中立アルベマールすべて表示アルベマール / ALB / 中立:エネルギー銘柄の最新の2023年3Q決算・強み分析と今後の株価見通し(Albemarle)
マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ- アルベマール(ALB)は2023年11月1日に2023年第3四半期決算を発表している。
- 同社はリチウム系の材料に特化した割安に取引されている化学会社だが、リチウム価格の変動と資本集約的なビジネスモデルによる課題に直面している。
- 再生可能エネルギーと電気輸送をリチウムに依存するエネルギー転換は、実現するのに予想以上に時間がかかっており、アルベマールの見通しに影響を与えている。
- アルベマールの売上高成長率は、競争が激しい市場環境とリチウム価格の下落によりマイナスに転じており、フリーキャッシュフローは2023年にはプラスにならないと予想されている。
アルベマールへ(ALB)の投資テーマ
アルベマール(ALB)は、3つの主要セグメント(リチウム・臭素・触媒)で事業を展開する化学会社である。
同社は、リチウムベースの材料を含む、様々な産業向けの多様な製品の開発と生産に特化している。
現在、アルベマールの株価は、来期EPSの約4倍から5倍と極めて割安に推移している。
しかし、この会社の問題は、鉱山会社として極めて資本集約的であることである。
リチウム価格が安定し成長しているときは、フリー・キャッシュ・フローを生み出すことができる。
しかし、リチウム価格が下落すると、まさに現金焼却炉かの如く状況は一転する。
エネルギー転換が、今後2、3年で本格化することに強気な私でも、期待していたよりも時間がかかっていることは認めざるを得ない。
すぐに分かるように、私はこの銘柄を「ホールド」と見ている。
アルベマール(ALB)を経由してリチウムに投資する理由と、上手くいかなかった理由
リチウムは、現在進行中のエネルギー転換を促進する上で、特に再生可能エネルギーと電気輸送に対する需要の高まりの中で、極めて重要な役割を果たしている。
リチウム・イオン・バッテリー製造の主要部品であるリチウムは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの貯蔵を可能にし、それによって送電網の安定性を高め、断続的な再生可能エネルギーの効果的な統合を可能にする。
さらに運輸分野では、リチウムがEVに電力を供給し、環境に優しいモビリティ・ソリューションを提供している。
しかし、エネルギー転換は複雑なプロセスであり、インフラ、政策的な枠組み、エネルギー転換を支援するための規則の作成等に対して、多大な投資が必要であることを認識する必要がある。
再生可能エネルギーと電動モビリティへの移行を広く実現することは、財源だけでなく、多くの時間が必要とされる長期的な取り組みである。
今から思えば、私はCOP27の炭素排出目標や、EVの普及を加速させながら送電網を安定化させる全体的な動きに対して、各国がどれ程のスピードで進んでいくかを過大評価していた。
私は皆さんに透明性を保ちたいと思っている。
私はまだアルベマールに強気だが、この投資が上手くいくためには、私が想定していた以上に時間がかかっていることを認めている。
実際、私のポートフォリオの多くの銘柄、特に、ウラン探鉱鉱山会社のウラニウム・エナジー(UEC)や、天然ガス探鉱会社のアンテロ・リソーシズ(AR)のような、エネルギー転換に関連する銘柄がプラスのパフォーマンスを維持しているとしても、全てがプラスの勢いに乗っているわけではないというのが現状である。
アルベマール(ALB)の当面の見通し
アルベマールは、様々な化学製品、特にリチウムの生産を専門とする企業である。
これらの製品は、家電製品や電気自動車など、様々な産業で利用されている。
しかし、アルベマールは、世界的に競争の激しい市場で事業を展開しており、様々なサプライヤーから、同社にとっては必ずしも好ましくない価格設定で原料を調達している。
そして、これら全てが売上高成長率を押し下げていることは明らかである。
アルベマール(ALB)の売上高成長率に関して
アルベマールは、特有の課題に直面している。
同社は、エネルギー貯蔵用途や電気自動車向けにリチウムの生産を拡大し続けているが、生産能力を拡大するために必要な多額の設備投資と相まって、リチウムの不安定な価格設定に悩まされている。
さらに、2023年度のリチウム指数価格の下落は残酷である。
個人的には、これ以上下がらないことを望んでいる。
なぜなら、現状では、既に炭酸リチウム価格は前年比75%下落しているからである。
特にリチウム価格の下落が続くと、アルベマールの収益と利益率の両方に下方プレッシャーをかけることになる(これについては、後程、詳しく説明する)。
同社への投資が再び牽引力を回復する為には、リチウム価格が35%から45%程度上昇する必要があると見ている。
アルベマール(ALB)のバリュエーション:2023年度のフリーキャッシュフローはプラスで終わらない可能性が高い
私の同社への投資テーマは、同社が2023年にフリー・キャッシュ・フローで損益分岐点に達するというものだった。
前四半期まで、私はアルベマールが2023年のフリー・キャッシュ・フローをブレイク・イーブンで終えるだろうと期待していた。
しかし、この90日間で、経営陣が、同社の現状を見直したことは否定できない。
アルベマール(ALB)に対する結論
特に、足元の困難なリチウム市場において、アルベマールの事業に影響を与える複雑な力学を考慮すると、同社への投資の見通しは不確実であるように思われる。
同社は、リチウム製品に特化しているにもかかわらず、リチウムの価格変動が続いており、且つ、生産能力拡大に必要な多額の設備投資が大きなハードルとなっている。
炭酸リチウム価格の大幅な下落が示すように、いつ好転するかは不透明である。
従って、私は当面の間、アルベマールへの追加投資を控え、様子を見ることにした。
アルベマールの可能性とエネルギー転換期における同社の位置付けは認める。
しかし、同社の業績に関する現在の予測不可能性を考慮し、追加投資を再考する前に、同社の安定化と市況改善の明確なシグナルを待つ慎重なスタンスが必要であると考えている。