られます。ベニッシュのMスコアは-2.57となっており、財務操作の可能性が低いことを示しており、財務諸表の信頼性に対して一定の安心感を与えています。また、株価純資産倍率(PBR)は過去10年間の最低水準に近づいており、株価売上高倍率(PSR)も過去3年間の最低水準に近いことから、バリュー投資家にとって魅力的な水準にあると考えられます。
加えて、同社は予測可能な売上高および利益成長を示しており、予想配当利回りも過去10年間の高水準に近づいているため、インカム重視の投資家にとっても魅力的な存在となっています。
総じて、いくつか懸念点は存在するものの、同社の基礎的な強みは、リスクとリターンのバランスが取れた投資対象であることを示しているように見えます。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ノースロップ・グラマン(NOC)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ノースロップ・グラマン(NOC)の過去1年間におけるインサイダー取引動向を見ると、明確な売却傾向が見られ、インサイダーによる購入は一切記録されていません。
直近3か月間だけでもインサイダーによる売却取引が10件実施され、過去12か月間では合計20件の売却取引が行われています。この一貫した売却パターンは、インサイダーが株価上昇を受けて利益確定を図った可能性や、流動性確保やポートフォリオの分散を目的として投資戦略を調整している可能性を示唆しています。
ただし、インサイダー保有比率は2.45%となっており、同社の取締役および経営陣による保有は比較的控えめな水準にとどまっています。これに対して、機関投資家は同社株式の82.62%を保有しており、同社の長期的な成長見通しに対する強い信頼と支援がうかがえます。
以上より、インサイダーによる売却は投資家に懸念を抱かせることもありますが、市場全体の状況やインサイダー個人の資金ニーズといった他の要因も考慮することが重要です。機関投資家による高い保有比率は、同社の業績や戦略的方向性に対する継続的な信頼を示す要素となり得るでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ノースロップ・グラマン(NOC)の流動性に関して
ノースロップ・グラマン(NOC)の流動性および取引分析においては、堅調な取引環境が示されています。直近営業日の1日あたりの取引量は1,328,244株となっており、同社に対する投資家の強い関心がうかがえます。過去2か月間の平均1日あたり取引量1,239,856株と比較すると、現在の取引量は7.14%増加しており、市場活動の活発化および投資家の信頼感の高まりを示唆しています。
また、同社のダークプール・インデックス(DPI)は66.55%となっており、取引の大部分が公開取引所ではなくダークプールで行われていることを示しています。この高いDPI比率は、機関投資家が同社株の取引を積極的に行っている可能性を示し、大口市場参加者の強気なセンチメントを示唆していると考えられます。
総じて、取引量の増加と高いDPI比率は、同社が強い流動性を有していることを示しています。このような環境では、取引が円滑に行われ、株価への影響が最小限に抑えられるため、個人投資家および機関投資家の双方にとってメリットがあります。 さらに、高い流動性は価格変動に対する耐性も示唆しており、安定性と信頼性のある市場パフォーマンスを求める投資家にとって、同社は魅力的な投資対象となっています。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
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