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11 - 17 - 2024

インテル(INTC)配当停止の理由とは?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて将来性に迫る!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、インテル(INTC:予想配当利回り0%・配当性向179%・1株当たり配当金0ドル)の2024年10月31日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の配当停止の理由、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • 同社は財務面で厳しい状況にあり、足元では配当支払いが停止され、さらに高いPERやEV/EBITDA倍率からも慎重な投資判断が求められています。 
  • 同社の2024年第3四半期決算では、EPSが前年同期と比べて大幅に減少し、粗利益率も低下するなど、競争激化や市場環境の影響が伺えます。 
  • 同社のROICは現在のWACCを下回り、資本効率が低下しているため、再び経済的な価値を創出するためには、戦略的な投資やコスト管理の強化が必要とされています。

インテル(INTC)の概要


バリュエーション:やや割安

リスクレベル:中リスク


セクター:半導体

現在の株価:24ドル

時価総額:1,050億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:29.06ドル

安全余裕率(マージン):16.21%

過去5年間の配当成長率:-5.40%

前回配当落ち日:2024年8月7日

前回配当支払い日:2024年9月1日

予想配当利回り:0.00%(2024年第4四半期より配当支払い停止)

過去5年間の売上高成長率-2.50%

過去10年間の売上高成長率:4.70%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

インテル(INTC:予想配当利回り0%・配当性向179%・1株当たり配当金0ドル)は、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を構える半導体およびテクノロジー分野のリーディング企業です。

インテルは特にマイクロプロセッサの設計と製造に強みを持ち、PC市場やデータセンター向けの中央処理装置(CPU)で大きな市場シェアを占めています。

同社はまた、x86アーキテクチャを採用したプロセッサで長年の技術革新をリードし、半導体業界でムーアの法則を推進してきました。

さらに、通信インフラや自動車、モノのインターネット(IoT)といった新たな分野にも進出し、ビジネスの多角化を図っています。

最近ではファウンドリ事業に力を入れ、他社向けチップ製造サービスの提供も開始しました。

インテルの財務状況は、近年の課題が浮き彫りになっており、過去3年間で長期負債が108億ドル増加し、キャッシュフローへの影響が懸念されています。

また、営業利益が過去12四半期のうち約6割の四半期で赤字となるなど、収益性に課題を抱えています。

加えて、配当の支払いも2024年第4四半期より停止されていることから、安定した配当収入を求めるインカム投資家にとってはやや厳しい状況です。

同社は20241031日に2024年第3四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンスを詳しく解説していきます。

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インテル(INTC)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

インテル(INTC20241031日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは-0.46ドルを記録し、前四半期の0.02ドルや前年同期の0.41ドルから大幅に減少しています。

1株当たりの売上高は前四半期の3.007ドルから3.095ドルにわずかに増加したものの、前年同期の3.348ドルには届きませんでした。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-26.10%、過去10年間の年平均成長率は-0.20%となっており、足元で状況が著しく悪化していることが分かります。

業界予測では、半導体市場は今後10年間で年平均6〜8%の成長が見込まれていますが、同社は依然として厳しい状況に直面しているように見えます。

また、粗利益率は34.67%と10年ぶりの低水準で、過去5年の中央値が55.45%、10年の中央値が59.79%だったことを考えると、競争の激化や価格圧力が大きな影響を与えていることがうかがえます。

さらに、過去1年間の自社株買い比率は-2.20%となり、キャッシュを確保するために自社株の買い戻しを抑えている様子が見られます。

ただし、過去5年間の自社株買い比率は1.20%であることからも、以前は自社株買いを通じてEPSの向上を図っていましたが、特に足元では自社株買いが減少していることが分かります。

今後の見通しでは、市場のアナリストは同社の売上が2026年に5,984億2470万ドルに達すると予想しています。

一方で、EPSの回復は2025年度まで困難との見通しが示されており、2024年度は-4.337ドルの損失が見込まれ、2025年度にはわずかに0.011ドルに回復するとされています。

次回の決算発表は2025年1月24日に予定されており、インテルの今後の業績や戦略についてさらなる情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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インテル(INTC)の財務パフォーマンスに関して

インテル(INTCの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、これまで高い資本効率を誇ってきました。

過去5年間のROICの中央値は16.74%で、WACCの中央値である5.66%を大きく上回り、資本を有効に活用して経済価値を生み出していたことがわかります。

しかし、下記のチャートからも分かる通り、最近のデータは厳しい現実を示しています。

現在のROICは-4.27%で、現在のWACCである9.75%を大きく下回り、資本コストを賄えていない状態です。

これは、利益を生むどころか、むしろ経済的な価値を失っている状況を意味し、競争の激化や運営上の課題、戦略上の問題が収益性や資本効率に悪影響を与えた可能性があります。

インテルが再び価値創出に向かうためには、戦略的な投資、イノベーションの推進、コスト管理の徹底を通じてROICをWACC以上に引き上げる必要があります。

これにより株主価値が向上し、財務健全性や市場での信頼が再び回復することが期待されます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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インテル(INTC)の配当に関して

インテル(INTC)は配当成長が大きく低迷しており、過去5年間の成長率は-5.40%、直近3年間では-17.50%と減少傾向が続き、さらに、業績悪化を受けて配当支払いは2024年第4四半期より停止となっています。

そのため、予想配当利回りは0.00%と、配当収入を重視するインカム投資家には魅力に欠ける状況と言えます。

また、配当性向は179.0%と非常に高く、過去10年中央値である100.35%を大きく上回っており、収益に対して配当の維持が困難な状態です。

また、EBITDA有利子負債倍率も15.27とかなり高く、特にテクノロジー業界では4.0を超えるとリスクが懸念される水準に達しており、財務リスクや債務管理に課題が見られます。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

以上より、配当支払いが停止されていることからも、投資家は同社への投資を検討する際には慎重な姿勢が求められるでしょう。

予想配当利回り0%

配当性向179%

配当カバレッジ・レシオ-7.43

過去5年間の配当成長率 -5.40%

EBITDA有利子負債倍率15.27

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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インテル(INTC)のバリュエーションに関して

インテル(INTCの現在の株価は24.35ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である29.06ドルよりもわずかに低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が16.21%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。

しかし、予想PERは25.05倍で、過去10年の中央値である13.46倍を大きく上回り、収益への期待が過剰かもしれません。

また、直近過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は39.86倍と非常に高く、過去10年間の中央値である7.29倍を大きく超えており、営業キャッシュフローに対する割高感が浮き彫りです。

一方、株価売上高倍率倍(PSR)は1.92倍で、過去10年間の中央値である2.93倍を下回り、売上に対しては割安と言えます。

しかし、直近12か月の株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は0倍で、フリーキャッシュフローが生み出されていない状態が続いており、キャッシュ生成力には懸念が残ります。

また、PBRは1.05倍で、過去10年間の中央値である2.59倍を下回り、純資産に対しては割安に見えます。

市場のアナリストによるインテルの今後の株価見通しも、ここ数か月で目標株価が若干引き下げられており、慎重な中立的姿勢がうかがえます。

以上より、弊社算出の一株当たり本質的価値を基にした安全余裕率はあるものの、予想PERやEV/EBITDA倍率の高さには注意が必要です。

そのため、インテルへの投資を検討する際には、現在のバリュエーション指標や業界動向、経済環境を踏まえ、リスクを十分に考慮して慎重に判断することが重要です。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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インテル(INTC)のリスクとリターンに関して

インテル(INTCのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社は現在、財務面でいくつかの課題に直面しており、主要な指標を見ても、財務状況に負荷がかかっていることがわかります。

まず、過去3年間で長期負債が108億ドル増加しており、今後のキャッシュフローに負担がかかる可能性が示唆されています。

また、過去12四半期のうち約6割の四半期において営業利益がマイナスとなっており、業務効率の問題が浮き彫りになっています。

さらに、ピオトロスキーのFスコアも3と低く、事業の健全性が懸念される中、粗利益率は年率8.6%で減少しています。

加えて、過去5年間で営業利益率は年率66.2%で大幅に低下しており、厳しい経営環境が続いています。

配当性向も179%と非常に高く、配当の支払いも2024年第4四半期より停止となっています。

1株あたりの売上高が過去5年間で減少傾向にあることも、将来の成長への不安材料となっています。

そして、アルトマンのZスコアは1.28で「危険ゾーン」に位置しており、今後2年以内に倒産リスクが高まっていることが示唆されています。

ただし、インサイダーによる自社株の買い増しに加え、ベニッシュのMスコアが低いことから、財務操作の可能性が低い点はポジティブな材料と言えるでしょう。

しかしながら、インテルを取り巻く全体的なリスクは依然として高く、慎重な判断が求められる状況です。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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インテル(INTC)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間のインテル(INTC)のインサイダーによる同社株式の売買動向をで見ると、慎重ながらも前向きな姿勢がうかがえます。

この12か月間で、インサイダーによる買い付けが6件、売却が1件と純増の傾向にあります。

直近6か月でも買い付けが2件、売却が1件と同様の傾向が見られ、直近3か月では買い付けと売却が1件ずつで均衡しています。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.52%と控えめで、経営陣や取締役の持ち分は小さいものの、過去1年間の買い増しの動きは、インサイダーによる同社株式の将来性に対する自信を示している可能性があります。

一方で、プロの機関投資家の保有比率は65.03%と非常に高く、大規模投資家からの強い関心と信頼が示されています。

全体として、インテルのインサイダー取引の動向は前向きな見通しを示唆していますが、インサイダーによる保有比率が低いため、市場全体に与える影響は限定的かもしれません。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


インテル(INTC)の流動性に関して

インテル(INTC)は非常に高い流動性を持つ銘柄です。

足元では、直近営業日の1日あたりの出来高は53,025,065株で、2か月平均の81,694,461株をやや下回っており、取引活動が一時的に減少している様子がうかがえます。

しかし、平均出来高が非常に多いため、通常は流動性が高く、投資家がスムーズに売買できる環境にあると言えます。

また、同社のダークプール指数(DPI)は50.08%で、取引の半数以上がダークプール(非公開市場)で行われていることを示しています。

このようなダークプールでの取引は、価格の発見やボラティリティに影響を与えることがありますが、全体としてインテルの流動性は堅調で、大口取引でも価格への影響が抑えられる傾向があります。

ただし、DPI指数のレベルは市場の透明性や価格変動に影響を及ぼす可能性があるため、投資家はこの点も意識しておくべきでしょう。

以上より、最近では取引量減少が見られるものの、インテルは依然として流動性と取引機会を求める投資家にとって魅力的な銘柄と言えるでしょう。

また、インベストリンゴの半導体セクターのアナリストであるダグラス・ オローリン氏も、最新の決算後にインテルに関する下記のレポートを執筆しておりますので、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。

インテル(INTC)株価上昇理由とは?最新の2024年第3四半期決算は厳しい状況ながらも業績がやや改善傾向?

さらに、インベストリンゴの半導体セクターのアナリストであるウィリアム・ キーティング氏も、最新の決算後にインテルに関する下記のレポートを執筆しておりますので、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。

インテル(INTC)の株価は10年後も堅調?最新の2024年第3四半期決算は苦戦で雲行きは怪しい?

インテル(INTC)の将来性とは?元CEOクレイグ・バレット氏が現CEOのパット・ゲルシンガー氏を支持する理由とは?

その他のインテル(INTC)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、インテルのページにアクセスしていただければと思います。

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


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