06/18/2024

中立
ブロードコム
中立
過去5年平均、また、過去10年平均と比較すると、同社は過去のバリュエーションの水準から乖離し、足元は著しく割高なバリュエーションで取引されているように見える。
ブロードコム(AVGO:予想配当利回り1.2%)の将来性は?2024年2Q決算速報と今後の株価予想に迫る!

a computer processor with the letter a on top of itイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、ブロードコム(AVGO:予想配当利回り1.2%・配当性向45%・1株当たり配当金5.25ドル)の最新の2024年度第2四半期決算発表と配当支払いに関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • 同社は半導体およびソフトウェア事業で活動する企業で、現在の株価は1828ドル、時価総額は8513.2億ドルとなっています。
  • 同社の2024年6月12日に発表された2024年度第2四半期のEPSは10.96ドルで前年同期比で成長を示しており、売上高成長率も過去5年間で12.20%、過去10年間で21.20%となっています。
  • また、配当成長率は過去5年間で19.50%と安定した成長を示しており、足元の予想配当利回りは1.2%となっています。

ブロードコム(AVGO)の概要

セクター:半導体

現在の株価:1828ドル

時価総額:8513.2億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:850.91ドル

安全マージン:-114.92%

過去5年間の配当成長率:19.50%

次回配当落ち日:2024年6月24日

次回配当支払い日:2024年6月28日

予想配当利回り:1.2%

過去5年間の売上高成長率:12.20%

過去10年間の売上高成長率:21.20%

ブロードコム(AVGO)は世界第6位の半導体企業であり、様々なソフトウェア事業にも進出している。

主なビジネス領域としては、ワイヤレス、ネットワーキング、ブロードバンド、ストレージ、産業市場にわたる17の中核半導体製品を販売している。

また、同社は主にファブレス・デザイナーであるが、アップル(AAPL)のiPhoneに搭載されている最高級のFBARフィルター等、一部の製造は自社で行っている。

ソフトウェア事業では、仮想化、インフラ、セキュリティ・ソフトウェアを大企業、金融機関、政府機関に販売している。

同社は様々な統合を経験してきており、同社の現在の事業構造は、チップ分野ではレガシーのブロードコムやアバゴ・テクノロジーズ、ソフトウェア分野ではブロケード、CAテクノロジーズ、シマンテックといった様々な企業が合併した結果によるものである。

そして、同社は2024年6月12日に2024年度第2四半期決算を発表している。

ブロードコム(AVGO)の収益と成長に関して

ブロードコム(AVGOの2024年度第2四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは10.96ドルで、前四半期の10.99ドルをわずかに下回る着地となっているが、前年同期比(10.32ドル)では大幅な伸びを示している。

また、一株当たり売上高も、前四半期の25.61ドルから26.015ドルに増加している。

加えて、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は20.80%となっており、同社の最近の業績は安定しているように見える。

さらに、半導体業界は今後10年間、安定的に成長すると予測されていることからも、同社の将来的な業績には明るい見通しが示されているようにも見える。

ブロードコム(AVGO)の配当に関して

ブロードコム(AVGOは長年にわたり一貫した配当支払い金額における成長を示しており、過去5年間の配当成長率は19.50%で、過去3年間の配当成長率は12.30%と安定した成長を示している。

さらに、予想配当利回りは1.2%で、配当を通じた投資家への適度なリターンを反映していると言える。

また、EBITDA純有利子負債倍率は3.63倍となっており、2倍未満が理想的な範囲であるされていることからも、同社はEBITDAに対して負債水準が高いことが伺える。

ただし、上述の通り、当比率は最適な水準を上回っているが、同社のようなハイテク企業は資本集約的な性質があることからも、負債水準が高いことは珍しくないというのも現状である。

加えて、直近四半期の1株当たりの配当金は5.25ドルであり、安定した配当金の支払いが続いており、この様な一貫した配当金の支払いからも、株主に配当の支払いを通じて報いるという同社のコミットメントを反映していると言える。

以上より、ブロードコムは、長年にわたり素晴らしい配当成長率を示しているが、EBITDA純有利子負債倍率は理想的な水準よりも高く、継続して負債レベルを監視する必要性を示唆している。

予想配当利回り:1.2%

配当性向:45%

配当カバレッジ・レシオ:1.18

過去5年間の配当配当成長率:19.50%

EBITDA純有利子負債倍率:3.63倍

ブロードコム(AVGO)のバリュエーションに関して

ブロードコム(AVGO)の現在の株価は1828.87ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である850.91ドルを大幅に上回っており、割高感を示している。

また、実績PERは78.66倍となっており、市場の投資家が同社の利益と比較した倍に、同社株価に大幅なプレミアムを支払っていることを示唆している。

さらに、株価売上高倍率は19.43倍で、EV/EBITDA倍率は42.7倍といずれも業界平均を上回っており、同社株式の割高感をさらに裏付けている。

加えて、PEGレシオは2.09倍となっており、こちらも同社の成長見通しに比べて株価が割高である可能性を示している。

そして、過去5年平均、また、過去10年平均と比較すると、同社は過去のバリュエーションの水準から乖離し、足元は著しく割高なバリュエーションで取引されているように見える。

以上より、投資家はブロードコムへの投資を決定する前に、同社の高いバリュエーション水準を考慮し、注意を払う必要があるだろう。

ブロードコム(AVGO)のリスクとリターンに関して

ブロードコム(AVGOのリスク評価分析では、主に投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい

まずマイナス面では、同社の低税率は一時的に利益を押し上げている可能性があり、長期的には持続不可能な可能性がある。

さらに、過去3ヶ月間に9件のインサイダーによる同社株式の売却が確認されており、合計で29,270株が売却されている一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない。

また、同社の株価は10年来の高値水準に近く、株価売上高倍率も10年来の高水準となっている。

加えて、予想配当利回りは5年ぶりの低水準で、EBITDA純有利子負債倍率も高水準にあることからも、同社の財務体質が弱い可能性を示している。

一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアが-2.07であることから、同社が利益操作を行っている可能性は低いと言える。

さらに、営業利益率が拡大していることは、投資家にとってポジティブなシグナルである。

また、同社は一貫した売上高と利益の成長を示しており、アルトマンのZ-Score は5.14となっており、財務の安定性が高いことを示している。

全体として、投資家は ブロードコムに関連するリスク、特に高いバリュエーション指標とインサイダーによる同社株式の売却動向に注意する必要があるだろう。

ブロードコム(AVGO)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ブロードコム(AVGO)のインサイダー取引分析では、過去12ヶ月間の間、インサイダーによる同社株式の買い付けが2件である一方で、インサイダーによる同社株式の売却が19件と、インサイダーの買い付けと比べてインサイダーによる売却が多いことが分かる。

これは、インサイダーが同社株式を売却していることを示しており、市場の投資家にとっては弱気シグナルとなる可能性がある。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずかに0.25%である点にはご留意いただきたい。

一方、機関投資家による同社株式の保有比率は64.95%と高く、機関投資家が同社のかなりの株式を保有していることを示唆している。

この高い機関投資家保有比率は、株価に安定性をもたらし、大口投資家からの信頼を示す可能性がある。

全体的には、ブロードコムのインサイダーによる同社株式の取引トレンドは売りに傾いていることが明らかとなっていることからも、投資家は同社への投資判断を下す際にこれらの点も考慮すると良いだろう。

ブロードコム(AVGO)の流動性に関して

ブロードコム(AVGO)の過去2ヶ月間の1日平均出来高は2,776,882株で、直近営業日の一日出来高は8,335,471株と、継続して活発な取引が行われていることが伺える。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は43.39%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。

全体として、ブロードコムの流動性は十分なように見えるが、投資家はダークプール取引が値動きに与える影響に留意する必要があるだろう。

そして、高い取引量と1日の平均取引量は、同社が活発な取引を行う流動性の高い銘柄であることを示唆しており、流動性の高い銘柄を探している投資家にとって魅力的な銘柄となる可能性がある。

直近の配当関連銘柄レポート

1. コカ・コーラ / KO / 予想配当利回り3% / 配当性向67% / 中立:2024年1Q決算速報・業績分析と今後の株価予想・将来性

2. エクソンモービル / XOM / 予想配当利回り3% / 中立:2024年1Q決算速報・財務分析と今後の株価予想・将来性

また、私のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

さらに、その他のブロードコム(AVGO)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ブロードコムのページにアクセスしていただければと思います。