red and blue cargo ship on body of water during daytime
09 - 20 - 2024

やや強気
SFL コーポレーション
やや強気
SFLコーポレーション(SFL)の現在の株価は11.21ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である14.12ドルよりも低い水準にあり、20.61%の安全余裕率(マージン)があることから、同社の現在の株価は割安である可能性を示しています。
すべて表示
SFLコーポレーション(SFL)の将来性:配当利回り9%で配当金0.27ドル!業績も好調!今後の株価見通しに迫る!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、SFLコーポレーション(SFL:予想配当利回り9.63%・配当性向100%・1株当たり配当金0.27ドル)の最新の2024年度第2四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • SFLコーポレーションは、運輸セクターで船舶所有やチャーター事業を展開し、9.63%の高い予想配当利回りが魅力で、インカム投資家にとって注目されています。 
  • 最新の2024年度第2四半期決算では、業績は好調でEPSが前年同期より改善されましたが、長期的な成長には依然として課題があり、配当支払いの持続性にはリスクが見られます。
  • 財務面では、ROEが高く、株主資本の効果的な活用が期待される一方で、EBITDA有利子負債倍率が高く、今後の配当持続性に懸念があるのも事実です。

SFLコーポレーション(SFL)の概要


レーティング:やや強気

バリュエーション:やや割安

リスクレベル:中リスク


セクター:運輸

現在の株価:11ドル

時価総額:16億3,000万ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:14.12ドル

安全余裕率(マージン):20.61%

過去5年間の配当成長率:-10.00%

前回配当落ち日:2024年9月11日

次回配当支払い日:2024年9月27日

予想配当利回り:9.63%

過去5年間の売上高成長率:9.40%

過去10年間の売上高成長率:5.60%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の内在価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、内在価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

SFLコーポレーション(SFL予想配当利回り9.63%・配当性向100%・1株当たり配当金0.27ドル)は、国際的な船舶所有およびチャーター事業を展開する企業で、船舶や海洋関連資産の所有・運営に注力しています。

同社は、原油タンカー、化学品タンカー、石油製品タンカーなど、全てが二重船殻構造の高い安全性を持つ船舶を保有しており、海上輸送分野での強みを発揮しています。

さらに、船舶のチャーター、購入、売却にも関与し、柔軟なビジネスモデルを展開していることが特徴です。

同社は、安定した配当支払いを続けており、予想配当利回りも9.63%と高水準にあることから、配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的な投資対象となっています。

また、財務的には堅実なキャッシュフローを確保しており、これが投資家にとっての安心材料となっています。

加えて、最近の買収活動を通じて、事業の多角化と規模の拡大を進めており、成長ポテンシャルが高い点も投資家にとって注目すべきポイントです。

そして、同社は2024年8月14日に2024年第2四半期決算を発表しています。


SFLコーポレーション(SFL)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して

SFLコーポレーション(SFLは、2024630日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPSEPS without NRIを0.158ドルと報告しました。

これは前四半期の0.363ドルから減少していますが、2023年第2四半期の0.088ドルからは大幅に増加しています。

希薄化後のEPSも同様に、今四半期は0.16ドルで、前四半期の0.36ドルや前年同期の0.13ドルから変動が見られます。

1株当たりの売上高は、前四半期の1.795ドルから今四半期は1.478ドルに減少しましたが、前年同期の1.249ドルよりは改善しています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-0.60%で、過去10年間の年平均成長率は-4.80%となっており、中長期的に成長に課題があることが示されています。

また、同社の粗利益率は35.23%で、過去5年間の中央値である37.22%を下回り、過去10年の最高値である50.87%からも大きく低下しています。

この粗利益率の低下は、コスト上昇や価格戦略の難しさを反映していると考えられます。

一方で、自社株式の買い戻しはほとんど行われておらず、過去1年間の自社株買い比率は0.20%で、発行済株式の0.20%が買い戻されたことを表しています。

過去10年間の自社株買い比率は-4.50%で、新規に発行された株式数が、自社株買いにより買い戻された株式数を上回り、EPSが希薄化していた可能性があります。

ただし、上述の通り、足元の自社株式の買い戻しにより、発行済株式数が減少し、EPSのわずかな改善が期待されます。

今後の見通しとして、市場のアナリストは来年度の同社のEPSを0.858ドル、その次の年度には0.705ドルと予測しています。

また、業界全体では、今後10年間の年平均成長率が約3%と見込まれており、緩やかな成長が期待されています。

そして、同社の次回の決算発表は2024年11月8日に予定されており、今後の財務状況や市場動向についてさらに詳細な情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


SFLコーポレーション(SFL)の財務パフォーマンスに関して

SFLコーポレーション(SFL)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。

まず、足元のROICは6.15%で、現在のWACCである6.18%をわずかに下回っており、経済的価値の創出においてほぼ損益分岐点にあることが分かります。

さらに、過去5年間の中央値を見ると、ROICは4.82%でWACCの5.86%を下回っており、同社は過去においても経済的価値を創出するのに苦戦していたことが示唆されています。

一方で、ROEは12.13%とWACCを大幅に上回っており、株主資本を効果的に活用してリターンを生み出していることが分かります。

そのため、ROICとWACCの差は小さいものの、ROEが高いことは将来的な価値創出の可能性を示しています。

総合的に見ると、ROICとWACCの比較では経済的価値の創出はほぼ均衡していますが、ROEがプラスであることから、経営陣が自己資本をうまく活用しており、今後の価値創出につながる可能性があるように見えます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


SFLコーポレーション(SFL)の配当に関して

SFLコーポレーション(SFL)は安定した配当支払いを維持しており、最近では1株当たりの配当が四半期毎に0.26ドルから0.27ドルへと増加しています。

しかし、過去5年間の配当成長率は-10.00%、過去3年間のの配当成長率も-1.00%となっており、配当成長率が減少していることがわかります。

一方で、現在の予想配当利回りは9.63%と非常に魅力的であり、業界内でも高配当銘柄としての地位を築いております。

しかし、同社のEBITDA有利子負債倍率は6.41倍と高く、一般的な許容範囲である4倍を大きく超えており、財務リスクが高いことが示されています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

そのため、この水準は、リスクの目安とされる4倍を大きく超えており、もし財務状況がさらに悪化した場合、債務返済に課題が生じる可能性があります。

そして、この高い負債比率は、将来的に配当支払いの持続性に悪影響を及ぼす可能性があります。

加えて、配当性向は100%と著しく高く、足元では利益のすべてが配当支払いに回されている状況で、過去10年間の中央値である101.36%とほぼ一致しています。

今後3〜5年間のの配当成長率の予想は5.82%とされており、財務状況が改善すれば将来的に増配の可能性が期待されています。

なお、直近の配当落ち日は2024年9月11日で、四半期毎の配当支払いが行われているため、次の配当落ち日は2024年12月11日と予測されています。

予想配当利回り9.63%

配当性向100%

配当カバレッジ・レシオ0.98

過去5年間の配当成長率-10.00%

EBITDA有利子負債倍率6.41

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当金とは?配当金の詳細と仕組みを徹底解説!

配当株投資のメリットとリスクとは?

インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!

50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


SFLコーポレーション(SFL)のバリュエーションに関して

SFLコーポレーション(SFLの現在の株価は11.21ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である14.12ドルよりも低い水準にあり、20.61%の安全余裕率(マージン)があることから、同社の現在の株価は割安である可能性を示しています。

また、直近過去12ヶ月の実績ベースのPERは11.21倍となっており、過去10年間の中央値である11.80倍をわずかに下回っており、実績ベースのPERを基準とした場合、歴史的水準と比較しても妥当なバリュエーションであるように見えます。

さらに、直近過去12ヶ月の実績ベースの株価売上高倍率は1.76倍となっており、過去10年間の中央値である3.28倍を大幅に下回っており、売上高に対する割安感が見られます。

加えて、直近過去12ヶ月の実績ベースのEV/EBITDA倍率は9.77倍で、過去10年間の中央値10.85倍を下回っており、EBITDAに対するバリュエーションも妥当な範囲にあると言えます。

一方で、直近過去12ヶ月の実績ベースのPBRは1.49倍で、過去10年間の中央値である1.23倍を上回っているため、純資産に対して若干割高な評価がなされていますが、それでも合理的な範囲内に収まっていると言えます。

ただし、市場のアナリストの評価は一貫しており、足元の目標株価の平均は14.17ドルで、慎重ながらも楽観的な見通しが示されています。

総合的に見ると、SFLコーポレーションは安全余裕率も十分にあり、魅力的な投資機会を提供しているものの、一部のバリュエーション指標や市場環境に対するリスクには注意する必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!

PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!

PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!

株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


SFLコーポレーション(SFL)のリスクとリターンに関して

SFLコーポレーション(SFLのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まず、同社の長期負債は過去3年間で新たに3億5155万9千ドル増加しており、今後のキャッシュフローや財務の柔軟性に負担を与える可能性があります。

また、粗利益率と営業利益率がそれぞれ年率2.3%、1.8%減少しており、収益性の維持が難しくなっていることが示唆されています。

さらに、配当性向が100%と非常に高いため、今後の配当支払いの持続性についても懸念があるように見えます。

一方で、ピオトロスキーのFスコアが7という高スコアを記録しており、財務的な健全性や運営効率が高いことが示されています。

また、ベニッシュのMスコアは-2.65であることからも、同社が利益操作を行っている可能性は低いとされています。

さらに、PBRは1.49倍で、株価売上高倍率(PSR)は1.76倍となっており、歴史的な低水準にあることから、割安な投資先として注目される可能性があります。

加えて、現在の予想配当利回りは過去1年間の最高水準に近く、配当収入重視のインカム投資家にとっては魅力的な投資対象と映るかもしれません。

全体的に見ると、SFLコーポレーションは大きなリスクを抱えつつも、一部の財務的な強みや割安感もあり、投資判断は一長一短と言えるでしょう。


関連用語解説

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の内在価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


SFLコーポレーション(SFL)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

SFLコーポレーション(SFL)のインサイダー取引データを見ると、過去3ヶ月間、6ヶ月間、12ヶ月間のいずれの期間でもインサイダーによる同社株式の売買は報告されていません。

このインサイダー取引の欠如はいくつかの理由が考えられます。

例えば、同社の業績が安定しているため、インサイダーが特に行動を起こす必要がないのか、或いは、規制の影響で取引が制限されている可能性があります。

また、インサイダーが同社の株式を増やす意欲や信頼性を欠いていることを示唆しているかもしれません。

注目すべき点として、インサイダーによる同社株式の保有比率が0%であるため、同社の取締役や経営陣が同社株式を一切保有していないことがわかります。

これにより、同社の経営陣と株主の利益が一致しているかどうかについて疑問が生じる可能性があります。

一方で、機関投資家の同社株式の保有比率は32.14%であり、機関投資家から一定の信頼と関与が示されていると言えるでしょう。

全体的に、インサイダー取引がほとんどないことから、経営陣の同社に対する関与や将来の展望に対する信頼について、さらに調査すると良いでしょう。


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


SFLコーポレーション(SFL)の流動性に関して

SFLコーポレーション(SFLの流動性に関しては、直近営業日の一日の出来高は683,504株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は1,372,661株となっており、足元の出来高が大きく減少していることを示唆しています。

出来高の減少は、流動性に懸念を抱かせる要因となり、大口の売買があった場合に価格が大きく変動し、ボラティリティが増す可能性があります。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は23.53%で、50%を下回っており、これは従来の取引所に比べてダークプールなどの非公開市場での取引が少ないことを示しています。

この低いDPI指数は、非公開市場での取引活動が少なく、同社株式の流動性や価格の発見に影響を与える可能性があることを示唆しています。

全体として、足元の取引量の減少と低めのDPI指数は、同社株式の現在の流動性が低い状況を反映しています。

SFLコーポレーションへの新規投資や売却を検討している投資家は、特に出来高が少ない期間においては、価格変動のリスクや取引コストに注意を払うべきでしょう。

そのため、現在は、市場の流動性に対する課題を考慮した戦略が必要とされるタイミングと言えるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介

イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。

以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


直近の配当関連銘柄レポート

1. エマソン・エレクトリック(EMR:配当王・予想配当利回り2%・配当性向40%)決算後株価下落で割安?今後の株価見通しと将来性に迫る!

2. ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS:予想配当利回り5%・配当金1.63ドル)の今後の株価見通しと将来性に迫る!

インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら

Yiazou.com

※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください。