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11 - 05 - 2024

KLA(KLAC)決算分析:最新の2025年第1四半期決算は市場予想を上回る着地も株価は下落!

ダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるKLA(KLAC)の10月30日に発表された最新の2025年度第1四半期(暦年:2024年第3四半期)決算の分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • KLAは最新の決算で予想を上回る業績を報告し、特に最先端ロジック分野での強みが成長を牽引しています。
  • 同社は中国市場での売上増加や3ナノメートル技術への需要増加により、2025年の見通しが明るく、最先端技術への投資が成長の主な要因となっています。
  • KLAは輸出規制リスクへの対応をまだ考慮していないものの、他の半導体メーカーと同様に高まる需要に対応しており、同分野での優位性がプレミアム価格での取引を支えています。

KLA(KLAC)の最新の2025年第1四半期決算発表に関して

KLA(KLAC)は10月30日に2025年度第1四半期(暦年:2024年第3四半期)決算を発表しています。

ASMインターナショナル(ASM:NA/ASMIY)と同様に、KLAは最先端ロジックが牽引する形で来年も強い成長が見込まれています。

ご存知のとおり、半導体装置市場では、最近まで需要の中心は最先端ロジックでしたが、成熟プロセスの需要が新たな動向として浮上しています。

同社の2025年第1四半期決算によると、EPS(特別項目除く)は7.33ドルとなり、FactSet予想の7.04ドルを上回りました。

2025年度第1四半期決算

・EPS(特別項目除く):7.33ドル(FactSet予想:7.04ドル / 市場予想レンジ:6.96ドル~7.27ドル)

・売上高:28.4億ドル(FactSet予想:28.5億ドル / 市場予想レンジ:27.3億ドル~29.9億ドル)

2025年度第2四半期ガイダンス

・EPS(特別項目除く):7.75ドル ± 0.60ドル(FactSet予想:7.42ドル / 市場予想レンジ:6.93ドル~7.95ドル)

・売上高:29.5億ドル ± 1.5億ドル(FactSet予想:27.5億ドル / 市場予想レンジ:26.0億ドル~28.0億ドル)

・Non-GAAPベースの売上総利益率:61.5% ± 1.0%(Seeking Alpha予想:61.7%)

同社のロジック分野での強みは特筆すべきものです。

報告セグメントおよび最終市場別の売上内訳

(出所:KLAの2025年第1四半期決算資料

次に、もう少し詳しく見てみましょう。

ウェーハ検査需要は、GAA(ゲート・オール・アラウンド)の開始前に向けて上昇傾向が見られます。

また、同社は中国市場での売上が大きく、プロセス制御技術は他社が模倣しにくいため、需要の増加に伴い発注が増加しているのも理解できます。

ロジック分野での優位性が、同社株式が他社を上回るプレミアムで取引される要因です。

主要製品および地域別の売上内訳

(出所:KLAの2025年第1四半期決算資料

最後に、決算説明会について触れると、他社と同様、ファウンドリ顧客の減少が製造集約度の増加を相殺することはありませんでしたが、3ナノメートルの需要が想定以上に強く、それが同社にとっての安心材料となっています。

下記は最新の決算説明会での遣り取りの一部です。

(原文)It's not a foundry question. It's a customer of the foundries question. I think they would obviously -- if there were more suppliers of leading edge, I think that the business would be spread across them. But right now, there's one supplier in the leading edge and what they're seeing is significant demand above as they indicated in their call, what they anticipated. And a bit of the anticipated 2-nanometer demand to be strong, but the fact that there's additional demand for 3-nanometer lead us to some pretty robust forecast through the rest of this year for the bookings and also into 2025.

(日本語訳)これはファウンドリ自体の問題ではなく、ファウンドリの顧客側の問題です。仮に最先端技術の供給者が複数いたとすれば、需要もそれらに分散されるでしょうが、現時点では最先端分野の供給者は1社しか存在しません。その企業がカンファレンスコールで示したとおり、予想を上回る強い需要が発生しています。当初は2ナノメートルの需要が堅調と見込まれていましたが、さらに3ナノメートルへの需要が加わったことで、今年の残りの受注だけでなく、2025年に向けた見通しも非常に力強いものになっています。

(原文)So I don't think it's a function of the number of players. I think it's a demand driver. And as you know, it's across a number of players because it's not just in support.

(日本語訳)つまり、重要なのはプレーヤーの数ではなく、需要が増えていることです。ご存じのように、これは単なるサポートのためだけでなく、複数のプレーヤーに広がる需要です。

また、下記の部分より、EUV層(半導体製造プロセスにおけるリソグラフィ技術の一つ)が増加しないことが再確認されました。

(原文)What happens is, let's say, you go from 3 to 2, you might not dramatically increase the number of EUV layers, for example, but there is some increase and associated with that are more places where you have to sample.

(日本語訳)例えば、3ナノメートルから2ナノメートルに移行すると、EUV層の数が大幅に増えるわけではないものの、多少は増加します。それに伴い、サンプリングが必要な箇所も増えていきます。

(原文)But the initial expectations are and what we're seeing is that 2-nanometers will be higher, more sampling at higher levels with more systems with more configurations, driving higher process control intensity, and that's the trend that we're seeing. The other thing is, as Bren mentioned, because they're more -- if you think about what's coming, there are going to be more designs at these advanced nodes than we maybe a few years ago, might have imagined, there's higher variability, so higher mix and higher mix drives a need for more sampling as well.

(日本語訳)当初の予測と比べても、現状では2ナノメートル技術におけるサンプリングの頻度が増え、より多くのシステムや構成が用いられ、プロセス管理の強度も高まっています。この傾向が続いています。また、Brenが述べた通り、今後の見通しとしては、数年前には考えられなかったほどの設計がこれらの高度なノードで行われる見込みで、設計の多様化が進むため、さらに多くのサンプリングが必要とされるでしょう。

さらに、気になるのは、同社が来年のガイダンスで輸出規制リスクへの対応をほとんどしていないように見えることです。

ただし、この点は、多くの半導体装置メーカーにも共通していると思います。

(原文)So clearly, something is causing it to not get decided. And so we're not going to speculate on when it does. When it comes to what our peer companies have said, I think our forecast for 2025 hasn't changed, and it's much more in line with where others are now than what it was. So our view has not changed. Nothing about our forecast for next year has really changed in the last several months as we talk to our customers and we envision what kind of investment environment there's going to be.

(日本語訳)決定が遅れているのは何かしらの要因があるのは明らかですが、それがいつになるかについて推測するつもりはありません。同業他社の見解についてですが、当社の2025年の予測は変わっておらず、現在は他社の見通しとほぼ一致しています。顧客との話し合いや今後の投資環境を見通しても、来年の予測に関してこの数カ月で特に変更はありません。

加えて、下記の発言からも2020年以来、最先端技術への需要が再び高まっていることが分かります。

(原文)But that's the trend that we're seeing. And what we're seeing is very good indications of strength in the leading edge based on the design starts and based on the conversations with customers. In the last quarter, for the first time in quite a long time, our leading-edge customers have been asking for acceleration, more systems than they'd originally planned for, and they want to make sure we can support them and install them. That's what gives us the confidence that '25 is going to be driven by investment in the leading edge.

(日本語訳)これが私たちが見ているトレンドです。設計の立ち上げ状況や顧客とのやり取りから、最先端分野の需要が非常に強いことが確認できています。特に、直近の四半期では、久しぶりに最先端の顧客から計画以上のシステム導入の加速を求められ、しっかりとサポートと設置ができる体制を確保してほしいという要望がありました。こうした状況から、2025年は最先端分野への投資が成長を牽引するという自信を持っています。

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📍半導体&テクノロジー担当

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