インシデント対応管理とは?米国における最新の業界トレンドと注目企業を徹底分析!(MSFT・CRWD・PANW・IBM等)
- 本稿では、米国の大手インシデント対応管理業界に関する解説と、同業界における米国の大手企業の最新トレンドを紹介します。
- これらの大手企業は、サイバー脅威へのインシデント対応能力を高めるために投資を集め続けています。
- そして、AIと機械学習(ML)技術は、デジタル脅威を検出し、対応し、無力化する能力を向上させるために、ますますシステムに統合されています。
- 特に、最近では、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、クラウドストライク(CRWD)、パロアルトネットワークス(PANW)等の主要企業が大きな進展を見せています。
インシデント対応管理業界とは?
インシデント対応管理業界とは、サイバー攻撃やセキュリティインシデントが発生した際に、被害を最小限に抑えるための対応策を計画・実行・管理するサービスやソリューションを提供する業界です。
セキュリティインシデントとは、コンピュータシステムやネットワークにおいて、データの漏洩、不正アクセス、サービス停止などのセキュリティに関する問題が発生する出来事を指します。
これには、サイバー攻撃やウイルス感染、内部の不正行為などが含まれ、組織の機密情報や運営に影響を与える可能性があります。
この業界の企業は、セキュリティリスクを迅速かつ効果的に処理するためのツールや専門知識を提供し、企業の安全性を確保する役割を担っています。
インシデント対応管理業界は、サイバー脅威の高度化と、大規模な上場企業に対するセキュリティ強化の規制圧力が高まる中、急速に進化しています。
一つの明確な傾向として、大手企業による小規模プレイヤーの統合や買収が進んでいます。
これにより、大手企業は自社の製品・サービスを拡充し、より包括的なインシデント対応ソリューションを提供できるようになっています。
例えば、IBM(IBM)によるResilient Systemsの買収、マイクロソフト(MSFT)によるHexaditeの買収、シスコ・システムズ(CSCO)によるDuo Securityの買収などがその典型です。
これらの買収により、先進技術の導入が進むとともに、企業内の専門知識や人材が強化されています。
もう一つの大きな動向として、クラウドベースのインシデント対応プラットフォームへの移行が挙げられます。
クラウドを活用することで、企業はスケーラビリティや柔軟性を享受し、インシデントへの対応がより効率的かつコスト効果の高いものとなっています。
クラウドベースのソリューションを提供している代表的な企業としては、スプランク(SPLK)のSplunk Enterprise Security、クラウドストライク(CRWD)のFalconプラットフォーム、パロアルトネットワークス(PANW)のCortex XSOARが挙げられます。
クラウドベースのアプローチは、インシデント対応チーム間でのコラボレーションや情報共有も促進し、対応の効果をさらに高めています。
さらに、人工知能(AI)や機械学習(ML)をインシデント対応管理ソリューションに統合する動きが加速しています。
これらの技術は、脅威の検出や分析、対策の自動化において重要な役割を果たし、セキュリティチームがより迅速かつ正確にインシデントに対応できるよう支援しています。
IBM(IBM)のQRadar Advisor with Watson、マイクロソフト(MSFT)のAzure Sentinel、アルファベット(GOOG/GOOGL)のChronicle Securityプラットフォームなど、AIやMLを活用してインシデント対応のスピードと精度を向上させる企業が増えています。
自動化に加えて、プロアクティブな脅威ハンティングへの注目も高まっています。
インシデントが発生するのを待つのではなく、組織は自社ネットワーク内の潜在的な脅威を積極的に探し出しています。
例えば、クラウドストライク(CRWD)のFalcon OverWatchによる管理型脅威ハンティングサービス、FireEyeのMandiant Advantage Threat Intelligence、ゼットスケーラー(ZS)のZscaler ThreatLabZセキュリティ研究チームなどが、この分野で先導的な役割を果たしており、専門チームと高度な分析を駆使して脅威を特定し、被害を未然に防いでいます。
規制の強化も、インシデント対応管理業界に大きな影響を与えています。GDPRやCCPAといったデータプライバシー規制が強まる中、企業は強固なインシデント対応能力を示すことが求められています。
※GDPR(General Data Protection Regulation):欧州連合(EU)内の個人データの保護とプライバシーを規定する法律で、2018年に施行されました。この規則は、EU市民のデータを取り扱うすべての企業に適用され、データの収集や処理、保存に関する厳格な基準を設けています。
※CCPA(California Consumer Privacy Act):アメリカ合衆国カリフォルニア州における消費者データのプライバシーを保護する法律で、2020年に施行されました。この法律は、カリフォルニア州の住民に対して、自身の個人情報に関する権利を付与し、企業に対してデータの収集や共有に関する透明性を求めています。
これにより、インシデント対応に加えて、規制要件への適合をサポートするソリューションの需要が高まっています。
サービスナウ(NOW)のガバナンス、リスク、およびコンプライアンス(GRC)ソリューション、オクタ(OKTA)のアイデンティティおよびアクセス管理プラットフォーム、SailPointのアイデンティティガバナンスソリューションなどが、こうしたニーズに対応しています。
熟練したインシデント対応専門家の需要は依然として供給を上回っています。このギャップを認識した大手企業は、社内の専門知識を強化するために、トレーニングや開発プログラムへの投資を強化しています。
一方で、アルファベット(GOOG/GOOGL)の子会社であるマンディアント(MNDT)や、デル・テクノロジーズ(DELL)の子会社であるセキュアワークス(SCWX)などは、インシデント対応サービスに特化しており、複雑なインシデントに対応するための内部リソースが不足している企業に対して、オンデマンドで専門知識を提供しています。
また、ランサムウェア攻撃の増加がインシデント対応の状況を大きく変えています。企業は、攻撃からの回復を支援するだけでなく、そもそも攻撃を防ぐためのソリューションを重視しています。
これには、エンドポイントセキュリティの強化、ネットワークセグメンテーションの実施、データのバックアップとリカバリーの強化が含まれます。主なプロダクトには、クラウドストライク(CRWD)のFalconプラットフォーム、センチネルワン(S)のSingularity XDRプラットフォーム、VMware(AVGO)のCarbon Black Cloudエンドポイントセキュリティプラットフォームなどが挙げられ、ランサムウェア攻撃のリスクを軽減し、侵害が発生した際の迅速な回復を支援する強力なソリューションを提供しています。
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