中立アルファベット クラスAアルファベット・グーグル / GOOG・GOOGL / 中立:最新の2023年4Q決算・競争優位性分析と今後の株価見通し・将来性

- アルファベット・グーグル(GOOG / GOOGL)は、2024年1月30日に2023年第4四半期決算を発表している。
- 同社の株価は第4四半期決算後、2023年第3四半期決算後と同様の流れで売り優勢の展開となっている。
- 私が2023年8月に同社株式に注目して以来、昨日の時間外での下落を踏まえても、当時の水準から株価はまだ7-8%程度上昇している。
- ただし、足元の状況を踏まえ、同社株式に対しては保守的に見ている。
アルファベット / グーグル(GOOG/GOOGL)への投資テーマ
昨日、アルファベット / グーグル(GOOG/ GOOGL)は、第4四半期決算の結果を受けて売られる展開となった。
(出典:ヤフーファイナンス)
思い起こせば、2023年第3四半期決算の後も、アルファベットはさらに売られていた。
しかし、この2回の売りにもかかわらず、2023年8月1日(当時1株132ドル)に私が初めてこの銘柄に注目して以来、株価は依然として7%~8%ほど上昇している。
ポートフォリオ全体で年平均成長率15%を目指す投資家にとって、これは妥当なリターンだと考えている。
とはいえ、この分析を読者皆さんと一緒に見ていく中で、私はこの銘柄の更なる買い増しを検討するつもりはない。
これまで何度も述べてきたとおりで、私が投資する企業は、その時点から少なくとも1年間は所有したいと純粋に思うビジネスだけである。
そのため、その銘柄に明確なプラスのリスクリワードがないと思えば、買い増しもしない。
だからといって、私のアルファベット への投資に何か問題があるというわけではない。
ただし、私にはポートフォリオを15%複利で運用できるような、最高のリスク・リターンを見いだせる事業にのみ投資するというルールがあることから、この水準からの同社株式の買い増しは検討していない。
そして、私の現在の同社株式の目標株価として、2024年8月までに160ドルの水準を見ている。
私のアルファベット / グーグル(GOOG/GOOGL)への過去の見解
前回のアルファベットへの分析で私は下記のように説明している。
「一方では、アルファベットの比較対象が第4四半期に容易になり、2024年上半期までずっと容易なままである可能性が高いことは間違いない。」
「結局のところ、2022年第3四半期は久しぶりに厳しい四半期となった。したがって、この時点から2024年にかけて、アルファベットの売上高成長率は安定すると見るのが妥当であると考える。」
「その一方で、成長率が停滞している証拠でもある。そのため、 アルファベットはもはや高成長株とは呼べない。もっと厳しい言い方をすれば、今のアルファベットの見通しは魅力に欠け、投資家の投資意欲をそそるような新しい''光る''事業部門もないというのが現状である。」
今にして思えば、安定成長という同社株式に対する私の予想は正しかった。
しかし、いつものように私は極めて保守的な予想をしている。
だから、2024年以降も安定すると予想しながらも、途中でポジティブ・サプライズが起こることを期待していた。
しかしながら、結局、ポジティブ・サプライズは得られず、ほぼ私の最低限の予想通りの展開となっている。
アルファベット / グーグル(GOOG/GOOGL)の短期的見通し
アルファベットの短期的な見通しは、多様なサービスや製品のポートフォリオにまたがる多面的なものである。
特にGemini(ジェミニ)のような取り組みを通じて示されるAIの進歩の活用に重点を置くことで、アルファベットは、特に検索とYouTubeにおいて、プラットフォーム全体のユーザー体験をさらに革新する態勢を整えている。
Gemini Ultra(ジェミニ・ウルトラ)の導入とサーチ・ジェネレーティブ・エクスペリエンス(SGE)への応用は、ユーザー満足度を向上させながら、複雑なクエリや多様な情報ニーズに対応する検索機能の強化を約束している。
さらに、YouTube PremiumやMusicを含むアルファベットの定額制サービスは、Google Oneと並んで力強い成長を続けており、年間売上高は150億ドルに達している。
さらに、Gen AI機能と一流ブランドとの戦略的提携に後押しされたグーグル・クラウドの成長加速は、エンタープライズ市場での有望な見通しを示している。
一方で、アルファベットはダイナミックなエコシステムの中で無数の課題に直面している。
サブスクリプション収入が大幅に伸びているにもかかわらず、アルファベットはストリーミングやクラウドサービス市場での競争激化に直面している。
さらに、グーグル・クラウドはAWSやマイクロソフト・アジュールといった既存プレーヤーとの厳しい競争に直面しており、企業向けクラウド市場でより大きなシェアを獲得するための戦略的投資や差別化されたサービスの提供が必要となっている。
アルファベットの広範なその他の投資ポートフォリオは、破壊的イノベーションの可能性を秘めながら、資本配分において同じような一貫した継続的課題を示している。
基本的には、決算説明の中では、投資家たちが夢中になるようなストーリーがあったとは思えない。
したがって、市場の投資家は、次に述べるファンダメンタルズのみを評価せざるを得なかったというのが現状である。
アルファベット / グーグル(GOOG/GOOGL)の売上高成長率:年平均成長率10%程度と緩やかな成長
上記は、2024年第1四半期に関する私の予測であり、私はこれが賢明で、より保守的な見積もりであると考えている。
いずれにせよ、アルファベットが2024年に年平均成長率12%以上を達成することを想像するのは難しいと見ている。
アルファベット / グーグル(GOOG/GOOGL)のバリュエーション:予想EPSの22倍
上記をご覧の通り、アルファベットの営業利益は前年比年平均成長率12%強の伸びを示している。
これは、トップラインの年平均成長率10%を200ベーシスポイント上回っていることになる。
これは、アルファベットが収益性を最大化するために事業の適正化を試みていることを意味し、2023年のEPSは力強く伸びることとなった。
しかし、私が懸念しているのは、低いところにある果実が最初に摘まれてしまうということである。
従って、アルファベットは今後12ヶ月間、EPSの20%の年平均成長率を続けることができるだろうか?
もしかすると、2024年のEPS年平均成長率は16%程度に留まるかもしれない。
このことは、アルファベットが2024年にEPSが6.75ドルへの道を歩んでいることを意味し、市場が予想するEPSである6.69ドルよりも若干良い着地となる。
そして、それは株主としてとてもポジティブなことである。
しかし、トップラインの売上高が10%から12%程度の成長を遂げている事業に対して、22倍のEPSを支払うことがそれほど魅力的なことなのか、私は疑問に思っている。
ただし、誤解しないでほしい。アルファベットへの投資を悪い投資と言っている訳ではない。
しかし同時に、私はアルファベットよりもっと良い投資先があると考えている。
アルファベット / グーグル(GOOG/GOOGL)に対する結論
アルファベットの足元の株価パフォーマンスは、第4四半期決算をきっかけとした売りを反映したもので、2023年第3四半期決算後に見られたようなトレンドに沿った下落となっている。
こうした下落にもかかわらず、株価は全体的にプラスの軌道を維持しており、2023年8月の最初に私が注目して以来(当時1株132ドル)、依然として約7%から8%の上昇を維持している。
しかし、私は、リスク・リターンが明確で、年平均成長率15%の可能性がある事業に焦点を当てた規律ある投資戦略を維持するため、現時点ではこれ以上の同社株式への投資を検討しないことにした。
アルファベットの短期的な見通しは、特にGeminiのような取り組みやサブスクリプション・サービスの成長によって有望に見えるが、ストリーミングやクラウド・サービス市場における競争の激化など、課題が立ちはだかっている。
また、EPSの22倍という現在のバリュエーションは、トップラインで10%から12%という緩やかな成長率を踏まえると少し割高にも感じられる。