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09 - 07 - 2024

強気
CVSヘルス
強気
特に低いPBRと大きな安全マージンの組み合わせにより、CVSヘルスは本質的価値に対して割安であるように見え、ヘルスケアセクターでの投資機会を探している投資家にとって魅力的な選択肢となる可能性があります。
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CVSヘルス(CVS)の将来性:予想配当利回り4.58%の高配当株の最新決算は堅調も割安?今後の株価見通しに迫る!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、CVSヘルス(CVS:予想配当利回り4.58%・配当性向27%・1株当たり配当金0.665ドル)の最新の2024年度第2四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • CVSヘルスは米国の大手ヘルスケア企業で、薬局チェーンや医療保険事業を展開し、安定した収益基盤を持ち、最近ではOak Street Healthを買収し、予防医療分野を強化しています。
  • 同社は予想配当利回り4.58%と魅力的な配当水準を提供しており、配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な選択肢と評価されています。
  • 一方で、最新の2024年第2四半期決算では、EPSと売上高はいずれも成長を示すも、粗利益率が低下しており、コスト圧力が懸念される状況にあります。

CVSヘルス(CVS)の概要


レーティング:強気

バリュエーション:割安

リスクレベル:中リスク


セクター:ヘルスケア

現在の株価:58ドル

時価総額:730.5億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:103ドル

安全マージン:43.62%

過去5年間の配当成長率:3.60%

前回配当落ち日2024年7月22日

前回配当支払い日2024年8月1日

予想配当利回り:4.58%

過去5年間の売上高成長率:8.00%

過去10年間の売上高成長率:9.30%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の内在価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、内在価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

CVSヘルス(CVS予想配当利回り4.58%・配当性向27%・1株当たり配当金0.665ドル)は、幅広いヘルスケアサービスを提供する大手企業であり、米国を中心に展開しています。同社は、小売薬局業務を基盤に成長しており、現在、全米で9,000店舗以上の薬局を運営しています。これにより、地域住民に対して日常的な薬の処方や健康関連商品を提供し、消費者との強固な関係を築いています。また、同社はCaremarkの買収を通じて、薬局福利管理(PBM)市場に進出し、年間約20億件の処方請求を処理する規模に成長しました。この事業は、医薬品の調達やコスト管理において重要な役割を果たし、同社の収益基盤を強化しています。

さらに、CVSヘルスはAetnaを買収し、約2,600万人の医療保険加入者を持つトップクラスの健康保険会社を運営しています。この垂直統合により、顧客の薬局サービスから保険サービスまで一貫したサポートを提供し、総合的なヘルスケアエコシステムを構築しています。最近では、Oak Street Healthを買収し、プライマリケアサービスも事業に加えました。これにより、予防医療や早期診断の提供が強化され、同社の既存事業との相乗効果が期待されています。

CVSヘルスは、ヘルスケア業界全体で重要なポジションを占めており、安定したキャッシュフローを生み出すことで、株主への配当支払いも継続的に行っています。予想配当利回りも魅力的で、配当収入重視のインカム投資家にとって信頼できる選択肢として評価されています。

そして、同社は2024年8月7日に2024年第2四半期決算を発表しています。


CVSヘルス(CVS)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して

CVSヘルス(CVSは、2024630日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPSEPS without NRI)は1.41ドル(前四半期:0.88ドル / 前年同期:1.77ドル)、希薄化後のEPS1.41ドル(前四半期:0.88ドル / 前年同期:1.48ドル)、また、1株当たり売上高は72.47ドル(前四半期:69.80ドル / 前年同期:69.09ドル)と、EPSはいずれも前四半期比では上昇も、前年同期比では減少という着地となっており、1株当たり売上高は前四半期比、並びに、前年同期比、共に上昇という着地となっております。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は13.80%で、過去10年間の年平均成長率は6.70%となっており、中長期的に継続して成長を実現しているものの、特に足元の成長が加速していることが分かります

ただし、粗利益率は14.70%と過去10年間で最低水準となっており、コスト圧力がある可能性を示唆しています。

そして、これは、過去5年間の中央値である17.73%、および、過去10年間の中央値である17.11%を下回っています。

また、自社株買いに関しては、1年間の自社株買い比率が2.00%とプラスで、EPSの増加を図る最近の取り組みを示していますが、過去5年間の自社株買い比率は-0.10%とわずかにマイナスです。

しかし、市場のアナリスト予想を見てみると、市場のアナリストは同社に対して依然として楽観的で、2024年末の予想ベースの非経常損益項目を除くベースでのEPSは6.54ドル(調整前EPS:4.74ドル)で、2025年末では7.32ドル(調整前EPS:5.7ドル)、2026年末までにEPSが8.23ドル(調整前EPS:6.84ドル)に達すると予想しています。

さらに、今後、同社業界の成長予測によると、今後10年間で年間4〜5%の穏やかな成長が見込まれています。

以上より、CVSヘルスに対する市場のアナリストのEPS予測では、戦略的な取り組みや効率改善への注力に支えられ、安定した成長が期待されています。

ただし、長期的な利益を維持するためには、利益率の安定を確保することが重要となるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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CVSヘルス(CVS)の財務パフォーマンスに関して

CVSヘルス(CVS)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

まず、過去5年間の同社のROICの中央値は6.11%となっており、これはWACCの中央値である4.70%を上回っています。

つまり、同社は資本コストよりも高いリターンを生み出し、経済的価値を創出していることが示されています。

また、下記のチャートからも分かる通り、現在のROICは4.84%で、過去の中央値より若干低いものの、現在のWACCの4.30%という水準を依然として上回っており、引き続き経済的な価値を生み出している状況です。

ROICがWACCを上回り続けていることは、資本の効率的な活用や適切な経営判断が出来ていることをを示しており、株主価値の向上に貢献していると言えます。

ROICとWACCは歴史的に変動はあるものの、ROICが一貫してWACCを超えていることからも、同社の経済的価値を生み出す能力に対しては、前向きな見通しを持つことが出来るでしょう。

以上より、CVSヘルスの財務戦略は、長期的に株主の利益を最大化するという目標と一致しており、資本配分と経営の効率性が高いことを示しています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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CVSヘルス(CVS)の配当に関して

CVSヘルス(CVS)は、過去数年間において適度な配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は3.60%である一方で、過去3年間の成長率はやや高く6.60%となっています。

最近では、四半期配当を1株あたり0.605ドルから0.665ドルに引き上げ、株主への価値還元を継続していることを反映しています。

さらに、予想配当利回りは4.58%で、ヘルスケアセクターの予想配当利回りは通常これより低いことが多いため、同社の予想配当利回りは際立っているように見えます。

また、下記のチャートからも分かる通り、配当性向は41.0%で、特に過去10年間に100%を超える配当性向を示していた時期と比べると、現在では配当を維持または増加させる余地が十分にあることが分かります。

しかし、同社のEBITDA有利子負債倍率は4.92倍で、財務リスクが高まっている可能性を示唆しています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

そのため、この水準は、リスクの目安とされる4倍を超えており、もし財務状況が悪化した場合、債務返済に課題が生じる可能性があります。

それにもかかわらず、今後3〜5年間の配当成長率は4.56%と予想され、慎重ながらも配当の増加に対する楽観的な見方が示されています。

まとめると、CVSヘルスの予想配当利回りと配当成長率は魅力的ですが、高い債務レバレッジには注意が必要と言えるでしょう。

予想配当利回り4.58%

配当性向:41%

配当カバレッジ・レシオ2.21

過去5年間の配当成長率3.60%

EBITDA有利子負債倍率:4.92倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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CVSヘルス(CVS)のバリュエーションに関して

CVSヘルス(CVSの現在の株価は58.07ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である103ドルよりも低い水準にあり、43.62%の安全マージンがあることから、同社の現在の株価は割安である可能性を示しています。

また、TTM(直近過去12ヶ月)の実績ベースのPERは10.33倍で、過去10年間の中央値である16.59倍を大きく下回っており、割安の可能性を示唆しています。

さらに、予想ベースのPERは7.91倍で、今後の利益成長が期待されていることを示しています。

過去のPERは9.11倍から41.87倍の範囲で推移しており、現在のバリュエーションはこの範囲の低い方に位置しているため、バリュー投資家にとって魅力的かもしれません。

加えて、TTM(直近過去12ヶ月)の実績ベースのEV/EBITDA倍率は8.35倍で、過去10年の中央値である10.89倍を下回っているものの、最低値の7.25倍を上回る水準となっています。

これは、EV/EBITDA倍率の観点からは、歴史的に最も魅力的なバリュエーション水準ではないものの、依然として低いバリュエーションを受けていることを示しています。

また、PBRは0.97倍で、過去10年の最低値である0.94倍に近く、資産価値に基づいた場合に割安性が見られます。

一方、TTM(直近過去12ヶ月)の実績ベースの株価売上高倍率は0.21倍で、過去最低値に近く、割安さを強化しているように見えます。

同社に対する市場のアナリストのバリュエーションや目標株価は過去数ヶ月でやや低下しており、最新の目標株価は63.95ドルで、3ヶ月前の67.02ドルから下がっていますが、現在の株価よりは高い水準であり、依然としてポジティブな見通しが示されています。

以上より、特に低いPBRと大きな安全マージンの組み合わせにより、CVSヘルスは本質的価値に対して割安であるように見え、ヘルスケアセクターでの投資機会を探している投資家にとって魅力的な選択肢となる可能性があります。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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CVSヘルス(CVS)のリスクとリターンに関して

CVSヘルス(CVSのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まずマイナス面では、財務指標においては顕著なプレッシャーを受けており、過去5年間で売上総利益率が年平均-1.4%のペースで減少し、営業利益率も年平均-3%のペースで低下しています。

これらの減少は、業務効率の低下や競争圧力の増加が利益率に影響を与えている可能性を示しています。

アルトマンのZスコアは2.15で、同社は中程度の財務ストレスを抱えているものの、倒産リスクが高いわけではありません。

一方プラス面では、ピオトロスキーのFスコアは7と高く、強固な財務健全性を示しており、良好な業績を期待できる状態にあると言えます。

さらに、ベニッシュのMスコアは-2.25で、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示しています。

加えて、バリュエーション指標に目を向けると、同社の株価は株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)、株価売上高倍率(PSR)ともに歴史的な低水準に近づいており、割安感があります。

さらに、予想配当利回りも4.58%と10年ぶりの高水準にあり、配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的なリターンが期待できる状況です。

以上より、財務面での一部懸念はあるものの、CVSヘルスの強固な財務指標と魅力的なバリュエーションは、投資の妙味があると考えられますが、上述の経営上のリスクには注意が必要と言えるでしょう。


関連用語解説

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の内在価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


CVSヘルス(CVS)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

CVSヘルス(CVS)のインサイダー取引分析によると、過去1年間の同社内部関係者による同社株式の売買は限定的となっています。

この12ヶ月間では、インサイダーによる同社株式の買い付けが3件、そして、売却が1件のみとなっており、わずかながらもインサイダーからの同社の今後の株価見通しに対してポジティブなセンチメントが見受けられます。

特に過去6ヶ月間では、同社株式の買い付けが2件確認されている一方で、売却は一切なく、同社の将来に対する一定の自信を示しているようにも見えます。

しかし、直近の3ヶ月間にはインサイダーによる同社株式の取引が一切行われておらず、同社に対して慎重な見通しや、インサイダーにとって明確な購入・売却の機会・理由がなかった可能性を示唆しています。

一方で、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.44%と低く、取締役や経営陣が同社株式を比較的少量しか保有していないため、戦略的決定に与える影響力が小さいことがわかります。

一方で、機関投資家による同社株式の保有比率は81.69%と非常に高く、大規模なプロの金融機関が強い関心と支配力を持っていることを示しています。

このため、インサイダーの行動よりもプロの機関投資家の影響力が同社の戦略に大きく反映される可能性が高いようにも見えます。

以上より、全体として、CVSヘルスのインサイダーと機関投資家の取引分析においては、慎重ながらも楽観的な見方が示されていますが、特に、プロの機関投資家による影響が顕著であるように見えます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


CVSヘルス(CVS)の流動性に関して

CVSヘルス(CVSの流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は6,995,380株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は8,888,313株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は40.4%となっており、取引活動の約半分がダークプールで行われていることを示しています。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。

しかし、DPIの割合が高いことは、取引の多くが公開市場で行われていないことを意味するため、価格変動を評価する際には、ダークプールでの取引が供給と需要の動態に目に見えない影響を与える可能性があることに留意すべきでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介

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イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。

以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。


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