アプライド・マテリアルズ(AMAT)まだ上値を狙えるか、2024年第2四半期決算速報・強み分析と今後の株価見通し・将来性

- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるアプライド・マテリアルズ(AMAT)の5月16日に発表された最新の2024年第2四半期決算の分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 最新決算では、EPSが2.09ドル、売上高が66.5億ドルで市場予想を上回る着地となりました。
- また、2025年に向けて、ゲート・オール・アラウンドとバックサイド・パワー・デリバリー・ネットワークの技術により、中国需要の減速を補う成長が見込まれています。
- また、同社はHBM(高帯域幅メモリ)の売上が2024年に2023年の6倍以上に成長すると見ています。
半導体製造装置関連銘柄であるアプライド・マテリアルズ(AMAT)を取り巻く環境
まず、半導体サブシステムと半導体製造装置市場について話していきたい。
特に半導体サブシステム関連企業は期待通りの決算を報告し、MKSインスツルメンツ(MKSI)は疑問の残る(しかし、理解できる)転換社債の募集を行い、その直後に株価が急落している。
要約すると、イコル・ホールディングス(ICHR)を除くサブシステム関連企業の売上高は下半期も改善を続け、2025年は好調な年になるだろうということである。
そして、HBM(高帯域幅メモリ)関連銘柄の売上高は全て輝き続けている。
私はサブシステム関連銘柄のトレードを引き続き好んでおり、2025年後半には受注が拡大すると見ている。
この半導体サブシステムと半導体製造装置関連銘柄は全般的にかなり割高になっているが、2025年はそれらの銘柄にとって強い年になると見ている。
サイタイム(SITM)は今期底を打ち、コンシューマー向けや広範なIoTがようやく戻ってきたという読みがある。
そのため、シナプティクス(SYNA)やシールス・ロジック(CRUS)と合わせて、IoTに時間を費やすのは理にかなっていると思う。
そして、この上述のサイクルは、投資家の関心が最も低く、最も上昇する可能性があるサイクルと見ている。
本稿では、半導体製造装置関連銘柄であるアプライド・マテリアルズ(AMAT)が2024年5月16日に発表した2024年度第2四半期決算について深堀りをしていきたい。
アプライド・マテリアルズ(AMAT)の2024年度第2四半期決算概要
2024年度第2四半期決算
EPS:2.09ドル(ファクトセット予想:1.99ドル)
売上高:66.5億ドル(ファクトセット予想:65.4億ドル)
2024年度第3四半期ガイダンス
EPS:1.83ドル~2.19ドル(ファクトセット予想:1.98ドル)
売上高: ~66.5億ドル +/- 4億ドル(ファクトセット予想:65.9億ドル)
ゲーリーCEOは今回の決算説明会でも元気そうであった。
私は、アプライド・マテリアルズ(AMAT)の2025年は好調な年となり、GAA(ゲート・オール・アラウンド)とBSPDN(バックサイド・パワー・デリバリー・ネットワーク / 裏面電源供給網)の間で、中国需要の減速を相殺するのに十分な成長を実現するだろうと見ている。
同社はEPSと売上高の両方で市場予想を上回り、売上高ガイダンスは前四半期比横ばいという着地となっている。
そして、ポジティブな点は同社の誇る最先端技術であり、ネガティブな点は中国における遅れである。
では、よりエキサイティングな部分に入っていきたい。
同社は、ゲートオールアラウンドにおけるTAM(獲得可能な最大市場規模)を引き上げている。
実際、ゲートオールアラウンドでは資本集約度が上昇する。
(原文)These new transistor process flows are considerably more complex, and the shift from FinFET to gate-all-around grows Applied's available market for the transistor module from around $6 billion to approximately $7 billion for every 100,000 wafer starts per month of capacity.
(日本語訳)これらの新しいトランジスタのプロセスフローは、かなり複雑になっており、FinFETからゲートオールアラウンドへの移行により、アプライド ・マテリアルズのトランジスタモジュールの市場規模は、月産10万ウェハーの生産能力あたり約60億ドルから約70億ドルに拡大する。
また、バックサイド・パワーによる相互接続における想定市場機会に関しても見通しを引き上げている。
この重要なデータポイントは、2025年にゲートオールアラウンドの売上高が2倍以上になることであり、これは2025年にこの重要な移行から50億ドル以上の売上高が得られることを意味している。
(原文)Our available market for the wiring steps is approximately $6 billion for each 100,000 wafer starts per month, and we expect it to grow by $1 billion when backside power delivery is introduced into volume manufacturing. Overall, we expect to generate more than $2.5 billion of revenue from gate-all-around nodes this year and potentially more than double that in 2025.
(日本語訳)当社の配線ステップの利用可能な市場は、月産10万枚のウェハー・スタートごとに約60億ドルであり、バックサイド・パワー・デリバリーが大量生産に導入されれば、10億ドルの成長が見込まれます。全体として、ゲート・オール・アラウンド・ノードからの売上高は今年25億ドル以上、2025年には2倍以上になる可能性があると予想しています。
加えて、同社はHBM(高帯域幅メモリ)の予想を4倍から6倍以上に引き上げている。
(原文)Last quarter, we said that we expected our HBM packaging revenue to be 4x larger in 2024 than in 2023. As we have recently seen customers accelerate their capacity plans for HBM, we now believe that our revenue could be 6x higher this year, growing to more than $600 million.
(日本語訳)前四半期、我々は2024年のHBMパッケージの売上が2023年の4倍になると予想していると述べました。最近、顧客がHBMのキャパシティ・プランを加速させているのを目の当たりにしているため、今では、今年の当社の売上は6倍になり、6億ドル以上に成長する可能性があると考えています。
そして、チャンバー数は減少の年においても増加している。
(原文)Our tools under subscription agreement increased by 8% year-over-year, and our installed base of chambers surpassed 200,000 for the first time.
(日本語訳)サブスクリプション契約中のツールは前年比で8%増加し、当社のチャンバー設置ベースは初めて20万台を突破しました。
そして、今、特に議論されているのは中国の需要に関してであり、中国における需要が緩やかになり、今後空白期間が生まれるかどうかということが注目されている。
(原文)And I think that's a good indication of what we're expecting in the second half. We talked about whether leading logic and ICAPS would be able to fill in for the drop-off in China DRAM, and that's exactly what we see in Q3.
(日本語訳)これは下期の見通しを示すものだと思います。リーディング・ロジックとICAPSが中国DRAMの落ち込みを補うことができるかどうかという話をしましたが、第3四半期はまさにその通りでした。
中国の売上は30%台まで正常化しそうで、これは理にかなっている。
因みにではあるが、中国は全半導体需要の約30%を占めていることをご留意いただきたい。
(原文)Yes, first of all, our mix as we move to the second half of the year will normalize with respect to China as a percent of our total revenue. So it will be closer to 30% as expected. And it's the dynamic that you highlighted. We had some catch-up DRAM shipments to particular customers in China for the last 3 quarters. Those will fall off as we go through Q3 and Q4, and that really will bring our percentage of China revenue back down to -- closer to what's average over the last few years, which we'll call about 30%.
(日本語訳)そうですね、まず第一に、下半期に移行するにつれて、総売上高に占める中国の割合が正常化していきます。ですから、予想通り30%に近づくでしょう。また、ご指摘のような動きもあります。ここ3四半期は、中国の特定顧客向けのDRAM出荷が若干追いつきました。第3四半期、第4四半期になると、これらの売上は減少し、中国の売上比率はここ数年の平均である30%程度に近づくことになるでしょう。
最後になるが、バックサイド・パワーの増強のほとんどは2025年以降に予定されている。
(原文)But that timing, I don't want to give specifically because that's going to be each one of different customers' road maps. Relative to timing for revenue, it's pretty small for us right now in 2024. It will grow in '25, but the ramp -- significant ramp for backside power is still out beyond '25 in revenue.
(日本語訳)しかし、その時期については、それぞれの顧客のロードマップになるため、具体的には申し上げられません。売上のタイミングに関しては、現在、2024年ではかなり小さいものとなっております。2025年には成長するでしょうが、バックサイド・パワーが大きく成長するのは2025年以降です。
以上を踏まえ、アプライド・マテリアルズ(AMAT)の2024年度第2四半期決算は本当に素晴らしい内容であったと見ている。
同社の株価は利益の20倍以上と割高であり、過去の水準と比較すると大幅なプレミアムであることが分かる。
しかし、私は同社の売上高が加速すると考えており、来年はもっと高くなると予想している。
そのため、同社株式に関しては「ショート・ポジション」を検討することうはリスクが高いように見え、率直に言ってロング・ポジションを検討した方が良いという印象を受ける。
そして、上述の内容は、半導体サブシステム関連のトレード・アイデアも裏付けていると言える。
また、その他のアプライド・マテリアルズ(AMAT)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アプライド・マテリアルズのページにアクセスしていただければと思います。
アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA
オローリン氏のその他の半導体関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、オローリン氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。