株価最高値に潜む罠。FRBの利下げ、その「理由」次第で市場は一変する

- 楽観に沸く株式市場
S&P 500が最高値を更新。市場はFRBによる年内3回の利下げを好感し、経済は強いまま金融緩和が進むという楽観的なシナリオを織り込んでいます。 - 潜むリスクの本質
しかし筆者は、利下げの理由こそが重要だと警鐘を鳴らします。景気の軟着陸ではなく、急激な景気悪化が利下げを促すなら、それは悪い兆候です。 - 揺らぐ経済シナリオ
当初のソフトランディング予想は、貿易政策の影響で崩れつつあります。経済成長は鈍化し、インフレ再燃の兆しさえ見え、市場の楽観論は揺らいでいます。 - 真の持続性への提言
筆者は安易な利下げよりも、経済の強さを信じて金利を据え置くことこそが、株式市場の持続的な上昇につながる道だと結論付けています。
株価最高値の裏にあるFRBの利下げ期待という名の懸念
S&P 500が昨日、再び過去最高値を更新したという良いニュースがありました。しかしその裏で、FRB(米連邦準備制度理事会)が年末までにより積極的な利下げに踏み切るだろうという期待が、この株価上昇を後押ししたという悪いニュースもあります。もし投資家が2025年中に3回の利下げが行われることを市場にとって良いニュースだと考えているなら、なぜFRBがそれほど急いで利下げをする必要があるのか、再考すべきです。
利下げが行われる「理由」は、利下げが「実施されるかどうか」や「いつ実施されるか」よりもはるかに重要です。今回の場合、利下げの理由は、私が2022年夏から予測してきたディスインフレーション(インフレ率の鈍化)の傾向が経済をソフトランディング(軟着陸)させたから、ではないかもしれません。そうではなく、経済が予想以上に深刻な後退局面に入ったから、という可能性が考えられます。
【用語解説】
S&P 500: スタンダード・アンド・プアーズ500種株価指数の略。米国の主要企業500社の株価を基にした、市場全体の動向を示す代表的な指標です。
FRB (Federal Reserve): アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会。金融政策を決定し、物価の安定と雇用の最大化を目指します。
ソフトランディング(軟着陸): 金融引き締めによって景気の過熱を抑えつつも、景気後退(リセッション)は回避し、安定成長へ移行させること。
歴史的に見て、景気悪化を理由とした利下げは、株式市場にとって良い前例ではありません。

(出典:Finviz)
矛盾する政府高官の発言と市場の楽観論
にもかかわらず、S&P 500が過去最高値を記録した一因は、ベッセント財務長官がFRB関係者に対し、「次回の会合で金利を50ベーシスポイント(0.5%)引き下げるべきだ」とジョーボーニング(口先介入)とも取れる発言をしたことにあります。彼はまた、「もし前回の会合時点で雇用市場の悪化を知っていれば、FRBは利下げに踏み切っていただろう」「金利は現在より150〜175ベーシスポイント(1.5%〜1.75%)低くあるべきだ」とも述べました。
しかし、その一方で彼は政権の他のメンバーと同様に、「最近の雇用統計はひどく不正確で、経済と労働市場がいかに好調であるかを誤って伝えている」とも主張し
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