やや強気IonQ INC【量子コンピューティング】イオンキュー(IONQ)の将来性は有望?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、注目の米国量子コンピューティング銘柄であるイオンキュー(IONQ)の11月6日に発表された最新の2024年度第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- イオンキューは量子ネットワーク技術で大きな進展を遂げており、特許取得やパートナーシップを通じて市場での地位を強化していますが、技術的課題や競争環境のリスクも抱えています。
- 量子ネットワーク市場は2040年までに3,600億ドル規模に成長すると予測されており、イオンキューはこの成長市場のリーダー候補として注目されています。
- 同社の株価は急成長を見せる一方で、足元の割高感や内部関係者の株式売却が不安材料となっていますが、長期目線の投資家にとっては魅力的な投資対象となるかもしれません。
※「米国株の注目銘柄3選:年初より50%以上のリターンを上げるYOLOポートフォリオを牽引する銘柄に迫る!」の続き
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イオンキュー(IONQ)の概要
量子ネットワークの仕組みとは?
量子ネットワークは、量子ビット(キュービット)を利用して情報を伝達する技術です。
従来のビットが「0」または「1」という2つの状態のどちらかしか取れないのに対し、量子ビットは「重ね合わせ」と呼ばれる性質により、複数の状態を同時に持つことができます。
さらに、量子ビットには「エンタングルメント(量子もつれ)」という特徴があり、1つの量子ビットの状態が、距離に関係なく別の量子ビットと密接に関連します。
このような特性によって、量子コンピュータは従来のコンピュータでは不可能な速度で複雑な計算を処理できるようになります。
例えば、2,048ビットの数を因数分解するような計算は、従来のコンピュータでは数十億年かかるところを、量子コンピュータなら数時間で完了できます。
また、量子ネットワークは高度な暗号化技術を活用し、盗聴が不可能な超高セキュリティの通信も実現します。
従来型コンピューティング vs 量子コンピューティング
(出所:TechTarget)
イオンキュー(IONQ)の量子ネットワーク技術の進展
イオンキュー(IONQ)は量子ネットワーク分野で目覚ましい進展を遂げています。
今年初めには商業利用を目指したイオンと光子の量子もつれ(エンタングルメント)を実現し、10月には遠隔地間でのイオン同士の量子もつれのデモンストレーションに成功しました。
これにより、同社はスケーラブルなフォトニック接続の実現に一歩近づき、現在残る課題はわずか2つとなっています。
そして、同社のピーター・チャップマンCEOは次のように述べています。
「量子ネットワーク製品は、引き続き売上を力強く押し上げ、キャッシュフローがプラスになる最初の製品群になると期待しています。」
この戦略の重要な要素として、同社が2,200万ドルで買収したQubitekkの存在が挙げられます。
この買収により、イオンキューは118件の特許と量子ネットワークハードウェアの専門技術を獲得しました。
これにより、特に通信業界での影響力を強化し、実験段階から実用化へと大きく前進しています。
さらに、イオンキューは2024年第3四半期に米空軍研究所(AFRL:Air Force Research Lab)との5,450万ドルの契約や、インテリジェンスおよびセキュリティ応用研究所(ARLIS:Applied Research Laboratory for Intelligence and Security)との570万ドルの契約を獲得し、量子通信技術の開発を進めています。
また、ARLIS は、アメリカの国防総省(DoD)の支援を受けて設立された研究機関で、主に インテリジェンス(情報収集・分析) および セキュリティ 分野に特化した応用研究を行っています。
ARLISは、特に国家安全保障に関わる複雑な課題に取り組むため、学術的な専門知識と実務的な研究開発を融合させた役割を果たしています。
市場の可能性とイオンキュー(IONQ)のリーダーとしての展望
マッキンゼーの予測では、量子通信市場は2040年までに3,600億ドル規模に成長するとされています。
そして、イオンキュー(IONQ)は、技術の進化と市場での採用が進むにつれ、この成長市場を牽引するリーダーとしての地位を確立する可能性を秘めています。
イオンキュー(IONQ)の主要なパートナーシップパートナーシップの概要
イオンキュー(IONQ)は2024年第3四半期に、以下の重要なパートナーシップを締結しました。
1. NKT Photonics
IonQ Tempoシステムなどのハードウェアに不可欠な最先端レーザーシステムの開発を目的とした提携です。短期的なコスト削減は期待できないものの、長期的には生産プロセスの効率化が期待されています。
2. Imec
フォトニック集積回路(PIC)の開発で協力。この技術は、イオンキューの量子コンピューティングを商業用途で広く展開するための重要な鍵となります。
3. アストラゼネカ
スウェーデンに量子アプリケーション開発センターを設立するプロジェクトを共同で進めています。この取り組みは、新薬開発を対象としており、量子アルゴリズムを活用することで開発期間とコストを大幅に削減する可能性があります。
4. アンシス(ANSS)
エンジニアリングシミュレーション分野のリーダーであるアンシス(ANSS)との提携により、量子コンピューティングを1,000億ドル規模のコンピューター支援エンジニアリング(CAE)市場に組み込むことを目指しています。
イオンキュー(IONQ)の財務パフォーマンス
損益計算書
イオンキュー(IONQ)は、11月6日に最新の2024年度第3四半期決算を発表しています。
同社の売上高は過去2四半期で驚異的な成長を遂げており、第2四半期は前年比106%増、第3四半期は前年比102%増となりました。
しかし、営業費用が収益を圧迫しており、利益確保は依然として課題となっています。
(出所:Alphaspread)
貸借対照表と流動性
1株当たりの現金は減少し、総負債は増加していますが、ネット負債はマイナス3億4700万ドルと健全な状態を維持しています。
また、流動性比率も堅調で、短期的な財務の安定性は十分に確保されています。
(出所:Alphaspread)
キャッシュフロー
営業キャッシュフローおよびフリーキャッシュフローは、成長段階にある企業として予想される通りマイナスの状況が続いています。
ただし、2025年から2026年にかけて契約の拡大や技術提携の成果が反映されることで、プラスに転じる可能性が期待されています。
(出所:Alphaspread)
イオンキュー(IONQ)のバリュエーション
イオンキュー(IONQ)のバリュエーション指標、特に株価純資産倍率(PBR)は同業他社と比べて最も高く、従来の基準では過大評価と見なされる可能性があります。
しかし、同社の成長ストーリーと急速な収益拡大がこうした懸念を覆しており、市場のアナリストは2027年までに収益が現在の約10倍となる3億1500万ドルに達すると見込んでいます。
(出所:Seeking Alpha)
イオンキュー(IONQ)のテクニカル分析
イオンキュー(IONQ)の株価推移
(出所:TrendSpider)
テクニカル指標を見ると、現在の市場は明らかに買われ過ぎの状態にあります。
RSI(相対力指数)はダイバージェンスを示しており、MACDではネガティブなクロスオーバーが発生しています。
さらに、三点フィボナッチ拡張の1.618倍の水準に位置しています。
イオンキュー(IONQ)を取り巻くリスク
インサイダー(内部関係者)による株式売却
最近、イオンキュー(IONQ)の最高収益責任者(CRO)が100万ドル以上の株式を売却したことを含め、内部関係者による株式売却が確認されており、不安が広がっています。今後も売却が続けば、同社株式の見通しへの信頼が低下している可能性を示唆するかもしれません。
技術的および市場の課題
イオンキューのシステムは、NISQ(ノイジー中規模量子)時代特有の課題であるキュービットの安定性やエラー訂正といった技術的な障壁に直面しています。また、IBM(IBM)やGoogle(GOOG)といった大手企業との競争が激化する中、同社には早期に市場シェアを獲得することが求められています。
イオンキュー(IONQ)に対する結論
イオンキュー(IONQ)は、イオンと光子の量子もつれの実現や特許ポートフォリオの拡充など、大きな進展を遂げており、量子ネットワーク市場をリードする有力候補としてのポテンシャルを示しています。
さらに、米空軍との5,450万ドルの契約を含む重要なパートナーシップや契約が、その地位をさらに強化しています。
一方で、内部関係者による同社株式の売却や技術的な課題といったリスクも存在しますが、同社の革新的な技術、強固なパートナーシップ、そして期待される量子通信市場の成長を踏まえると、長期投資家にとっては、長期保有銘柄の候補として魅力的に映るのではないでしょうか。
そして、今回、量子コンピューティングに関しては、著名投資家であるドラッケンミラー氏のアプローチを採用することにし、「今買って、後で詳しく検討する」ことにしました。
量子コンピューティングは次の大きな技術革新となる可能性が高く、早期の行動が求められる場面です。
ただし、現時点でのテクニカル指標は必ずしも良好とは言えません。
そのため、今回は全体の1/3のポジションを追加し、今後の調整局面でさらに買い増しを検討することにします。
また、他の量子関連銘柄にも注目しています。
たとえば、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)は直近1カ月で300%以上の急騰を見せています。
現時点で新たに買い増す判断は難しいものの、純粋な量子関連株として非常に魅力的な可能性を秘めていると考えています。
その他のイオンキュー(IONQ)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、イオンキューのページにアクセスしていただければと思います。
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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
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