10/19/2024

中立
アボットラボラトリーズ
中立
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の現在の株価は119.39ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である106.4ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-12.21%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。
アボット・ラボラトリーズ(ABT)の将来性:配当金は0.55ドルで最新決算は堅調!配当王の今後の株価見通しに迫る!

white and purple labeled boxイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、アボット・ラボラトリーズ(ABT:予想配当利回り1.86%・配当性向48%・1株当たり配当金0.55ドル)の2024年10月16日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • アボット・ラボラトリーズは、強力な財務基盤と配当戦略を持つ医療機器・医薬品メーカーであり、過去52年間連続して増配している米国株配当王です。
  • 同社の2024年第3四半期決算では、非経常損益項目を除くベースでのEPSが前年同期から増加し、売上高も成長しているが、粗利益率にはやや圧力がかかっていることが示唆されています。
  • 同社は今後も売上成長と収益性が期待されており、市場アナリストはポジティブな見通しを示していますが、現在の株価は割高であり、バリュー投資家にとっては慎重な姿勢が求められるかもしれません。

アボット・ラボラトリーズ(ABT)の概要


レーティング:中立

バリュエーション:適正価格

リスクレベル:低リスク


セクター:医療機器

現在の株価:119ドル

時価総額:2077.3億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:106.4ドル

安全余裕率(マージン):-12.2%

過去5年間の配当成長率:13.30%

前回配当落ち日:2024年10月15日

次回配当支払い日:2024年11月15日

予想配当利回り:1.86%

過去5年間の売上高成長率:7.70%

過去10年間の売上高成長率:7.60%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

アボット・ラボラトリーズ(ABT予想配当利回り1.86%・配当性向48%・1株当たり配当金0.55ドル)は、米国イリノイ州シカゴ郊外に本社を構える、グローバルに展開する医療機器・医薬品メーカーです。

1888年に設立され、診断、医療機器、栄養製品、ジェネリック医薬品など、幅広いヘルスケアソリューションを提供しています。

特に、同社の診断装置や心血管関連デバイスは市場で高く評価されており、先進技術を活用した製品開発に強みがあります。

また、売上の約60%が米国外での事業から得られている点は、同社の国際的なプレゼンスを物語っています。

財務面では、同社は堅調な成長を続けており、2024年の予想売上高は419億ドルに達する見込みです。

安定した売上成長と強固なキャッシュフローを誇り、特に配当支払いに力を入れており、過去52年間連続して増配を実施していることから、米国株配当王の一角を担っています。

さらに継続して自社株買いも実施していることからも、増配と合わせて株主還元に力を入れていることが分かります。

直近では、医療機器企業Alereの買収により、診断ビジネスをさらに強化しています。

そして、同社は2024年10月16日に2024年第3四半期決算を発表しています。

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アボット・ラボラトリーズ(ABT)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して

アボット・ラボラトリーズ(ABT)の2024年10月16日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは1.14ドルを記録し、前四半期と同水準を維持しつつ、前年同期の1.08ドルから増加しました。

希薄化後のEPSは0.74ドルで、前四半期の0.70ドルをやや上回り、前年同期の0.78ドルに対しては少し低めの着地となっています。

1株当たりの売上高は5.926ドルで、前四半期の5.695ドルから増加しました。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は24.70%で、過去10年間の年平均成長率は18.70%となっており、この力強い成長は、業界が抱える課題にもかかわらず、同社が長期にわたり優れた業績を維持していることを示しています。

また、今四半期の粗利益率は55.24%で、過去5年の中央値である56.65%をわずかに下回り、過去10年間の最高値である58.53%にも届いてはいないことからも、収益性にやや圧力がかかっていることを示唆している可能性があります。

さらに、昨年、同社は発行済み株式を0.30%削減しており、このことが厳しい市場環境の中でもEPSの成長に貢献しています。

加えて、過去5年間の自社株買い比率は0.30%で、戦略的な買い戻しが株主価値を高める一因となっていることが伺えます。

今後の見通しについては、市場のアナリストは2024年の売上高が419億5034万ドルに達し、2026年には482億9451万ドルに成長すると予測しており、イノベーションと市場拡大が期待されていることから、前向きな見通しが示されています。

そして、2025年度のEPS予想は3.412ドル、2026年度は3.964ドルまで伸びる見込みです。

次の決算発表は2025年1月24日に予定されており、今後の業績や戦略的な取り組みに関するより詳細な情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アボット・ラボラトリーズ(ABT)の財務パフォーマンスに関して

アボット・ラボラトリーズ(ABT)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。

同社は、資本を効率的に活用し、経済的な価値を創出する企業としての実績を示しているように見えます。

過去5年間のROICの中央値は10.63%で、過去5年間のWACCの中央値である6.16%を上回っており、投資資本に対して資本コスト以上のリターンを生み出していることがわかります。

現在のROICも10.37%で、足元のWACCの8.50%を上回っており、引き続き資本を効果的に活用していることが示されています。

また、ROEも14.52%となっており、資本を効率的に活用していることを示しており、同社の強力な財務パフォーマンスを裏付けています。

ROICとWACCの間には変動があるものの、ROICが一貫してWACCを上回っていることは、アボット・ラボラトリーズが長期にわたって経済的な価値を創出できる財務効率の高い企業であることを証明しています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アボット・ラボラトリーズ(ABT)の配当に関して

下記のチャートからも分かる通り、アボット・ラボラトリーズ(ABT)は安定した配当成長を維持しており、過去5年間の配当成長率は13.30%、直近過去3年間では12.30%となっています。

最新の四半期でも、1株あたりの配当を0.55ドルに据え置き、市場の変動にかかわらず安定した配当を維持しています。

さらに、同社は52年間連続で増配しており、米国株配当王の一角を担っています。

配当王に関心のある方は、インベストリンゴのプラットフォーム上で、下記のレポートを是非ご覧ください。

【投資コラム】配当王とは?50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

予想配当利回りは1.86%で、過去10年間の中央値である1.78%をわずかに上回り、歴史的な平均と比較して安定したリターンを提供しています。

また、EBITDA有利子負債倍率は1.42倍と低く、財務的なレバレッジが抑えられており、債務返済能力も高いことを示しています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

加えて、現在の配当性向は48.0%で、過去の高い水準よりかなり低く、将来的な配当増加の余地が十分にあるように見えます。

市場のアナリストの予測では、今後3〜5年の配当成長率は7.58%とされていますが、最近の成長率よりは低いものの、引き続き健全な成長が見込まれています。

同社の配当は年4回支払われ、次の権利落ち日は2025年1月15日と予想されています。

総じて、アボット・ラボラトリーズは強固な財務基盤と安定した配当戦略を持ち、配当収入を重視するインカム投資家にとって引き続き魅力的な選択肢となっています。

予想配当利回り:1.86%

配当性向:48%

配当カバレッジ・レシオ:1.52倍

過去5年間の配当成長率:13.30%

EBITDA有利子負債倍率:1.42倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アボット・ラボラトリーズ(ABT)のバリュエーションに関して

アボット・ラボラトリーズ(ABTの現在の株価は119.39ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である106.4ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-12.21%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

また、EV/EBITDA倍率の直近の水準は22.78倍で、過去10年間の中央値である19.70倍を上回っており、企業価値が過去の水準よりも高く評価されていることを示しています。

加えて、PBRは5.28倍で、過去10年の中央値である4.60倍を上回っており、過去のバリュエーションと比較して現在の株価が高めに評価されている可能性があります。

さらに、株価フリー・キャッシュフロー倍率も36.93倍で、過去10年間の中央値である29.62倍を超えており、株価に対するフリーキャッシュフローの効率性が低下していることがわかります。

一方で、予想PERは23.21で、直近過去12カ月の実績ベースのPERの36.29倍と比較してかなり低く、今後の収益成長が期待されていることを示しています。

ただし、これらの数値は過去10年間の中央値である36.15倍とほぼ一致しており、長期的には安定した評価がされていることがわかります。

そして、市場のアナリストは依然として同社に対して楽観的で、目標株価の平均値は129.55ドルとされており、ここ数カ月で徐々に引き上げられていることから、今後のパフォーマンスに対する信頼感が示されています。

ただし、現在の株価水準は弊社算出の一株当たり本質的価値を上回っていることからも、バリュー投資家にとっては慎重な姿勢が求められるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アボット・ラボラトリーズ(ABT)のリスクとリターンに関して

アボット・ラボラトリーズ(ABTのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まず、ポジティブな面では、同社は強力な財務状況を持ち、ピオトロスキーのFスコアが8と高く、財務の安定性と収益性が確認されています。

また、営業利益率の改善はコスト管理が進んでいることを示しており、将来的な収益向上が期待されます。

さらに、ベニッシュのMスコアは-2.56で、利益操作のリスクが低いことが示されており、アルトマンのZスコアの5.45も破綻リスクが低いことを示しているため、財務の安定性が強調されています。

しかし、リスクも無視できません。

粗利益率は年間平均で-1.2%減少しており、長期的に収益性を維持するための課題が見受けられます。

また、最近の141,706株のインサイダーによる同社株式の売却は、内部の関係者が今後の同社の株価見通しに懸念を持っている可能性を示唆している一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていません。

さらに、株価売上高倍率(PSR)が過去2年間の高水準に近づいており、特に過去1年間の収益成長の鈍化を考慮すると、株価が過大評価されている可能性があります。

これらの要素を踏まえ、アボット・ラボラトリーズへの投資を検討する際には、ポジティブな財務指標と潜在的なリスクの両方を慎重に評価することが重要でしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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アボット・ラボラトリーズ(ABT)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

アボット・ラボラトリーズ(ABT)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、取締役や経営陣による売却が目立ちます。

直近12カ月間で14件のインサイダーによる同社株式の売却が確認された一方で、買い付けは一切ありませんでした。

また、過去6カ月間では4件、直近3カ月では2件の売却が確認されています。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.87%で、同社内部の関係者が比較的小さな持分しか保有していないことがわかります。

この低い保有比率は、インサイダーの利益と株主の利益があまり一致していない可能性を示唆しています。

一方、プロの機関投資家の保有率は76.29%と非常に高く、同社株式に対する機関投資家の強い信頼を示しています。

全体として、インサイダーの売却トレンドは、短期的な見通しに対する内部の不安感を示唆しているかもしれませんが、プロの機関投資家の高い保有比率が長期的な市場の信頼感を支えていると言えるでしょう。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


アボット・ラボラトリーズ(ABT)の流動性に関して

アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、直近営業日の1日当たりの出来高が6,584,435株に達しており、過去2カ月の平均出来高である4,590,513株を大きく上回っています。

これにより、投資家の活発な取引が行われていることがわかり、最新の決算や市場に影響を与える出来事が関心を集めている可能性があります。

一方で、同社のダークプール指数(DPI)は41.79%で、これは、全体の出来高に対してダークプールで取引されている株式の割合を示しています。

この数値は、かなりの割合の取引が公的な取引所以外で行われていることを示しており、特に大口投資家が市場価格への影響を抑えるために利用している可能性があります。

全体として、アボット・ラボラトリーズの取引活動と流動性は非常に健全であり、取引量の多さから流動性も十分に確保されています。

そして、DPIの高さは、プロの機関投資家などの非個人投資家の取引が活発であり、市場の状況や外的要因次第で価格変動に影響を与える可能性があることを示唆しています。

その他のアボット・ラボラトリーズ(ABT)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アボット・ラボラトリーズのページにアクセスしていただければと思います。

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

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