強気ヒムズ・ハーズ・ヘルスヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)の将来性:最新決算は利益率低下で軟調も、株価見通しは良好で30ドルも視野に!

- 本稿では、注目の米国テレヘルス企業であるヒムズ・アンド・ハーズ・ヘルス(HIMS)の8月5日に発表された最新の2024年第2四半期決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、個別の医療ソリューションを提供するプラットフォームで、好調な業績と強力なフリー・キャッシュフローを誇り、2025年の目標株価を30ドルと設定しています。
- 同社は、GLP-1薬を活用した体重管理プログラムを拡大し、潜在的な市場へのアクセスを強化しましたが、規制やコスト増が利益率に影響を及ぼす可能性があります。
- 投資家は短期的な利益率の縮小を懸念しているものの、同社の成長見通しと将来的なフリー・キャッシュフローの増加には期待が寄せられています。
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)に関して
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)は、2024年8月5日に、2024年度第2四半期決算を発表しており、非常に好調な四半期を迎えました。今回の四半期決算報告はあまりにも素晴らしく、投資家たちはこのガイダンスが持続可能であるかどうかを疑問視するほどであるように見えます。
私自身は、恐怖や不確実性に惑わされることは簡単ですが、この四半期の成果は実際に素晴らしいものであると思っています。
具体的には、2025年を見据えて、同社は予想EBITDAの17倍のバリュエーションで評価されていると考えています。それだけでなく、同社のフリー・キャッシュフローは非常に強力であり、バランスシートには負債が一切ないことを思い出してください。
そのため、私は、2025年の夏までの同社株式の目標株価を「30ドル」としています。
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ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)の短期的な展望
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)は、消費者に焦点を当てたアプローチで、さまざまな医療条件に対する個別のケアソリューションを提供する健康とウェルネスのプラットフォームです。テクノロジーを活用して、髪の製品や性の健康、そして最近では体重管理などの分野で個別の治療を提供する便利な健康サービスを展開しています。
同社は、個別化されたGLP-1薬を最近発売し、ウェイトロス(体重減量)市場に大きな影響を与える準備が整っています。この展開により、米国で1億人以上の潜在的な消費者へのアクセスが拡大されました。同社は、個別の経口ソリューションとGLP-1注射を含む包括的なウェイトロス・プログラムを提供しており、すでに有望な結果を示しています。顧客は大幅な体重減少と管理可能な副作用を報告しており、個別アプローチの効果が確認されています。この専門分野の急速な拡大は、1年以内に年商1億ドルの実績を達成しており、強い需要と持続的成長の可能性を示しています。
※GLP-1薬(GLP-1受容体作動薬):2型糖尿病の治療や体重管理に用いられる医薬品の一種です。GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、体内で自然に生成されるホルモンで、食事後に腸から分泌され、血糖値の調節や食欲の抑制に役立っています。GLP-1薬はこのホルモンの作用を模倣または強化することで、血糖値のコントロールや体重減少を促します。
しかし、同社はウェイトロス分野でいくつかの課題にも直面しています。規制上の障壁や、特にGLP-1の調剤薬に関する供給チェーンの管理の複雑さが大きな障害となっています。また、同社は、性の健康製品とは異なるFDA規制をクリアする必要があります。
さらに、個別ソリューションに関連するコスト構造は、運営の最適化に向けた戦略的投資が必要となるため、利益率に影響を与える可能性があります(詳細は後述します)。
パーソナライズされた製品を利用している総加入者の割合
(出典:2024年第2四半期決算資料より)
投資の世界では多くの情報が飛び交っており、混乱することもあるでしょう。そこで、私はこれらの投資プロセスをシンプルにすることを目指しています。注目すべきは、顧客の導入曲線とフリー・キャッシュフロー(この場合、EBITDAもほぼ同じです)です。
上記のチャートからも分かる通り、加入者の増加率は前年同期比で43%と非常に好調です。このように、事業が引き続き強い需要を受けている限り、その他の細かな要素は時間とともに重要でなくなっていくと見ています。
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)の売上高:2025年の売上高は年平均成長率35%で成長する可能性
ヒムズ&ハーズ・ヘルスの売上高成長率
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)は、今年の予想売上成長率を前年比43%から驚異の61%に引き上げるという驚くべきガイダンスの上方修正を発表しました。
2024年の見通し
(出典:2024年第2四半期決算資料より)
この成長率の変化は非常に驚異的で、あまり先を見越しすぎることに慎重になっています。それでも、2024年第3四半期は前年比70%の成長が見込まれ、この勢いが2025年に続く可能性があると考えています。
特に2025年の初めは、上記の売上高成長率のグラフからも分かる通り、比較対象が比較的容易であるため、このトレンドは顕著であるように見えます。
したがって、2025年の市場のアナリストによる売上予測は、極めて保守的であると見ており、これからの数日から数週間の間に、市場のアナリストたちは同社の売上高予測を上方修正する可能性があるのではないかと見ています。
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)のバリュエーション:予想EBITDAの17倍
私はインフレクション投資家です。そのため、戦略はシンプルで、まずは堅固なバランスシートと高い需要を持つビジネスを探します。この基盤があれば、事業に十分な柔軟性を持たせることができ、結果として株価が高いバリュエーションで取引される土台が築かれると考えています。
例えば、ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)は無借金で、時価総額の約6%が現金および現金同等物で構成されています。そして、先ほど述べたように、この戦略を複雑に考える必要はありません。
次に、同社がEBITDAの上限を約1億5500万ドルと見込んでいることを知っていますが、さらに詳細に目を向けてみましょう。以前の同社に関するレポートにおいて、私は下記の通り述べています。
「第二に、そしてより重要な点として、同社のEBITDAマージンが11%のままであると仮定したのは、GLP-1ビジネスで市場シェアを獲得するには新しいチームとインフラが必要であるためである。しかしその反面、同社は来年30%の年平均成長率(CAGR)で強力な売上高を達成する可能性がある。もしビジネスが2025年に30%成長し、且つ、同社が2億ドルの現金および有価証券を保有し、負債がないことを考慮すると、30倍未満のEBITDAのバリュエーションは割安に見える。」
ウェイトロス分野では、さらなるインフラストラクチャーの整備と人員の増強が必要です。これにより、同社の短期的な利益率は低下する可能性があります。その影響は以下に示されているとおりですが、2024年後半にかけてさらに影響が続くでしょう(2024年後半に関しては、以下のグラフにには表示されていません)。
利益率に関して
(出典:2024年第2四半期決算資料より)
※Quarterly revenue ($ million):四半期毎の売上高(百万ドル)
※Gross margin (percentage):売上総利益率(パーセンテージ)
ご覧のように、追加のインフラは徐々に整備されており、その様子が上のグラフの売上総利益率の低下に示されています。そして、このような内容は投資家には好まれません。なぜなら、投資家は、資金の回収を急いでおり、どの企業であれ成長のための投資を嫌う傾向にあります。
例えば、AIへの投資がどれだけ魅力的なリターンをもたらすかという最近の話題や、メタ・プラットフォームズ(META)がメタバースに積極的に投資していることを考えてみてください。いずれも同じで、投資家は今すぐにでも投資を回収したいと思っています。誰も12か月も待って資金が成長するのを待ちたくはありません。これが投資の現実です。
この点を考慮して、同社の最新のガイダンスを見てみましょう。
(出典:2024年第2四半期決算資料より)
ここでご覧いただけるのは、同社が2024年通年で約11%の調整後EBITDAマージン(Adj. EBITDA margin)を目標にしているということです。これは目標の上限、つまり最良のケースです。
2024年第2四半期に12.5%、第1四半期に11.6%のEBITDAマージンを報告した企業にとって、第3四半期のガイダンスは第2四半期と比較して約150ベーシスポイント(1.5%)のEBITDAマージンの縮小を示しています。この点は以下のグラフで確認できます。
(出典:2024年第2四半期決算資料より)
今後、同社は利益の最大化ではなく成長のために投資する必要があるため、以前ほどの利益は見込めないでしょう。
しかし、投資家が最も注目すべき点は、最終的にはより高いフリー・キャッシュフローです。そしてそれは実現しつつあるように見えます。
具体的な例として、以下のグラフをご覧ください。
キャッシュフロー
(出典:2024年第2四半期決算資料より)
同社のフリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow)は前年比で375%以上増加し、4,800万ドルに達しました。これは、90日間としては驚くべきフリー・キャッシュフローの額です。この点を踏まえて、私が同社に関する以前のレポートで述べたことを思い出してください。
「まず第一に、既に2024年の半ばに差し掛かっている。したがって、今は2025年の見通しを形成する方が理にかなっている。もし同社のEBITDAマージンが2025年に11%のままであると仮定すれば、少なくとも2億ドルのEBITDAが見込まれる。これは、同社が来年のEBITDAの23倍で評価されていることを意味する。」
現在の同社の成長プロファイルを考慮すると、2025年には約2億2000万ドルのEBITDAが見込めると考えています。この数値は、同社のEBITDAマージンが約11.5%で推移し、売上高が2025年に年平均成長率35%で成長することを前提にしています。
※成長プロファイル:企業の成長に関する特徴や見通しを示す概念。具体的には、企業の売上、利益、顧客数などの主要な指標がどのように増加しているか、または今後どのように成長することが予想されるかを表します。成長プロファイルは、企業の成長戦略や市場でのポジショニング、競争力などを分析する際に使用されます。
この結果、同社の現在の株価は将来の予想EBITDAの17倍となり、割安であるように見えます。
それにもかかわらず、市場の投資家は、上述の同社の利益率に関するプロファイルの変更を好意的に受け取りませんでした。
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)に対する結論
ヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)の現在のバリュエーションは、将来の予想EBITDAの17倍となっており、特にその強力な成長軌道と無借金のバランスシートを考えると割安に見えます。同社の卓越した売上高成長と魅力的なフリー・キャッシュフローを生み出す能力は、同社の潜在能力を裏付けています。
ウェイトロス分野のために追加のインフラや人員増強が必要であり、短期的には利益率が圧縮されますが、長期的な見通しは有望であると見ています。
この同社のガイダンスに対する時間外取引での反応は否定的でしたが、投資家は通常、戦略的なグロース株への投資であっても利益率の縮小を嫌う傾向にあります。
それでも、将来のフリー・キャッシュフローの可能性は否定できず、同社は将来的に大きなリターンをもたらす可能性があると見ています。
さらに、その他のヒムズ&ハーズ・ヘルス(HIMS)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ヒムズ&ハーズ・ヘルスのページにアクセスしていただければと思います。
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アナリスト紹介:マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
📍テクノロジー&エネルギー担当
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