A close up view of a blue and black fabric
11 - 13 - 2024

【半導体】アステラ・ラブズ(ALAB)今後の株価見通しは良好で株価は30%の大幅上昇!最新の決算分析を通じて将来性に迫る!

ダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるアステラ・ラブズ(ALAB)の11月4日に発表された最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の株価上昇理由、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 最新の決算発表では、予想を上回る業績が示され、特にEPSと売上高の両面で好成績を収め、株価が約30%上昇しました。
  • PシリーズとXシリーズの新スイッチを発表し、AIインフラ向けにGPUやCPUの接続最適化が図られ、今後の成長が期待されています。
  • 同社は2025年に向けて、アマゾンを含む顧客向けにAIアクセラレーター向け製品の展開を拡大する計画で、AI分野において重要な役割を果たす見通しです。

アステラ・ラブズ(ALAB)の最新の2024年第3四半期決算発表に関して

アステラ・ラブズ(ALAB)は11月4日に最新の2024年第3四半期決算を発表しており、今回の業績は見どころの多い内容でした。

今回の決算を受けて株価が30%程度も大幅上昇したのは、ショートカバーや市場の見方の変化も影響しています。

従来、アステラ・ラブズはエヌビディア(NVDA)が開発したGrace Blackwell Superchipの一種であるGB200関連の製品を持っていないと考えられていましたが、実際はそうではありません。

アマゾン(AMZN)はTrainium(Amazon Web Servicesが開発した機械学習モデルのトレーニング専用のカスタムチップ)ラックにリタイミングケーブル(信号の遅延や劣化を補正し、クリーンな信号を再生する機能を持つケーブル)を導入する予定で、アステラ・ラブズもマーベル・テクノロジー(MRVL)と同様に「Trainium 2」の物語に加わった形です。

2024年度第3四半期決算

・EPS(特別項目除く):0.23ドル(FactSet予想の0.17ドルを上回る)

・売上高:1.131億ドル(FactSet予想の0.975億ドルを上回る)

2024年度第4四半期ガイダンス

・EPS(特別項目除く):0.25ドル~0.26ドル(FactSet予想の0.18ドルを上回る)

・売上高:1.26億ドル~1.30億ドル(FactSet予想の1.079億ドルを上回る)

さらに、アステラ・ラブズはPシリーズとXシリーズの新スイッチを発表し、多くの人が驚くほど強気なガイダンスを提示しました。

同社Scorpio(スコーピオ)シリーズは、AIインフラストラクチャ向けに設計されたスマートファブリックスイッチの製品群であり、主にPシリーズとXシリーズの2つのラインアップで構成されています。

Scorpio Pシリーズ

このシリーズは、GPUCPUNICSSD間のPCIe 6接続を最適化することを目的としています。

特に、AIサーバー内でのデータフローを効率化し、GPUの利用率を最大化するために設計されています。

Pシリーズは、混合トラフィックのヘッドノード接続をサポートし、多様なPCIeホストやエンドポイントとの相互運用性を確保しています。

Scorpio Xシリーズ

こちらは、GPU間の高帯域幅接続を実現するために設計されており、特にバックエンドでのGPUクラスタリングを支援します。

Xシリーズは、AIクラスター内でのGPU間通信を最適化し、スケールアップを可能にすることで、AIワークロードのパフォーマンス向上に寄与します。

そして、下記は最新の決算説明会での遣り取りの一部です。

(原文)But overall, given that we expect Scorpio to exceed 10% of our revenues in 2025. And as the deployments get into production during the course of the year and exit the year at a very good run rate and good momentum going into 2026.

(日本語訳)全体として、Scorpioは2025年には当社の売上の10%を超えると見込んでいます。また、年内に導入が進み、本格稼働が始まることで、年末には良い成長ペースが生まれ、2026年に向けて順調な勢いが期待できるでしょう。

来年はさらに成長が加速する年となり、特にアマゾンが同社の複数の製品を自社のネットワークソリューションに採用する可能性が高いと期待されています。

(原文)As we look ahead to 2025, we will begin to ramp designs across new internally developed AI accelerator-based platforms that will incorporate multiple Astera Labs product families, including Aries, Taurus and Scorpio. As a result, we will continue to benefit from increased dollar content per accelerator in these next-generation AI infrastructure deployments.

(日本語訳)2025年に向けて、AriesやTaurus、Scorpioなど、アステラ・ラブズの複数の製品を組み込んだ自社開発のAIアクセラレータープラットフォームの設計を本格化させていきます。これにより、次世代のAIインフラ導入でアクセラレーター1台あたりの収益が増え、さらなる利益拡大が期待されます。

実際のところ、今アマゾン以上に積極的に拡大している企業はないでしょう。

アマゾンは前四半期に資本支出を大幅に増やし、今後もさらなる増加を見込んでいます。

(原文)I think it's fairly public knowledge now that all the hyperscalers have doubled down on the amount of investment they're doing for their own internal ASIC programs. The third-party GPUs, obviously, have done a great job, but also hyperscalers are starting to realize where the money is in terms of their AI use cases and workloads.

(日本語訳)今では広く知られている通り、ハイパースケーラー各社は自社のASICプログラムへの投資を大幅に強化しています。サードパーティ製のGPUも十分に成果を上げていますが、各社ともAIのユースケースやワークロードにおいて、どこにコストをかけるべきかを見極め始めているようです。

(原文)The one caveat -- one additional point I would note is that for the internally developed AI platforms, we get to play not only in the front-end network, connecting the GPU to CPU and storage, we also get to play in the back end, which generally like -- generally tends to be, like I call it, a fertile land where there are multiple connectivity requirements that we can service with our [product lines]

(日本語訳)一点補足すると、自社開発のAIプラットフォームでは、GPUとCPUやストレージをつなぐフロントエンドのネットワークだけでなく、バックエンドにも関わることができるのが特徴です。バックエンドは多様な接続ニーズがあり、当社の製品ラインで対応できる非常に有望な領域といえます。

アステラ・ラブズはGB200関連の提供内容が少なく、H100(エヌビディアが提供する次世代のGPU)ほどのシェアを確保することはありません。

アマゾン向けに一部の限定的なコンテンツを提供する予定ですが、アステラ・ラブズにとって大きなチャンスは、アマゾン向けのAEC(アクティブ電気ケーブル:信号伝送の補強が行われる特殊なケーブル)、PCIeスイッチ(複数のPCIeデバイスを一つのシステムに接続・管理するためのスイッチング機器)、リタイミングケーブルにあります。

全体のシェアは小さいかもしれませんが、金額ベースでは価値が非常に高くなります。

ただし、アステラ・ラブズは非常に高額で、予想を大幅に上回る成果を出したとしても割高感があるのも事実です。

それでも、市場はAIに特化した半導体企業を求めており、同社が主要なプログラムに深く関わっている点で、AI分野において非常に魅力的な存在と言えるでしょう。

今後の同社の展開には要注目です!

その他のアステラ・ラブスALAB)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクよりアステラ・ラブスのページにアクセスしていただければと思います。

また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。

私の半導体に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。


アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA

📍半導体&テクノロジー担当

オローリン氏のその他の半導体関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、オローリン氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら