中立ブリティッシュ・アメリカン・タバコすべて表示ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI:予想配当利回り8%・配当性向67%)2024年2Q決算と今後の株価見通しと将来性に迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI:予想配当利回り8.29%・配当性向67%・1株当たり配当金0.743059ドル)の最新の2024年度第2四半期決算、並びに、財務パフォーマンスに関して分析していきます。
- 同社は予想配当利回りが8.29%と高く配当収入を求めるインカム投資家には魅力的である一方で、財務リスクが高い点には注意が必要です。
- 同社の最新の決算では、非経常損益項目を除くベースでのEPSと1株当たり売上高が減少しましたが、希薄化後のEPSは増加する着地となっており、また、過去5年間のEPSの年平均成長率は4.60%と、足元の成長がやや停滞していることが分かります。
- また、同社の財務パフォーマンス指標は業界平均を下回るものが多く、また、過去のROEの変動幅も非常に大きいことからも、株主にプラスの価値を生むには、資本配分の改善・最適化が必要であるように見えます。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:フェアバリュー並み
リスクレベル:中程度
セクター:タバコ製品
現在の株価:35ドル
時価総額:792.2億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:37.63ドル
安全マージン:4.82%
過去5年間の配当成長率:3.10%
次回配当落ち日:2024年9月26日
次回配当支払い日:2024年8月7日
予想配当利回り:8.29%
過去5年間の売上高成長率:2.60%
過去10年間の売上高成長率:6.00%
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI:予想配当利回り8.29%・配当性向67%・1株当たり配当金0.743059ドル)は、1902年に設立された世界最大級のたばこ会社であり、150カ国以上で事業を展開しています。
2023年、同社は世界で2番目に多い5550億本のたばこを販売しており、主要ブランドには、紙巻たばこの「ダンヒル」「ケント」「パーラメント」「ラッキーストライク」「ロスマンズ」が含まれます。
アメリカでは「キャメル」「ナチュラルアメリカンスピリット」「ニューポート」のブランドを保有していますが、これらはアメリカ国内に限られています。
同社は、紙巻たばこ、加熱式たばこ製品、電子たばこ、スヌース、嗅ぎたばこなど、多様な製品ラインを持ち、多様化したポートフォリオを提供しています。
このポートフォリオは、同社の長期的な成長を支える基盤であり、特に次世代製品(NGP)への移行に力を入れています。
同社のユニークな特徴として、次世代製品の開発における積極的な投資と研究開発があります。
これにより、同社は競争の激しい市場での競争力を維持し、健康志向の消費者ニーズに対応しています。
最近では、加熱式たばこ製品「glo」と電子たばこ「Vuse」の市場シェア拡大に注力しています。
財務状況として、同社は強力なキャッシュフローを持ち、安定した配当を提供することを重視しています。
これにより、特に配当収入を重視するインカム投資家に対する魅力を高めています。
そして、同社は2024年7月25日に2024年第2四半期決算を発表しています。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の最新の2024年第2四半期決算に関して
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は1.995ドル(前四半期:2.46ドル)、希薄化後のEPSは2.548ドル(前四半期:-10.42ドル)、また、1株当たり売上高も7.034ドル(前四半期:7.86ドル)と、非経常損益項目を除くベースでのEPSと1株当たり売上高は前四半期比で減少するも、希薄化後のEPSは大幅に増加する着地となっています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は4.60%で、過去10年間の年平均成長率は6.70%となっており、足元の成長がやや停滞していることが分かります。
さらに、同社業界は今後10年間、安定した成長が見込まれていることからも、同社の今後の成長見通しには好材料と言えます。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の財務パフォーマンスに関して
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
全体として、同社の過去5年間の財務パフォーマンス関連指標はまちまちな内容となっています。
まず、過去5年間のROAとROEの中央値は、それぞれ4.58%と9.36%で、業界平均を下回っています。
また、過去5年間のROICの中央値も6.18%と比較的低く、同社の資本配分が最適でない可能性を示しています。
さらに、足元のROICは-8.40%で、WACCは5.40%となっており、ROICとWACCの差は大幅なマイナスであることからも、足元、同社が株主にとってプラスの価値を生み出していないことを示唆しています。
特に、ROICが-8.40%とマイナスであることは、同社の長期的に経済的価値を生み出す能力に関して懸念材料であると言えます。
加えて、過去10年間で同社のROEは大きく変動しており、最高値は108.75%、最低値は-23.19%となっています。
一方で、WACCは5.13%から7.87%の間で変動しています。
結論として、ブリティッシュ・アメリカン・タバコが株主にプラスの経済価値をもたらすためには、同社の業績と資本配分の改善が必要であるように見えます。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の配当に関して
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は3.10%となっています。
また、1株当たり配当金0.743059ドルとなっており、直近の予想配当利回りは8.29%と高水準であることから、投資家に対して配当を通じて高いリターンを提供する可能性を示しています。
さらに、足元の配当性向は67.0%となっており、同社が利益の妥当な部分を配当の支払いに充てていることを示唆しています。
しかし、EBITDA純有利子負債倍率は4.16倍と比較的高く、財務リスクが高いことを示しています。
基本的に、EBITDA純有利子負債倍率は、4倍を超えると財務リスクにおいて赤信号とみなされることからも、投資家は同社の財務状況に関して一定の注意を払う必要があるでしょう。
そのため、投資家は継続して同社の債務水準と、債務を賄うのに十分な利益を生み出す能力を注意深く監視すべきであると言えます。
以上より、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの予想配当利回りは配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な水準にあるものの、上述の高水準のEBITDA純有利子負債倍率は懸念材料であるようにも見えます。
予想配当利回り:8.29%
配当性向:67%
配当カバレッジ・レシオ:-2.65倍
過去5年間の配当成長率:3.10%
EBITDA純有利子負債倍率:4.16倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
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ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)のバリュエーションに関して
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の現在の株価は35.815ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である37.63ドルをわずかに下回っていることからも、やや割安であるように見えます。
一方で、株価売上高倍率は2.38倍となっており、同社の株価が売上高に比して妥当なバリュエーションで取引されていることを示しています。
また、EV/EBITDA倍率は10倍となっており、同社の株価がEBITDAに比して妥当なバリュエーションで取引されていることを示しています。
以上より、株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率、並びに、弊社算出の一株当たり本質的価値の観点からは、同社の株価は割安であるように見えます。
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ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)のリスクとリターンに関して
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、過去1年間の1株当たり売上高の減少は、同社の財務パフォーマンスに懸念を抱かせる内容であると言えます。
さらに、株価が1年ぶりの高値水準に近いことは、割高感や市場における過熱感を示唆している可能性があります。
一方プラス面では、ベニッシュのMスコアは-3.78となっており、基準値である-1.78を下回っていることから、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆しています。
全体として、減収、さらに、足元の高水準な株価は、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ株式への投資における一定のリスクを提示しているように見えます。
そのため、同社株式の投資家は今後も同社の財務同行を注意深く監視し、さらに、潜在的な損失を軽減するためにポートフォリオの分散を心掛けるとよいでしょう。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
世界的なタバコ・ニコチン企業であるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)のインサイダーによる同社株式の売買動向を見てみると、過去12ヶ月間、インサイダーによる同社株式の売買が確認されていないことが分かります。
インサイダー取引が行われていないことは、同社の取締役や経営陣が重要な非公開情報に基づいて同社株式の売買を行っていないことを示唆している可能性があります。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.12%である点にはご留意ください。
また、機関投資家の同社株式の保有比率は6.60%と比較的低水準にあります。
全体的なトレンド分析では、インサイダーおよび機関投資家の同社株式の保有比率は低水準にあることが分かります。
インサイダーや機関投資家の同社株式の保有比率の変化をモニターすることは、同社の将来性に対する主要な利害関係者の信頼度を洞察する上で不可欠であることからも、投資家は今後もこれらの指標を定期的に確認すると良いでしょう。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の流動性に関して
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は2,999,226株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は4,747,187株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は15.79%となっており、取引活動の一定の部分がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの流動性と取引活動は堅調だが、投資家はダークプールが株価の取引ダイナミクスに与える影響に注意する必要があるでしょう。
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