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10 - 21 - 2024

中立
ジョンソン・エンド・ジョンソン
中立
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の現在の株価は165.12ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である178.95ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が7.73%となっていることから、わずかに割安である可能性が示唆されています。
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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の今後の株価見通し:62年間連続増配の米国配当王の最新の2024年3Q決算に迫る!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ:予想配当利回り3.00%・配当性向47%・1株当たり配当金1.24ドル)の2024年10月15日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンは世界最大のヘルスケア企業で、製薬部門と医療機器部門を中心に事業を展開しています。 
  • 2024年第3四半期の決算ではEPSが減少したものの、長期的な成長と高い粗利益率を維持しており、自社株買いも積極的に行っています。 
  • 同社は過去62年間連続で増配を実施し、米国株配当王としての地位を確立しており、さらに、予想配当利回りは3.00%と高水準を維持していることからも、配当収入重視のインカム投資家には魅力的な投資対象となっています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の概要


レーティング:中立

バリュエーション:適正価格

リスクレベル:低リスク


セクター:医薬品

現在の株価:165ドル

時価総額:3,974.8億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:178.95ドル

安全余裕率(マージン):7.73%

過去5年間の配当成長率:5.80%

次回配当落ち日:2024年11月26日

次回配当支払い日:2024年12月10日

予想配当利回り:3.00%

過去5年間の売上高成長率:1.20%

過去10年間の売上高成長率:2.80%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ予想配当利回り3.00%・配当性向47%・1株当たり配当金1.24ドル)は、アメリカ・ニュージャージー州に本社を置く、世界最大かつ最も多様なヘルスケア企業です。

同社は、製薬部門と医療機器部門の2つの主要事業を展開しており、2023年には消費者向け事業をケンビューとして分社化し、さらに事業を集中させました。

製薬部門では、免疫学、腫瘍学、神経学、呼吸器、心臓病、代謝疾患に注力しており、医療機器部門では高度な技術を活用した革新的な製品を提供しています。

財務面では、時価総額3,974.8億ドル、過去5年間の配当成長率は5.80%という安定した成長を実現しており、予想配当利回りも3.00%で配当株としても魅力的です。

さらに、同社は過去62年間連続して増配を実施していることから、米国株配当王の一角を担っています。

加えて、1年間の自社株買い率7.40%となっており、積極的な株主還元を行っていると言えます。

そして、同社は2024年10月15日に2024年第3四半期決算を発表しています。


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の2024年10月15日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは2.42ドルを記録し、これは、2024年第2四半期の2.82ドルや2023年第3四半期の2.66ドルから減少しています。

また、希薄化後のEPSは1.11ドルとなり、前四半期の1.93ドルや前年同期の10.21ドルから大幅に下がりました。

この下落は一時的な要因による影響が大きいと考えられます。

1株あたりの売上高は9.255ドルで、2024年第2四半期の9.268ドル対比ではわずかに減少するも、2023年第3四半期の8.374ドル対比では増加する着地となりました。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は4.80%で、過去10年間の年平均成長率は6.50%となっており、中長期的に安定した成長を実現していることが分かります。

さらに、粗利益率は69.05%で、過去10年間の中央値である69.04%とほぼ同じであり、運営効率も安定しています。

加えて、同社は積極的な自社株買いを実施しており、1年間の自社株買い比率は7.40%に達しています。

これにより、発行済み株式数が減少し、EPSが増加する要因となっています。

過去5年間の自社株買い比率も1.50%であり、安定した株式の買い戻しが続いています。

市場のアナリストの見通しでは、同社の売上高は2026年に94,685.19百万ドルに達すると予測され、2025年と2026年の予想EPSはそれぞれ7.063ドルと7.740ドルとなっています。

そして、ヘルスケア業界全体の成長は今後10年間で年間5〜6%と予想されており、同社の将来の業績に対する良好な見通しが期待されています。

次回のジョンソン・エンド・ジョンソンの業績発表は2025年1月23日に予定されており、さらなるガイダンスやEPS予測に注目が集まります。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の財務パフォーマンスに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

全体として、同社は、資本の効果的な活用と高い財務パフォーマンスを示しています。

同社のROICは常にWACCを上回っており、過去5年間のROICの中央値は15.06%で、WACCの中央値である5.52%を大きく超えています。

この差は、同社が資本を効果的に活用して経済価値を創出していることを示しています。

また、現在のROICは14.19%で、過去5年間の中央値からわずかに低下しているものの、依然として高い水準にあります。

一方、WACCは5.93%で、過去5年間の中央値をやや上回っていますが、ROICに対しては依然として大きく低い水準です。

このギャップにより、同社は資本を効率的に使い、コストを上回るリターンを生み出していることが分かります。

総じて、ジョンソン・エンド・ジョンソンは高いROICを継続的に達成しており、資本の戦略的な配分により、長期的に経済価値を創出していると言えます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の配当に関して

下記のチャートからも分かる通り、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、過去5年間で平均5.80%の配当成長を維持しており、過去3年間の成長率も5.70%と安定しています。

最新の四半期でも、1株当たりの配当金額は1.24ドルで、2024年の他の四半期と同じ水準が維持されています。

さらに、同社は62年間連続で増配しており、米国株配当王の一角を担っています。

配当王に関心のある方は、インベストリンゴのプラットフォーム上で、下記のレポートを是非ご覧ください。

【投資コラム】配当王とは?50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

また、予想配当利回りは3.00%で、過去10年の中央値である2.62%を上回っており、セクター内でも競争力のある水準です。

さらに、同社の財務基盤は強固であり、EBITDA有利子負債倍率は1.70倍と業界平均と比較しても健全な水準にあり、債務の返済能力も十分です。

配当は四半期ごとに支払われており、次回の権利落日は2025年2月25日頃と予測されています(2024年11月26日の権利落日を基に算出)。

総じて、ジョンソン・エンド・ジョンソンは安定した配当政策を維持しており、財務的なレバレッジも適切であることから、配当収入を重視するインカム投下には魅力的に映るかもしれません。

予想配当利回り:3.00%

配当性向:47%

配当カバレッジ・レシオ:1.42倍

過去5年間の配当成長率:5.80%

EBITDA有利子負債倍率:1.7倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のバリュエーションに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJの現在の株価は165.12ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である178.95ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が7.73%となっていることから、わずかに割安である可能性が示唆されています。

また、予想PERは15.69倍で、直近過去12か月の実績ベースのPER(TTM PER)の23.9倍より低く、将来的な収益の成長が期待されています。

さらに、直近過去12か月の実績ベースのPERは過去10年の中央値である23.17倍に近く、歴史的な水準に沿っていますが、現在の株価は最近の高値と比べて、より魅力的なエントリーポイントであるようにも見えます。

加えて、直近過去12か月の実績ベースのEV/EBITDA倍率は16.93倍で、過去10年の中央値である15.43倍をやや上回っていますが、許容範囲内にあり、利益に対して適正な評価を受けていると言えます。

一方で、直近過去12か月の実績ベースの株価フリー・キャッシュフロー倍率は20.53倍で、過去10年の中央値である20.75倍とほぼ一致しており、安定したキャッシュフロー生成が株価に反映されています。

さらに、足元のPBRは5.56倍で、過去10年の中央値である5.60倍にほぼ等しく、純資産価値に対しても適正に評価されているように見えます。

そして、市場のアナリストの同社の目標株価は順調に上昇しており、現在の平均は174.87ドルと、ポジティブな見通しが支持されています。

全体として、ジョンソン・エンド・ジョンソンは大きく割高でも割安でもなく、安全余裕率も多少維持していることから、安定した投資機会を提供しているように見えます。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のリスクとリターンに関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

全体として、同社はリスクとリワードのバランスが取れた投資先です。

まず、財務状態は堅実であり、アルトマンのZスコア3.1となっており、倒産リスクが低いことを示しています。

さらに、ベニッシュのMスコアが-2.11であることから、財務諸表の操作が行われている可能性は低いと考えられます。

また、営業利益率の拡大は経営効率の向上を示しており、売上や1株あたりの利益も安定して成長しています。

このように、長期的な収益性が期待できる健全な経営体制が整っています。

一方で、リスク要因としては、過去3年間で新たに213億ドルの債務を発行しており、現時点では問題ありませんが、収益成長がこれに追いつかない場合、負担が増す可能性があります。

さらに、最近のインサイダー取引では5,635株が売却され、購入は行われておらず、短期的な業績に対する不安が示されています。

また、収益が減少傾向にあることから、株価が過大評価されている可能性もあります。

これらを踏まえると、ジョンソン・エンド・ジョンソンは依然として財務的に強固な企業ですが、今後の債務状況や収益の推移を慎重に見守ることが重要でしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、インサイダーによる同社株式の買い付けがほとんど確認されていない一方で、売却が続いていることが分かります。

過去12か月間にインサイダーによる同社株式の買い付けは記録されていない一方で、売却が3件確認されています。

このパターンから、インサイダー達は同社の株価が適正に評価されている、あるいは今後の株価下落を見越して売却を行った可能性も考えられます。

短期的な分析においても、過去3か月および過去6か月間でインサイダーによる同社株式の買い付けは見られず、売却がそれぞれ1件ずつ記録されており、引き続き慎重な姿勢がうかがえます。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.19%と低く、経営陣を含むインサイダーと株主の利益が一致していない可能性がありますが、一方で機関投資家の同社株式の保有比率は71.35%と非常に高く、プロの機関投資家の同社に対する信頼が見て取れます。

以上より、インサイダーと機関投資家の行動が異なる点から、企業の将来についての見方に違いがあることが伺えます。

そして、この対照的なトレンドは、ジョンソン・エンド・ジョンソンに対するインサイダーの慎重な態度を示す一方で、プロの機関投資家からは強い支持を受けていると言えるでしょう。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の流動性に関して

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は、過去2か月間の1日当たりの平均出来高が5,906,677株で、直近営業日の出来高は5,745,114株といずれも高水準を維持しており、強い流動性を示しています。

これは同社に対する市場の投資家の関心が安定しており、価格への影響を抑えつつ取引がスムーズに行われていることを意味します。

一方で、同社のダークプール指数(DPI)は45.08%で、同社の取引の一部が非公開の取引所で行われていることを示唆しています。

このことは、主にプロの機関投資家が同社を安定した魅力的な銘柄として取引している可能性を示唆しています。

しかし、DPIが50%未満であることから、取引の大部分は未だ公開市場で行われており、透明性と価格の発見が担保されているように見えます。

全体として、ジョンソン・エンド・ジョンソンの強い取引量とバランスの取れたDPIは、流動性の高さを裏付けており、個人・機関投資家の両方にとって信頼性の高い銘柄であることを示しています。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の米国における特許に関して

2017年から2024年にかけて、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は米国での特許取得において変動を見せています。

この期間において、同社は合計14件の特許を取得しました。

詳細としては、2017年に4件の特許を取得し、その後2020年と2021年にはそれぞれ1件ずつ取得するまで減少が続きましたが、2022年には2件取得し、2024年には3件取得する見込みです。

このデータから、特許戦略が一定ではないものの、堅実な活動が継続していることが読み取れます。

さらに、その他のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ジョンソン・エンド・ジョンソンのページにアクセスしていただければと思います。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


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