インテル / INTC:大手半導体企業の最新の2024年第1四半期決算速報・分析と今後の株価予想・将来性(Intel)
ダグラス・ オローリン- インテル(INTC)は2024年4月25日に2024年度第1四半期決算を発表し、事前のガイダンスに未達となった。
- 第2四半期のガイダンスも市場の期待には届かない見通しであり、主要事業分野での問題が浮き彫りになっている。
- 同社は、特にAI分野での今後の成長に期待を寄せているが、弱体化したセグメントや競争環境等、継続して問題に直面している。
インテル(INTC)の2024年第1四半期決算に関して
インテル(INTC)は事前のガイダンスに未達となっている。
ガイダンスの中には、達成すべきハードルを意図的に低く設定しているものもあると思われるが、売上高とEPSの面では特に悪く映ってしまう。
以前、私はx86 CPU事業を補うために若いファウンドリー事業を待つのは意味がないと説明したが、そのセオリーが現実となったようである。
まずは同社の業績について話していきたい。
第1四半期決算
非経常損益項目を除くベースでのEPS:0.18ドル(ファクトセット予想:0.14ドル)
売上高:127.2億ドル(ファクトセット予想:128.0億ドル)
第2四半期ガイダンス
EPS:0.10ドル(ファクトセット予想:0.25ドル)
売上高:125億ドル~135億ドル(ファクトセット予想:136.1億ドル)
上記の内容は非常に残念なガイダンスだったと言える。
彼らはこのEPSを手堅く上回るだろうが、売上高は、ガイダンスの上限でも前年比成長率はかなり低いというのが現状である。
彼らは、今年いっぱいは順次売上高が伸びると考えており、2024年下半期に5億ドルのGaudi経由の売上高を報告するための四半期だと判断している。
つまり、彼らはおそらく最大で10億ドルのラン・レート(想定年間売上高)のAI事業を持っているということである。
では、同社のマイナス点について話していきたい。
まずNEXは悪い結果だったが、チャネルでは状況が改善していると言われている。
(原文)Lastly, within NEX, the business has stabilized and beat our Q1 targets with channel inventories approaching normal levels and business acceleration expected through the year as a result.
(日本語訳)最後に、NEXについては、事業が安定し、第1四半期の目標を上回ったことで、チャネル在庫が通常レベルに近づき、その結果、年間を通じて事業の加速が見込まれます。
(原文)And then on NEX, of course, that business also has gone through its own inventory adjustment. So we have good confidence around that reversing, which will help drive strength. And then some of the products that are more tailored to the AI space, of course, we'll see like, at NEX, for example, we'll see strength through the year. And so that should drive good revenue growth through the year as well.
(日本語訳)もちろん、NEX事業も在庫調整に入っています。そのため、この在庫調整が回復に向かうと確信しており、それが強さの原動力となっています。また、AI分野に特化した製品もあり、例えばNEXのように年間を通じて好調に推移するでしょう。そのため、年間を通じて売上高の伸びも期待できるでしょう。
もうひとつ興味深かったのは、インテルが同社製品と「非中核事業」についてのコメントを調整し始めたことである。
すべての非中核事業が前年比で減少しており、それが低迷が続いている理由であることにはご留意いただきたい。
私は懐疑的なのかもしれないが、全体の評価の際に、非採算部門を考慮することは非常に理にかなっている。
また、現時点がボトム地点であれば、これ以降は、市場からバリュエーションという観点で厳しく罰される(ディスカウントされる)ことはないだろう。
しかし、顧客は在庫サイクルを経て好調に推移しているが、NEX、モービルアイ(MBLY)、アルテラはサイクルの谷に近づいている。
(原文)We have the $0.5 billion of Gaudi, right? And most of that is second half loaded. And the All Other businesses coming out of inventory positions in Altera and Mobileye and NEX, all of those improved first half to second half as well. And then incremental, I'll just say, Intel Foundry, every quarter from here until the decade and we're seeing improvement in the Intel Foundry.
(日本語訳)Gaudi経由の5億ドルがありますね。その大半は下半期に計上されます。また、アルテラ、モービルアイ、NEXの在庫ポジションから生じるその他事業も、上半期から下半期にかけて改善しました。それから、インテル・ファウンドリーですが、これから10年間の間、四半期ごとにインテル・ファウンドリーの改善が見られと見ています。
ここで私が最も興味深いと思ったのは、アルテラの弱さである。
下表の通り、同社はアルテラからのラン・レートを20億ドルと見ており、下記のコメントのように、彼らは20億ドルのラン・レートを「簡単なこと」と言っている。
(原文)Yes. On Altera, and this is not unprecedented when you see a massive work down of inventory, of course, that significantly impacts the revenue. But as that normalizes, then you start shipping to end consumption. So it's actually a pretty easy lift to get to the $2 billion mark once we're through the inventory digestion period. So I think we have high confidence on that.
(日本語訳)そうですね。アルテラについては、これは前例がないことではありませんが、在庫の大量整理が行われると、もちろん売上高に大きな影響が出ます。しかし、それが正常化すれば、最終消費者への出荷が始まります。ですから、在庫の消化期間を終えれば、20億ドルの大台に乗せるのは実は簡単なことなのです。ですから、この点については高い自信を持っています。
また、インテル・ファウンドリーの採算性の低さもようやく明らかになった。
長期的には改善するはずだが、この事業には非常に大きな営業利益における問題がある。
ここで、私の非常に間抜けな結論は、遂に顧客からの売上高と、率直に言ってあまり上手くいっていないDCAI(データセンター&AI)部門に基づいて同社を評価する時が来たということである。
18Aによって会社が救われる可能性は大いにあるが、それが売上高として意味のあるものに反映されるまでには長い時間がかかるだろう。
その一方で、クアルコム(QCOM)、エヌビディア(NVDA)、AMD(AMD)と競合するクライアントと競争しなければならない。
そして、仮に18Aを開発したとしても、これは急成長分野ではない。
DCAI部門は、AMDはもちろん、ハイパースケーラのARMベースCPUとも競争している。
つまり、インテルは窮地に立たされているのである。
これらのビジネスは極めて不採算であり、レガシー事業はしばらくの間、大打撃を受けるだろう。
また、アルテラやモービルアイのSOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)分析が救済につながればいいが、現時点ではこれらの事業もうまくいっていないのが現状である。
以上より、インテルは苦境にあり、すぐには良くなることは期待し難いと見ている。
それにしても、同社は最近本当に崩壊しているように見える。
今が同社の株価の底だとしても驚かないが、すぐに1株~50ドルになるとは考えにくいというのが本音である。