07/16/2024

【米国株見通し】利下げが起きると株価はどうなる?パウエルFRB議長の発言から読み解く利下げと米国景気のソフトランディングの可能性に迫る!

black android smartphone displaying white screenローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 私は数ヶ月にわたり、FRBが2%のインフレ目標を達成する前に短期金利を引き下げるべきだと主張しており、パウエル議長もこれに同意し始めている。
  • 足元のパウエル議長の発言により市場の懸念が和らぎ、先物市場では年末までに最大3回の利下げが織り込まれている。
  • パウエル議長は、FRBが短期金利の引き下げを開始する前にインフレ率が2%になるのを待つつもりはないと述べており、これが小型株の反発を引き起こしている。

私は数ヶ月にわたり、批評家たちと議論を続けてきたが、FRB(連邦準備制度理事会)は2%のインフレ目標を達成する前に短期金利を引き下げて金融政策を緩和し始めるべきであると主張してきた。

これは、政策の変更が経済全体に浸透し、その望ましい効果を発揮するまでには数ヶ月、場合によってはそれ以上の時間がかかるからである。

昨日、ワシントン経済クラブでの講演において、FRBのパウエル議長もこの事実を改めて強調し、「インフレ率が完全に2%まで下がるのを待っていたら、おそらく待ちすぎであり、その時点で行っている引き締め、または既にある引き締めのレベルは依然として効果を発揮し続け、インフレ率を2%以下に押し下げる可能性がある」と述べている。

このため、私はコンセンサスが予測しているよりも早く、より積極的な緩和サイクルが始まると期待している。

同時に、FRBが行動を遅らせることを懸念している。

その場合、投資家はインフレよりも持続可能な経済成長についての懸念を強める可能性がある。

パウエル議長の最近の公の発言により、その懸念が和らいだため、市場は米国経済のソフトランディングを織り込み始めている。

また、先物市場では年末までに四半期ごとに最大3回の利下げ、2025年末までに最大175ベーシスポイントの利下げが織り込まれている。

これは、景気拡大が続く限りにおいてのソフトランディングのシナリオであると言える。

市場からの最も強いサインとしては、足元のラッセル2000指数の上昇からも、ソフトランディングが視野に入っていることである。

昨日も小型株のラリーが続き、1.8%の上昇を見せ、52週間の新高値を記録した。

過去4営業日での上昇は8%に達している。

私の中期目標は、新たな史上最高値であり、これは10%の上昇に相当し、最後に見られたのは2021年末である。

先週の消費者物価指数(CPI)の報告を受けて、予想を上回るインフレの改善が、7月30日から31日のFRBの次回会合で利下げが始まる可能性を示唆していると述べた。

先物市場に反映されたその確率はわずか6%であるが、今後FRBが好むインフレ指標(個人消費支出価格指数:PCE)のデフレ化のさらなる確認があれば、利下げの可能性があると考えている。

ゴールドマン・サックスのチーフエコノミストであるヤン・ハツィウス氏も、昨日のメモでこの点に同意し、6月の予想よりも軟調な雇用とインフレデータが7月の利下げを正当化すると述べている。

パウエル議長は市場を驚かせることを好まないため、市場の期待が一致しない限り、利下げは行われないと考えるが、いずれにせよ、パウエル議長率いるFRBが順調であると市場は確信しているようだ。

さもなければ、先週見られた著しい市場の幅(上昇している銘柄数)の改善は見られなかっただろう。

歴史が指標となるならば、この傾向は続くはずである。

SentimenTraderによると、先週のハト派的なCPI報告の後、ニューヨーク証券取引所の上昇銘柄は下落銘柄を2日連続で3対1の比率で上回り、S&P500は史上最高値の1%以内にあったが、これは頻繁には起こらない事象である。

1951年以来の全12回の同様のケースにおいて、S&P500は6ヶ月後に上昇している。

今年の2月と5月に同様の現象が発生した際の結果はまだ出ていないが、このトレンドを維持する見込みが高いと見ている。

また注目すべきは、1982年以来のデータにおいて、イコールウェイト指数が時価総額加重指数を82%の確率で上回っている点である。

ファンダメンタルな見通しがテクニカルデータによって裏付けられるときほど良いことはない。

これは、米国経済のソフトランディングと強気市場の継続を予想している私のようなストラテジストが現在置かれている状況である。

しかしながら、勿論、現実の状況が変わったり、テクニカル指標が悪化してファンダメンタルズに疑問を投げかけるようになった場合、その時は私もそれに応じて見解を変えるであろう

ただし、上述の通り、足元の状況を踏まえると、市場の見通しは良好に見える。

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