ナスダック100とS&P500の両方よりも魅力的?史上最高値更新のS&P500イコール・ウェイトETF(RSP)に注目!
ローレンス・ フラー- 本稿では、米国経済がソフトランディング目前である理由と、ナスダック100とS&P500の両方よりも、史上最高値を更新するインベスコのS&P500イコール・ウェイトETF(RSP)が魅力的である理由を詳しく解説していきます。
- 米国株式市場はハイテク株からディフェンシブセクターへの資金移動により、過去18か月で最悪の週を迎えましたが、ソフトランディングの可能性は依然として高いと見ています。
- 雇用増加数はパンデミック前の平均を下回っていますが、経済成長は続いており、失業率の上昇は新規労働力の参入によるものです。
- S&P 500は7月の史上最高値を超えていませんが、イコールウェイト型のS&P 500は5営業日前に史上最高値を更新し、50日移動平均線を上回っています。
米国経済はソフトランディング目前?インベスコのS&P500イコール・ウェイトETF(RSP)に注目!
S&P 500を中心に、米国株式市場は過去18か月で最悪の週を迎えました。
割高なハイテク株から、ディフェンシブで金利に敏感なセクターへの急激な資金移動が市場心理に悪影響を与えたためです。
テクノロジー株の調整は、金融政策の転換点と重なり、経済成長を抑制しようとする意図がますます明確になっています。
市場の投資家が、弱気派による悲観的な見方に引き込まれてしまうのも理解できますが、依然として経済がソフトランディングし、強気相場が続くことを示す数字は揃っているように見えます。
そのため、私としては、最近のハイテク株の混乱を弱気相場と混同するべきではないと見ています。
(出所:Edward Jones)
繰り返しお伝えしますが、ソフトランディングは難しいものです。
これは、インフレ率を抑えるための経済データの弱まりと、将来の成長を促し経済活動の縮小を回避するためのタイミングの良い金融緩和が必要だからです。
今やインフレの懸念は過去の話となり、市場が乗り越えなければならないのは、経済成長の減速懸念です。
しかし、経済指標が再び良い方向にサプライズを見せるまでは、この懸念が続くでしょう。
ただし、良いニュースとしては、今月からの利下げに加え、エネルギー価格の低下や住宅ローン金利の下落が見込まれていること、実質賃金が上昇し続けている消費者の存在、そしてS&P 500のテクノロジー分野を除く利益が年末にかけて順調に成長すると期待されている点が挙げられます。
(出所:Bloomberg)
労働統計局は毎月の雇用統計発表の際に、過去2か月分のデータを修正しますが、過去21か月間でその修正は15回にわたって下方修正されてきました。
悲観的な人々は、これが景気後退が差し迫っている証拠だと主張していますが、景気サイクルの転換点では上方修正と下方修正が行われるのが通常です。
私の考えでは、過去1年間の修正は経済成長のペースが鈍化していることを示しているのであって、景気後退寸前というわけではないと考えています。
(出所:Mish Talk)
過去3か月間の月間雇用増加数は、パンデミック前の平均を下回り、現在では11万6,000人となっていますが、これは依然として経済成長を示しています。
ただし、成長率は2%のトレンドを下回っています。
さらに、失業率の上昇は主に新規労働力の参入によるもので、製造業を除けば企業による解雇が原因ではありません。
製造業はサービス業に比べて規模が小さいため、全体への影響は限定的です。
週次の失業保険申請件数や継続申請件数は、歴史的に見ても依然として低い水準にあります。
(出所:US Bureau of Labor Statistics)
ただし、経済活動を示すより優れた先行指標は消費者支出です。
なぜなら、消費者支出が雇用の創出に与える影響が、新しい雇用が全体の消費者支出に与える影響よりも大きいからです。
パンデミック後にサービス業への支出が急増したという特殊な状況を考慮し、小売売上高にはあまり重点を置いていません。
なぜなら、小売売上高は主に商品の取引に偏っているためです。
その代わり、私はすべての支出カテゴリーを含む月次の個人支出報告を、経済の健全性を判断する主要な指標としてきました。
そして、7月のデータでは、前年同月比でインフレ調整後の増加率が2.7%であり、これは2%の長期的な成長トレンドに一致する堅調な成長です。
(出所:U.S. Bureau of Economic Analysis)
もし経済が悪化する兆しがあるなら、それは企業の経営陣が発表する見通しや、アナリストによる利益予測に反映されるはずです。
しかし、現状ではそのような動きは見られません。
利益予測が四半期の初めから終わりにかけて下方修正されるのはよくあることで、市場のアナリストは短期的な予測を過大評価しがちです。
FactSetによれば、過去20年間で四半期の最初の2か月間における利益予測の平均修正率は2.3%から3%の範囲でした。
そして、今四半期の7月と8月の修正率は2.8%で、これは過去の平均とほぼ同じ水準です。
(出所:FactSet)
ここ数か月の市場で見られるのは、資金のローテーションであり、これは今後も続くと予想されます。
2年前に始まった長期的なトレンドの逆転と誤解してはいけません。
大型テクノロジー株が中心のS&P 500(SPY)は7月の史上最高値を超えられていない一方で、平均的な銘柄は順調に上昇しています。
(出所:StockCharts)
そのため、イコールウェイト型のS&P 500(RSP)は5営業日前に史上最高値を更新し、最近の下落幅もS&P 500やナスダック100より小さくなっています。
そして、実際に、この指数は上昇中の50日移動平均線を依然として上回っています。
(出所:StockCharts)
2024年9月第2週の経済カレンダー
9月のFRB会合前に発表される重要な経済指標は、水曜日の消費者物価指数(CPI)です。
しかし、インフレはもはや主要な焦点ではなく、この報告はFRBが短期金利の引き下げを開始できることを確認する程度のものになるでしょう。
今週の米国主要経済指標とFRB関係者の発言
※TIME欄のET(アメリカ東部時間)は、現在、日本時間マイナス13時間となっております。
(出所:MarketWatch)
アナリスト紹介:ローレンス・フラー
ローレンス・フラー氏は、1993年にメリルリンチ証券でファイナンシャル・コンサルタントとしてキャリアをスタートしました。その後、ファースト・ユニオン・ブローカレッジ、モルガン・スタンレー証券、INGグループで同職を務め、30年以上にわたり個人投資家顧客の投資ポートフォリオを管理してきました。
その後、2005年には長期的な目標であったFuller Asset Management LLCを設立し、独立を果たしました。さらに、2013年より米国金融ニュースサイトSeeking Alphaにて、米国投資家に対してマクロ経済・投資リサーチの提供を開始しており、現在では14,000人以上のフォロワーを獲得しております。
フラー氏は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校を卒業し、政治学の学士号を取得しております。
また、フラー氏のその他の米国マクロ経済関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、フラー氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
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