やや強気アップルアップル(AAPL)株式よりも社債の方が魅力的?今後の株価と債券の見通しを徹底分析!

- アップル(AAPL)は米国企業だが、その収益と資本構造は非常にグローバルである。
- 私は、米国企業が外貨建て債券を発行していれば、より私のポートフォリオにフィットするのではないかと考えるようになった。
- アップルの場合、同社の米ドル建て、英ポンド建て、ユーロ建ての債券は、同社の株式よりも魅力的だと考えている。
私が世界最高の、最もグローバルな、最も収益性の高い企業に焦点を当てるのであれば(厳密には米国企業ではあるが)、避けることの出来ない銘柄のひとつが、世界最大のアップル社(AAPL)である。
同社はもちろん、S&P500(SPY/ VOO)、ナスダック100(QQQ)、そしてMSCIワールド(URTH)やFTSEオールワールド(VT)といったグローバル・ベンチマークの上位構成銘柄である。
私がインドにいたとき、自問自答し続けたことのひとつは、(オランダ)東インド会社のような、つまり、当時、多くの政府の財政をも凌駕するほど強力だった大規模な多国籍企業の、今日における最良の類似点は何かということだった。
そして、アップルは、同様の類似点を保持しているように見える。
というのも、AAPLの時価総額2.6兆ドルはフランスのGDPとほぼ同じ規模であり、ロシア、カナダ、ブラジル、イタリア、オーストラリアのGDPを上回っているからである。
また、同社は、米国からの収益が半分以下であり、私が思いつくほとんどの国の都市でトップブランドであることから、「十分に国際的である」という私の基準にも合格している。
私は、最近、債券を見る機会が増えたが、ある企業がどれだけグローバルな企業であるかを見るには、その企業が何種類の通貨で債券を発行しているかを見るのが良いのではないかと思っている。
アップルの場合、Interactive Brokersで5つの異なる通貨で債券を見ることができる。
それは、米ドル建て、ユーロ建て、英ポンド建て、豪ドル建て、カナダドル建てである。
その大部分は米ドル建てであるが、同社の財務部門は、異なる通貨で借り入れを行う能力を持っており、その多くの借り入れが、低い金利と通貨リスクの分散を提供するものであることは喜ばしいことである。
最も長い満期の米ドル債は2062年満期の利率4.1%の債券であり、現在73.25前後で取引されており、利回りは約5.85%であり、30年物米国債(US30Y)より年率約0.8%高い。
私が1月に質問したように、今日アップル株の購入を検討している人は、同社株から、今後7年間、年平均5.85%のリターンを得られるかどうかを検討する必要がある。
そして、同時に、この同社債券を、今後40年間の投資における基準として見なすことができるかどうかも検討する必要がある。
同社株式の配当利回りは0.6%未満であるため、成長+利回りの組み合わせが5.85%の固定利回りを上回るためには、同社株は今後40年間、年率5%以上の成長率を維持する必要があることを意味する。
そして、私が考える最大のリスクは、デフォルト・リスクや金利上昇よりもインフレ・リスクである。
同社の債券を他の通貨で見てみると、豪ドル建て、カナダドル建てで見ている価格は個人的には信用できないというのが本音である。
しかし、英ポンド建て債券は5.4%の利回りで2番目に魅力的に見える。
私は長期的にGBPUSDペアに対して弱気(ポンドがドルに対して下落すると予想)なので、この英ポンド建て債券は、主にポンド建てで収入を必要とする人に適していると思っている。
ポンド建て債券は、アップルにとって、ボンドの下落に伴い、負債総額を切り下げられる可能性のある負債を持つための方法だと私は見ている。
一方で、ユーロ建てでは、アップルの2031年満期の債券のクーポンはわずか0.5%である。
したがって、ユーロの長期金利が非常に低かった頃に同社が行った優れた資金調達の判断の一例と言えそうである。
この債券は、現在、79円前後で取引されており、利回りは約3.5%である。
したがって、ユーロ建て債券は、同社がドル建て債券よりも、200ベーシス・ポイント(2%)ほど低いコストで、遥かに多くの資金を調達できる可能性がある通貨であることを示している。
以上で述べたことは、アップルが借りることができる全ての異なる金利を見るための、ややテクニカルな方法のように見えるかもしれない。
しかし、なぜ私が、同社を自身のポートフォリオに入れるに値するかという問いに対して考えるとすれば、それは同社の収益構造と債券における資金調達構造が非常にグローバルだからである。
私は、現時点では、同社株は所有・購入するには割高であると見ていることから、上記の点は非常に重要である。
その為、現時点では、私は同社の株式ではなく、同社の債券の一つである、ドル建ての2062年満期の債券を購入しようと考えている。
また、その他のアップル(AAPL)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アップルのページにアクセスしていただければと思います。
アナリスト紹介:タリク・ デニソン
📍インカム・高配当株担当
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