AMDの株価は10年後も堅調?最新の2024年度第3四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ダグラス・ オローリン- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の10月29日に発表された最新の2024年第3四半期決算の分析を通じて、「AMDの株価は10年後も堅調か?」という疑問に答えるべく、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- AMDの2024年第3四半期決算は期待外れの内容となり、ガイダンスも前年の予測を下回る水準にとどまっています。
- データセンター向けAI事業は成長しており、2024年のデータセンターGPU売上は50億ドルを超える見込みですが、エヌビディアに対してAMDのシェアは依然として小規模です。
- 半導体分野での競争は激化しており、AMDはMI300シリーズの性能に課題があるため、エヌビディアのGB200に対抗するには厳しい状況であるように見えます。
アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は10月29日に最新の2024年第3四半期決算を発表していますが、今回の業績は期待外れの結果でした。
エヌビディア(NVDA)は四半期ごとに好調な業績を出していますが、AMDは毎回ガイダンスを少し引き上げる程度にとどまっています。
今回のガイダンスも同様で、昨年の過剰な期待が込められた予想値を大きく下回る内容でした。
下記は決算説明会での遣り取りの一部です。
(原文)Development on our MI400 series based on the CDNA Next architecture is also progressing very well towards a 2026 launch. We have built significant momentum across our data center AI business with deployments increasing across an expanding set of cloud, enterprise and AI customers. As a result, we now expect Data Center GPU revenue to exceed $5 billion in 2024, up from $4.5 billion we guided in July and our expectation of $2 billion when we started the year.
(日本語訳)CDNA Nextアーキテクチャ(AMDが開発中の次世代GPUアーキテクチャで、主にデータセンター向けのAIや高性能計算ワークロードの高速化を目的としている)をベースにしたMI400(AMDの次世代データセンター向けアクセラレータ)シリーズの開発は、2026年の発売に向けて順調に進んでいます。また、データセンター向けのAI事業も成長を続け、クラウドやエンタープライズ、AI分野のお客様への導入がさらに広がっています。これにより、2024年のデータセンターGPUの売上は、年初の予測である20億ドルから大幅に増え、7月の予測45億ドルを上回る50億ドル以上に達する見込みです。
今年はずっとMI300(AMDが開発した次世代のデータセンター向け高性能計算向けプロセッサ)に対して慎重な見方をしてきましたが、その判断は正しかったと思います。
この点に関しては、下記のレポートで詳細に解説しておりますので、関心がございましたら、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価見通しは明るい?最新の決算分析を通じて同社の将来性に迫る!
市場全体が過去20年で最も好調な年の一つである中、AMDの株価はほぼ横ばいです。
(出所:Koyfin)
一方、データセンター事業は前年比で100%成長しており、サーバーとGPUが同時に稼働することによる相乗効果がその成長を支えています。
(出所:AMDの2024年第3四半期決算資料)
ただし、ここで期待値の重要性が浮き彫りになります。
市場が予想していた通りの成長が見られたものの、AMDの実際のシェアはわずかにとどまっています。
参考までに、エヌビディアの2024年のデータセンター売上高は約1,100億ドルと見込まれ、そのうちネットワーキング分を除いても約950億ドルがGPUによる売上高とされています。
これに対してAMDのシェアは約5%程度で、多くの顧客が試験的にAMDのGPUを導入した結果、MI300のパフォーマンスが期待通りでないことに失望しているのが現状です。
個人的には、今後の成長はマーベル・テクノロジー(MRVL)やブロードコム(AVGO)のカスタムシリコンの方が期待できると考えています。
来年には供給量の「大幅な増加」を計画しているものの、競争力の観点では第4四半期がほぼ限界だと思います。
まもなくGB200(エヌビディアが開発した最新のAIスーパーコンピュータ「GB200 NVL72」の中核を成すスーパーコンピュータチップ)が発売されますが、正直なところ、MI325やMI350は競争力のある製品とは言い難いです。
さらに注目すべきは、組み込み事業(Embedded)が苦戦しているものの、四半期ごとの売上は増加に転じた点です。
マージンも堅調で、これはインテル(INTC)のAlteraやラティス・セミコンダクター(LSCC)にも良い兆しと考えられます。
その他のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アドバンスト・マイクロ・デバイスのページにアクセスしていただければと思います。
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