ソフトランディングは実現するのか?市場を待ち受ける「巨大な減速帯」の正体


過去4ヶ月間の市場の動きは驚異的で、S&P 500は先週も連日上昇し、6,400ポイントに迫りました。週末には大統領が、EU(欧州連合)が米国への全輸出品に対して15%の関税を課すことに合意し、さらなる市場開放と設備投資を約束したと発表するなど、貿易交渉にも進展が見られました。S&P 500構成企業のうち、アナリスト予想を上回る決算を発表した企業の割合は、過去の平均を上回る80%という高い水準で推移しています。
同時に、労働市場、インフレ、経済成長といった主要な経済指標は、トランプ大統領が貿易政策を打ち出したわずか4ヶ月前に私を含めたエコノミストや市場ストラテジストが抱いていたコンセンサスよりも、安心感のある経済状況を示しています。これにより、景気の軟着陸、いわゆるソフトランディング(景気を後退させることなくインフレを抑制すること)は順調に進んでいるように見えます。しかし、その先には巨大な「スピードバンプ(減速帯)」が待ち構えています。

(出所:Edward Jones)
投資家たちが歴史的に見ても割高な水準で株価を買い上げ続けている理由は、関税や貿易政策が経済に悪影響を与えている兆候が全く見られないからだと私は考えています。その一方で、今後の貿易の形が明確になったにもかかわらず、市場がこれほどまでに油断している(complacent)ことに私は困惑しています。輸入品に対する実効税率は、今年初めの2.4%から8月までには20%以上に、実に10倍近くも上昇する見込みです。
投資家たちは、「これまで貿易政策による悪影響が現実化してこなかったからといって、今後もそうであるとは限らない」という事実を認識していないのではないでしょうか。いずれにせよ、市場のボラティリティ(変動率)は消え失せ、クレジット・スプレッド(国債と社債の利回り差で、企業の信用リスクを示す指標)は縮小し、金融環境は緩和され、SNSで話題になった銘柄が急騰するミーム株ブームの再燃まで見られます。

(出典:Bloomberg)
FRB(連邦準備制度理事会)の短期金利が依然として景気抑制的な領域にあることを考えれば、金融環境が最近これほどまでに緩和していることには驚きました。実際、現在の金融環境は、FRBが金融引き締めを開始した2022年当時よりも緩くなっているのです。この事実が多くのことを説
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