【半導体】アクセリス・テクノロジーズ(ACLS)の将来性とは?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ダグラス・ オローリン- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるアクセリス・テクノロジーズ(ACLS)の11月6日に発表された最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 第3四半期決算で売上の40%がシリコンカーバイド関連、特に中国市場からの収益が70%を占めていることが判明しました。
- 同社は半導体装置市場での地位を持ちながらも、バックログ(受注残)の計算に誤りが発覚し、2025年上半期も厳しい市場環境が続く見通しです。
- 株価は割安に見えるものの、長期的に業界全体に対してアンダーパフォームする可能性があり、同社の中国市場でのシェアが他社に奪われる懸念があります。
アクセリス・テクノロジーズ(ACLS)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
アクセリス・テクノロジーズ(ACLS)は11月6日に最新の2024年度第3四半期決算を発表しており、彼らには今まで見たことのない興味深い進展がありました。
まず、下記のグラフからも分かる通り、売上の約40%がシリコンカーバイド関連で、そのうち70%が中国からの収益です。
第3四半期のセグメント別出荷システム売上
(出所:アクセリス・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
同社は中国の成熟した半導体市場向け装置を提供する「武器商人」ともいえる存在で、とりわけ200ミリメートルのイオン注入装置における長年の強みがその地位を支えています。
(出所:アクセリス・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
では、彼らのセグメントごとのガイドラインを見てみましょう。
現状、最も厳しいセグメントに属しています。
電力半導体は短期的に供給過剰で、成熟した製品群も供給過多の状況にあり、一方でイメージセンサーは好調です。
成熟したプロセステクノロジーノード
(出所:アクセリス・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
また、先端ロジックは売上に一切寄与しておらず、メモリ分野は将来的に成長が見込めるかもしれません。
先端ロジックおよびメモリ技術
(出所:アクセリス・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
現在、半導体製造装置メーカーの中でも最悪の市場環境に直面しており、さらにバックログ(受注残)に関して重大な管理問題も抱えています。
下記は最新の決算説明会での遣り取りの一部です。
(原文)During the preparation of the Company's third quarter financial statements, the Axcelis internal financial team identified an error in the calculation of backlog, beginning in 2019 through the second quarter of 2024. For example, corrected backlog as of June 30, 2024 was $879 million, compared to previously reported backlog of $994 million. Backlog as of September 30, 2024 was $758 million.
(日本語訳)アクセリス・テクノロジーズ社の内部財務チームは、第3四半期の財務諸表を作成する中で、2019年から2024年第2四半期にかけてバックログ(受注残高)の計算に誤りがあったことを発見しました。例えば、2024年6月30日時点の修正後のバックログは8億7900万ドルで、従来報告されていた9億9400万ドルよりも低い数値です。また、2024年9月30日時点のバックログは7億5800万ドルとなっています。
では、状況が改善するのはいつになるでしょうか。
彼らはメモリ分野の成長が業績回復につながると期待しているかもしれませんが、私は来年にかけてまだ厳しい状況が続くと考えています。
(原文)okay. Sorry. So what I was saying was that we do see the first half of '25 being lower than the second half of '24. We do see like a digestion period for general mature and power, particularly in China. So I'd say the bright spots would be memory. So while we only revenued one machine for memory in Q3, we are seeing more activity in Q4. And we expect some of that to continue into the first half.
(日本語訳)失礼しました。お伝えしたかったのは、2025年上半期は2024年下半期よりも低調になる見込みだということです。特に中国では、成熟製品やパワー関連の需要が一時的に落ち着く「調整期間」に入ると見ています。明るい兆しとしてはメモリ分野が挙げられます。第3四半期ではメモリ向け装置の売上が1台にとどまりましたが、第4四半期にはさらに活発な動きがあり、その勢いが来年上半期にも続くことを期待しています。
同社の株価バリュエーションはPERで17倍となっており「割安」に見えるかもしれませんが、正直なところ、同社の強みや市場での立ち位置を考えると、半導体装置業界全体に対して長期的にアンダーパフォームする可能性があると思います。
そして、中国の半導体装置需要には魅力を感じているものの、同社のシェアは最終的に他社に奪われるのではないかと考えています。
その他のアクセリス・テクノロジーズ(ACLS)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アクセリス・テクノロジーズのページにアクセスしていただければと思います。
また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
私の半導体に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。
アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA
📍半導体&テクノロジー担当
オローリン氏のその他の半導体関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、オローリン氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。