03/18/2024

やや強気
ジェイビル
やや強気
企業が資産の軽量化を優先する中で、JBLやFLEXといった契約製造会社を活用することで、設備投資(CAPEX)を削減し、自社の強みである事業に集中することができます。また、規模の経済によるコスト削減や、オンショアリングやニアショアリングを支援するために製造拠点を移動できる柔軟性も、今後これらの企業の利用を増やす動機となるでしょう。
注目の受託製造業者のジェイビル(JBL)とフレックス(FLEX)の最新の決算分析と今後の株価見通し・将来性 - 前編

man in blue jacket standing beside brown wooden postヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 受託製造は、多くの企業が資産をより軽量化し、コアコンピタンスに集中するために製造のアウトソーシングを検討していることから、投資対象として興味深い分野である。
  • そして、ジェイビル(JBL)とフレックス(FLEX)は、この分野の2大上場企業であり、パッシブ投資の機会を提供してくれている。
  • 両社を比較すると、直近のファンダメンタルズ・パフォーマンス、エンドマーケットへのエクスポージャー、製造拠点などの点でほぼ類似していることがわかる。

サマリー

ジェイビルJBL)とフレックス(FLEX)は共に、世界中に拠点を持つ受託製造の競合企業である。

両社は、過去10年間のグローバリゼーションの動きの中で、世界的に製造過程におけるアウトソーシングが増加した追い風を受けている。

米国では、インフレ削減法(IRA)のような新しい法律が制定され、米国内でビジネスを展開する企業に対して、製造業の米国内への移転を奨励している。

そして、受託製造は、米国製造業の米国内移転を実現する上で簡単な方法を提供している。

結果として、製造業者は、新たな製造能力に投資することなく、既存の製造能力を地理的に移動させることができるようになる。

実際に、ジェイビルとフレックスの両社ともに、インフレ削減法は収益への追い風になると説明している。

Fred McCoyJBL: 2023年第4四半期決算説明会)

「資本財分野では、クリーンでスマートなエネルギー・インフラが堅調な伸びを示しています。私たちは、発電、電力変換、送電、蓄電、計測から、家庭やビル内の電力管理まで、エネルギー・バリュー・チェーン全体にわたって事業を展開しています。これらのプロジェクトは、短期的な経済成長予測に左右されることなく、数年単位での投資案件となっています。そのため、これらのインフラ整備が長期化することを考えると、この分野での見通しには安心感があると見ています」。

Revathi AdvaithiFLEX:2024年第1四半期決算説明会)

「そうですね。IRAの立場から言うと、米国の自然エネルギーの成長を促進することになると思います。我々にとって最大の影響は、我々の顧客から資金提供を受けた成長です。これは主に米国の製造業に焦点を当てています。Enphase はその典型的な例です。しかし、IRAのような利点を生かすために、顧客が米国の製造能力に軸足を移しているのを私たちはいち早く目にしています。」

「そのため、IRAやインフラに関連する米国の製造業は全体的に成長傾向にあり、それに関連するいくつかの発表が行われています。」

他の情報源によれば、米国企業の48%がパンデミックの結果として製造過程におけるアウトソーシングを増やしているとのことである。

そして、米国の自動車、ロボット、家電メーカーは、この傾向に対して前向きな姿勢を見せており、今後もこの傾向が続く可能性を示している。

この記事では、この分野の2大プレイヤーを取り上げ、どちらがより魅力的な投資対象かを見定めたい

出典:Fictiv 2022 製造業の現状

受託製造はまた、企業が地政学的な出来事に対応して製造拠点を切り替えることも可能にしている。

例えば、米国との貿易戦争中、企業は中国から製造拠点を移した。

このような利点は、これらの受託製造業者を利用する決定にも影響する。

ジェイビル(JBL)とフレックス(FLEX)の最近の業績動向の比較

ジェイビル(JBL)の直近四半期の業績とフレックス(FLEX)の同期間の業績を比較すると、ジェイビルの営業利益は13.6%減に対し、フレックスは安定した営業利益を示している。

 (直近過去12カ月間はNextrackerの業績が含まれているため比較できない。Nextrackerは直近フレックスからスピンオフされている。) 

また、フレックスは純利益率が若干高く、純利益と希薄化後EPSの改善でより良い業績を示している。

※最新の四半期業績:会計年度の違いにより、四半期が正確に一致していないことにご留意いただきたい。

(単位:百万ドル

※マージンは「%」表記

ジェイビル

(2024年第2四半期 / 2024年2月期)

FLEX

(2024年第3四半期 / 2023年12月期)

売上高

$6,767

$6,422

営業利益

$338

$315

営業利益率

-5.0%

4.9%

営業利益変化率( 前年同期比)

-13.6%

+0.9%

Non-GAAPベースの純利益

$213

$234

純利益率

3.1%

3.6%

純利益(前年同期比)

-16.8%

+4.9%

Non-GAAPベースの希薄化後EPS

$1.68

$0.54

希薄化後EPS(前年同期比)

-10.6%

+10.2%

(出典:Company SEC 10-K Filings

*Nextrackerに帰属する当期純利益を除く

考慮すべき要因

フレックスの結果は、Nextrackerの影響を取り除くために調整されている。

勝者:フレックス

純利益率が若干高く、且つ、Non-GAAPベースの純利益が高成長を実現していることから、この点においてはフレックスが勝っているように見える。

ジェイビル(JBL)とフレックス(FLEX)の国別売上高の比較

以下のグラフは、ジェイビル(JBL)とフレックス(FLEX)の国別売上高比率を示している。

成長の道筋を計算するために、両社がビジネスを行う各国の2024年のGDP成長率を調べ、各社の成長率を加重合計した。

この数値は、両社がその基礎となる市場と同程度にしか成長しないと仮定した場合、両社の成長がどのようになるかを見るためのベースとなる。

国名

国別売上高比率

GDP成長率(2024年)

シンガポール

21.3%

2.1%

メキシコ

17.5%

2.1%

中国

16.9%

4.2%

マレーシア

8.0%

4.3%

インド

4.6%

6.3%

アメリカ

14.2%

1.5%

その他

17.5%

(世界平均)~2.9%

合計

100%

2.9%

(GDPデータ出典:IMF世界経済見通し

国名

国別売上高比率

GDP成長率(2024年)

メキシコ

21.7%

2.1%

中国

21.5%

4.2%

マレーシア

8.1%

4.3%

ブラジル

6.7%

1.5%

ハンガリー

4.3%

3.1%

アメリカ

16.5%

1.5%

その他

21.1%

(世界平均)~2.9%

合計

100%

2.8%

(GDPデータ出典:IMF世界経済見通し

勝者:互角

ほとんど互角だが、ジェイビルのインドのような新興市場へのエクスポージャーを考慮すると、ややジェイビルが優勢に見えるというのが本音である。

ただし、GDP成長率を売上高の成長可能性の指標として使用すると、両社は同じような成長の道筋をたどっていることがわかる。

※続きは「注目の受託製造業者のジェイビル(JBL)とフレックス(FLEX)の最新の決算分析と今後の株価見通し・将来性 - 後編」をご覧ください。