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06 - 15 - 2024

やや強気
クラウドストライク
やや強気
同業他社対比では、PERの観点からは同社のバリュエーションが過大評価されているのは間違いないが、サイバーセキュリティ業界においては非常に魅力的な優良企業であると見ている。
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クラウドストライク(CRWD)の今後の株価見通し:最新の2025年1Q決算発表は好調!同社の強みと将来性に迫る!

ジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • 本稿では、2024年6月4日に発表された、クラウドストライク(CRWD)の最新の2025年度第1四半期決算発とテクノロジー面での同社の強み(競争優位性)を詳しく分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
  • クラウドストライクは、AIと機械学習を活用し、クラウドベースの軽量エージェントでサイバー脅威に対抗する革新的なアプローチを取っています。
  • 同社は2025年度第1四半期決算で、年間経常収益(ARR)が前年同期比33%増、サブスクリプション売上総利益が34%増、営業利益が72%増といった目覚ましい業績を報告しています。
  • AIとサイバーセキュリティ市場の急成長が予想される中、クラウドストライクは戦略的パートナーシップや強固なプラットフォーム導入により、サイバーセキュリティ分野のリーダーとしての地位を確立しています。

クラウドストライク(CRWD)の概要

貴重なデータがますますクラウドに移行し、個人や企業がサイバー攻撃にさらされる中、AIとサイバーセキュリティ市場は今後数年で爆発的に成長することが予想されている。

クラウドストライク(CRWD)は、処理をクラウドに移行する軽量エージェントを使用し、既知・未知両方の脅威に対抗するために行動分析と機械学習を採用するという革新的なアプローチで、この急成長市場で際立っている。

厳しい競争にもかかわらず、最近の決算報告では、同社は年間経常収益(ARR)が前年同期比33%増、サブスクリプション売上総利益、営業利益、フリー・キャッシュフローが大幅に増加するなど、目覚ましい成長を示している。

戦略的パートナーシップ、強固なプラットフォーム導入、継続的な財務成長により、同社はサイバーセキュリティ分野のリーダーとしての地位を確立している。

現在の高いバリュエーションは同社の強固な業績を反映したものであり、高い収益成長ポテンシャルがあることからも、引き続き、魅力的な投資対象と見ている。

クラウドストライク(CRWD)を取り巻く環境

AI/サイバーセキュリティ分野は、今後数年で巨大な市場になることが予想される。

私たちを取り巻く多くのデータがクラウドに移行し、個人も企業もサイバー攻撃にさらされることになる。

実際、現在すでにこのような事態が起きている。

※Compromises:セキュリティー侵害

Identity Theft Resource Centerのレポートによると、2024年第1四半期に米国で発生したデータ侵害の件数は、前年同期比でほぼ倍増しており、また、攻撃の頻度だけでなく、組織にかかる金銭的負担もエスカレートしている。

IBM(IBM)が発表した「2023 Cost of a Data Breach Report」によると、2023年のデータ侵害の平均コストは過去最高の445万ドルに達し、前年比2.3%増、3年間で15.3%増となっている。

これがいかに巨大な市場であるかは明らかであり、最終的に、クラウドストライク(CRWD)は2025年までに2250億ドル以上のTAM(獲得可能な最大市場規模)を見込んでいる。

クラウドストライク(CRWD)の2025年度第1四半期決算

クラウドストライク(CRWD)は2024年6月4日に2025年度第1四半期決算を発表し、引き続き卓越した業績と成長を示し、ガイダンスを上方修正している。

ARR(年間経常収益)は前年同期比33%増、売上(Revenue)も同ペースで伸びている。

2024会計年度第1四半期(1Q24)と2025会計年度第1四半期(1Q25)の同社の財務パフォーマンス指標は、様々なカテゴリーで著しい成長を示している。

サブスクリプションの売上総利益(Subscription Gross Profit)は、前年同期比(YoY)34%増となっており、2024年度第1四半期(1Q24)の5億2200万ドルから2025年度第1四半期(1Q25)の7億100万ドルに増加しており、利益率(% Margin)はいずれの期間も80%となっている。

営業利益(Operating Income)は2024年度第1四半期(1Q24)の1億1,600万ドル(利益率17%)から2025年度第1四半期(1Q25)の1億9,900万ドル(利益率22%)へと増加し、前年同期比72%の伸びを達成している。

希薄化後1株当たり利益(Diluted Earnings Per Share)は2024年度第1四半期(1Q24)の0.57ドルから2025年度第1四半期(1Q25)には0.93ドルに改善し、前年同期比63%増となっている。

フリー・キャッシュフローも、2024年度第1四半期(1Q24)の2億2,700万ドル(利益率33%)から2025年度第1四半期(1Q25)は3億2,200万ドル(利益率35%)に増加し、前年同期比42%増となっている。

そして、これらの指標は、同社の堅調な財務面での成長と効率性を示していると言える。

クラウドストライクの主な業績には、年間経常収益(ARR)が前年同期比33%増の36億5,000万ドル、純新規ARRが同22%増の2億1,200万ドルという好調な業績が含まれる。

そして、サブスクリプション売上総利益率は過去最高の80%超、フリーキャッシュフローは過去最高の売上高の35%(% Margin)、GAAPベースでは5四半期連続の黒字を達成している。

足元、クラウド、アイデンティティ、次世代SIEMなど、より多くのモジュールと倍増した取引により、同社プラットフォームの採用が急増しており、同社は現在、フォーチュン100社のうち62社のクラウド・セキュリティ・プロバイダーとなっている。

セキュリティ統合企業として、シングル・エージェント、AIネイティブ・プラットフォーム、マルチモジュール案件の大幅な伸びを強調し、8モジュール以上の案件が前年比95%増となったと報告している。

クラウドストライク(CRWD)が優れている理由

従来のアンチウイルス・ソフトウェアは、ウイルス・データベースが侵害が発生した後にしか更新されないため、ゼロデイ・エクスプロイトや新しいマルウェアから保護する上で大きな課題に直面している。

実際に、ウイルスのコードの小さな変更は、従来の防御を簡単にバイパスすることを可能とする。

また、ローカル・スキャンプロセスは、しばしばシステムパフォーマンスを低下させ、クライアントへのプレゼンテーションのような重要なタスク中に特に問題となる可能性がある。

そこで、クラウドストライク(CRWD)のような次世代プロバイダーは、革新的な方法でこれらの問題に対処している。

クラウドストライクは、リソースの集中する処理をクラウドに移行する軽量エージェントを使用し、個々のデバイスのシステムパフォーマンスの低下を防いでいる。

さらに、同社は、既知および未知の脅威に関連するパターンや動作を検出するために、行動分析と機械学習を採用しており、マルウェア・シグネチャ・データベースのみに依存することなく、ゼロデイ・エクスプロイトへの効果的な対応を可能にしている。

クラウドストライク(CRWD)のバリュエーション

クラウドストライク(CRWD)は間違いなくエンジンがフル回転している状態であるように見えるが、これは同社の株価に反映されているようにも見える。

P/S(PSR):株価売上高倍率

P/E(PER):株価収益率

P/OCF:株価 ÷ 営業活動によるキャッシュフロー

P/FCFE:株価 ÷ 株主に帰属するフリー・キャッシュフロー

P/B(PBR):株価純資産倍率

EV/S:企業価値 ÷ 株価

上記グラフに示される通り、同社の様々なバリュエーション指標を、その歴史と業界比較の両方から見ていただきたい。

過去の基準から見ると、PER(P/E)を見ない限り、株価はそれほど割高ではないように見える。

しかしながら、下表の様に、同業他社とPER(P/E)を比較した場合には、同社のバリュエーションは非常に割高であるように見える。

上記のグラフより、少なくともPERに基づけば、同業他社よりもはるかに高い水準で取引されているが、PEGレシオ(PEG Ratio)を見ていただきたい。

PEGレシオは1.34にかなり近く、左程割高という水準ではない。

同社の今後の収益は前年同期比30%近い成長が見込まれており、これは注目に値するポイントである。

クラウドストライク(CRWD)へのテクニカル分析

クラウドストライク(CRWD)のテクニカル指標は力強い上昇トレンドを示し、勢いがある(高いRSI、MACDクロスオーバー)。

また、市場のアナリストの同社に対するセンチメント(見通し)は非常に良好で、大半が買いを推奨している。

しかし、RSIが買われすぎの水準に近づいているため、短期的な反落を示唆する可能性はあるが、テクニカル指標からは大きな売りシグナルは出ていないように見える。

既に同社株式を保有しているのであれば、足元の強い上昇トレンドと市場のアナリストのポジティブなセンチメントを受けて、さらなる上昇を期待して保有を続けるだろう。

テクニカル指標の強い上昇トレンド、市場のアナリストによる高い信頼感、6月の季節的な強さを考慮すると、引き続き、同社は魅力的な投資対象に見える。

しかし、投資家はRSIの水準を注意深くモニターし、買われすぎの可能性をチェックし、短期的なボラティリティに備える必要があるだろう。

クラウドストライク(CRWD)に対する結論

以上より、クラウドストライク(CRWD)は長期的な目線での投資を検討する上で魅力的な投資対象に見える。

同業他社対比では、PERの観点からは同社のバリュエーションが過大評価されているのは間違いないが、サイバーセキュリティ業界においては非常に魅力的な優良企業であると見ている。

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