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11 - 13 - 2023

やや強気
クラウドストライク
やや強気
同社はサイバーセキュリティ市場のリーディングプレーヤーであり、サービスの拡充と顧客基盤の拡大を進めています。
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クラウドストライク(CRWD)の将来性:注目のサイバーセキュリティ銘柄の2024年2Q決算分析と今後の株価見通し!

ドノヴァン・ ジョーンズドノヴァン・ ジョーンズ
  • 本稿では、2023年8月30日に発表されたクラウドストライク(CRWD)の最新の2024年度第2四半期決算とテクノロジー面での同社の強み(競争優位性)を詳しく分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
  • クラウドストライクは、サイバーセキュリティ関連のソフトウェアとサービスを世界中に提供しているテクノロジー企業です。
  • 最新の決算発表では、目覚ましい収益成長を続け、現在の業績は黒字となっていることからも、私の同社株式に対する見通しは「強気」としています。

クラウドストライク(CRWD)について

クラウドストライクCRWD)は、世界中の組織に対して、サイバーセキュリティ関連のソフトウェアを提供している。

同社は、サイバーセキュリティ市場の主要プレーヤーであり、プロダクトのラインアップと顧客基盤を拡大している。

収益性は若干低いものの、継続的な成長軌道と堅実な財務基盤は、同社の有望な将来性を示唆している。

それらを踏まえ、私は同社株式に対して「強気」で見ている。

クラウドストライク(CRWD)の概要

クラウドストライクは、テキサス州オースティンに本社を置く米国のサイバーセキュリティ・テクノロジー企業であるが、創業者の経歴から、シリコンバレーを連想されることが多いのが現状である。

同社は、エンドポイント、クラウド・ワークロード、アイデンティティ、データ等、様々な領域に渡り、クラウド経由により顧客にプロテクションを提供している。

また、SaaS(Software-as-a-Service)サブスクリプションモデルを採用している。

同社を率いているのは、CEO兼共同創業者のジョージ・カーツ氏である。

カーツ氏は、当業界で、28年以上の経験を持つセキュリティの専門家として知られている。

また、サイバーセキュリティのトピックに関する著者や講演者としても知られている。

同社の前には、Foundstoneを設立し、更に、McAfeeで最高技術責任者(CTO)を務めてた実績を持つ。

クラウドストライク(CRWD)のターゲット市場と競合他社

世界のエンドポイント・セキュリティ市場は、2022年に124億6000万ドルと評価された。

Fortune Business Insightsのレポートによると、2023年の136億ドルから、2030年には257億1000万ドルに成長すると予測 されている。

この成長が達成されれば、予測期間中の年平均成長率(CAGR)は9.5%となる。

主要企業と製品

エンドポイント・セキュリティ市場では、複数の主要企業が様々な製品やサービスを提供している。

  • Broadcom Inc. (Symantec Corporation)、VMware INC.、Microsoft Corporation、Cisco Systems Inc.、McAfee LLC等が、この分野の主要企業である。
  • その他の注目すべき企業には、HCL Technologies Limited、The International Business Machines Corporation (IBM)、Trend Micro Incorporated、Palo Alto Networks, Inc.、Sophos Limited、AO Kaspersky Lab等が挙げられる。
  • 製品、および、サービスに関しては、従来のウイルス対策ソフトウェアから、より高度な脅威に対するインテリジェンス、および、対応ソリューションまで多岐に渡っている。

トレンド

エンドポイント・セキュリティ市場を形成しているトレンドは以下の通りである。

  • 人間を中心としたセキュリティ設計:コントロール管理における従業員の経験を重視し、サイバーセキュリティに起因する摩擦を軽減する。
  • 人材(タレント)管理の強化:サイバーセキュリティ分野における人材を引き付け、維持するためには、人間を中心とした人材管理に重点を置いている。
  • サイバーセキュリティ運用モデルの変革:技術的な仕事が、各事業部門にどのように分配されるかに適応し、且つ、各事業の成果を重視している。
  • 継続的脅威露出管理(Continuous Threat Exposure Management / CTEM):当管理プログラムを通じて、複雑な攻撃対象領域を管理するための評価手法を進化させている。
  • アイデンティティ・ファブリック・イミュニティ:アイデンティティ・インフラの脆弱性に対処し、新たな攻撃を防止する。
  • サイバーセキュリティの検証:サイバーセキュリティ検証用の自動化ツールを使用して、潜在的な脅威や脆弱性を評価する。

成長をリードする市場セグメント

  • BYOD(私的デバイスを持ち込むことを認める)ポリシーの導入:企業におけるBYODポリシーの導入により、エンドポイント・セキュリティ・ソリューションの強化が求められている。
  • AIと機械学習:脅威の検出と対応を改善するためのAIとMLベースのソリューションの導入が、大きな成長促進要因となっている。
  • 接続デバイス数の増加:デジタル化とIoTの導入による接続デバイス数の増加が、エンドポイント・セキュリティの需要に寄与している。

クラウドストライク(CRWD)の最近の財務動向

四半期別総売上高(Total Revenue:青色の列)は目覚ましい成長を続けており、四半期別営業利益(Operating Incom:赤色の線)はブレークイーブンに向けて前進している。

四半期別売上総利益率(Gross Profit Margin:緑色の線)は、最近の四半期で上昇傾向にある。

また、四半期別総売上高に占める販売費および一般管理費の割合(Selling, G&A % Of Revenue:茶色の線)は低下しており、効率性の向上を示すポジティブなシグナルとなっている。

希薄化後一株当たり利益(Earnings Per Share:赤い線)は直近四半期でプラスに転じている。

(上記グラフのデータは全てGAAPベース)

過去12ヶ月間で、同社の株価は40.25%上昇したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウェアETF (IGV)の株価は35.79%のみ上昇した。

貸借対照表では、同社は31億7,000万ドルの現金および現金同等物と、7億4,200万ドルの負債(全て長期負債)で四半期を終えた。

12ヶ月間のフリーキャッシュフローは8億4,200万ドル、資本支出は2億1,900万ドルであった。

クラウドストライク(CRWD)のバリュエーションとその他の指標

以下は、同社に関連するバリュエーションの表である

指標(直近過去12ヵ月)

企業価値 / 売上高

16.9

企業価値 / EBITDA

-

株価売上高倍率

17.5

売上高成長率

44.1%

純利益率

-3.5%

EBITDAマージン

-2.5%

時価総額

$46,880,000,000

企業価値

$44,530,000,000

営業キャッシュフロー

$1,060,000,000

一株当たり利益(完全希薄化後)

-$0.41

予想EPS

$2.83

一株当たりフリーキャッシュフロー

$3.39

40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていることを示すものである。

同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で42.0%であったため、下表の通り、同社は良好な業績を上げていることが分かる。

40%ルール・パフォーマンス(調整前)

2024年度第2四半期

売上高成長率

44.1%

営業利益率

-2.1%

合計

42.0%

クラウドストライク(CRWD)に関するコメント

2024 年第2四半期決算に関する前回の決算説明会では、経営陣のコメントとして以下の点が強調された。

・同社は第2四半期に力強い成長を報告し、トップラインとボトムラインの両指標でガイダンスを上回った。これは、マクロ経済が厳しい状況にあるにもかかわらず達成されたものである。

・当四半期末の年間経常収益(ARR)は29億ドルで、前年同期比37%増となった。この成長を牽引したのは、クラウド・セキュリティ、アイデンティティ・プロテクション、LogScale Next-gen SIEMの記録的な貢献であり、これらのARRは合わせて5億ドルを突破した。

・同社のNon GAAPベースの営業利益率は21.3%と過去最高を記録し、Non GAAPベースの純利益は前年比109%増となった。また、2四半期連続でGAAPベースの黒字を達成した。

・第2四半期のフリーキャッシュフローは1億8,870万ドルで過去最高となった。また、8つ以上のファルコン・プラットフォーム・モジュールを含む案件が前年同期比で80%以上増加した。

・経営陣は通期の売上高見通しを上方修正し、第4四半期は目標とするNon GAAPベースの営業利益率内で終了する見込みである。また、25年度からは年間ベースで目標モデル内に留まる予定である。

・経営陣は、競争環境における大きな変化を観察しており、それが同社に独自の利益をもたらしていると考えている。下期の業績は、新規ARR純増数が2桁になると予想している。

・アナリストは、同社経営陣に対して、業績と今後のガイダンス、製品と競争環境について質問した。

・経営陣は、収益と顧客定着率に満足しており、事業ラインの複数の分野で力強さが見られると回答した。

・にもかかわらず、取引サイクルが長期化しているため、今後のガイダンスには慎重を期しているという。

・製品に関しては、買い手は、同セグメントにおける包括的なプラットフォームを購入することに注力しており、市場におけるレガシー・システムを置き換える大きな機会があると経営陣は考えている。

・2023年度の2022年度対比での成長率30.6%に対し、2024年度のコンセンサス収益成長率は35.6%と予想されており、同社のトップライン収益の成長は加速する可能性がある。

・同社の新興製品も急成長を遂げており、中でもアイデンティティ・プロテクション・モジュールはARRに大きく貢献している。

・同社のLogScale製品のARRは前年比200%増を記録しており、ログ管理プラットフォームにおいても競争優位性を示している。

以上より、クラウドストライクはサイバーセキュリティ市場のリーディング・プレイヤーであり、プロダクト・ラインアップと顧客基盤を継続して拡大している。

現時点での収益性は低いものの、その成長軌道と堅実な財務基盤は同社の将来性を示唆している。

以上より、私は同社株式に対して「強気」で見ている。

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