メタ(META)株価急落の理由とは?AI関連ビジネスの収益化の遅れが懸念材料?

- 本稿では、注目の米国テクノロジー銘柄であるメタ(META)の株価急落の理由を探るべく、最新の2024年第1四半期決算の分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- マーク・ザッカーバーグ氏は、メタのAI関連事業の収益化には数年の投資サイクルが必要であり、株価の変動は避けられないと投資家に説明しました。
- 一方で、AI事業の収益化には時間がかかるものの、メタには過去に新規サービスを効果的に収益化した実績があり、将来的な大規模なビジネス展開の可能性も示唆されています。
- また、ザッカーバーグ氏の率直なメッセージは、AI投資に巨額のコストと時間がかかる現実を投資家に再認識させるものであり、多くのAI関連企業にも当てはまるといえます。
メタ(META)の2024年度第1四半期決算に関して
イーロン・マスク氏は決算説明会の大半をロボタクシーとロボットの空想に費やした一方で、マーク・ザッカーバーグ氏は会社のAI関連の取り組みを収益化するには時間がかかるという事実を語った。
そして、イーロン・マスク氏のテスラ(TSLA)は決算後に12%上昇したのに対し、まともな業績報告をしたマーク・ザッカーバーグ氏のメタ(META)は14%も下落した。
その理由はなんだろうか?
マーク・ザッカーバーグ氏は真実を語り、投資家はそれを嫌ったように見える。
彼が語った真実とは、同社のAI関連の取り組みの収益化に関するものであった。
(原文)I think it's worth calling out that we've historically seen a lot of volatility in our stock during this phase of our product playbook ‐‐ where we're investing in scaling a new product but aren't yet monetizing it. We saw this with Reels, Stories, as News Feed transitioned to mobile and more. And I also expect to see a multi‐year investment cycle before we've fully scaled Meta AI, business AIs, and more into the profitable services I expect as well.
(日本語訳)新しい製品の拡大に投資しているが、まだ収益化には至っていない段階において、歴史的に当社の株価が大きく変動してきたということは、指摘する価値があると思います。私たちは、リール、ストーリーズ、ニュースフィードのモバイルへの移行などでこれを経験しました。また、Meta AIやビジネスAIなどを私が期待する収益性の高いサービスに完全にスケールさせるまでには、数年の投資サイクルが必要になると思います。
(原文)Historically, investing to build these new scaled experiences in our apps has been a very good long term investment for us and for investors who have stuck with us. And the initial signs are quite positive here too. But building the leading AI will also be a larger undertaking than the other experiences we've added to our apps, and this is likely going to take several years.
(日本語訳)歴史的に見ても、アプリでこのような新しいスケールの体験を構築するために投資することは、私たちにとっても、私たちに付き合ってくれている投資家にとっても、非常に良い長期的な投資となっております。そして、最初の兆候はここでも非常にポジティブです。しかし、先進的なAIの構築は、私たちがアプリに追加してきた他の体験よりも大規模な事業となり、これには数年かかる可能性が高いです。
この最後の一文には、AI関連の収益が上がり始めるまでには数年かかりそうだという冷ややかな含みがある。
ザッカーバーグ氏は、自分のメッセージが投資家たちの受けが悪いことを察してか、マネタイズ(収益化)に関しては、自分にはそれなりの信頼性があると安心させるように語っている。
(原文)On the upside, once our new AI services reach scale, we have a strong track record of monetizing them effectively. There are several ways to build a massive business here, including scaling business messaging, introducing ads or paid content into AI interactions, and enabling people to pay to use bigger AI models and access more compute.
(日本語訳)プラス面としては、私たちの新しいAIサービスが規模に達すれば、私たちはビジネスを効果的にマネタイズしてきた確かな実績があります。ここで大規模なビジネスを構築する方法はいくつかあります。ビジネス・メッセージのスケーリング、AIとのやりとりに広告や有料コンテンツを導入すること、より大きなAIモデルを使用したり、より多くのコンピュートへのアクセスを可能にするために人々が使用料を支払うことなどが挙げられます。
私はメタの大ファンではないし、フェイスブックのバンドワゴン(流行)などにも乗ったことはないが、ザッカーバーグ氏がここでやったことは賞賛に値する。
そして、彼はありのままを語っている。
彼はAIを取り入れたビジョンを現実のものにするために、何十億ドルもの投資をする用意がある。
また、下の図ではReality Labsの四半期営業赤字(Operating Loss)に注目して欲しい。
足元、メタの株価は18ヶ月以上上昇を続け、その間に5倍程度になっている。
そのような雰囲気の中で、AI関連の収益成長が現れるまで辛抱強く待たなければならないと言われたいと思う投資家はいないだろう。
現実には、メタのメッセージは、AI投資に大きく傾いているほぼすべての企業にほぼ普遍的に当てはまると言える。
莫大なコストがかかり、それが収益につながるかどうかはまだ証明されていないのである。
ザッカーバーグ氏は、誰もが認識しているが話したくない事実を指摘することで、私たち皆に現実を再度認識させてくれていると言える。
また、その他のメタ・プラットフォームズ(META)はに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、メタ・プラットフォームズのページにアクセスしていただければと思います。
アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング
📍半導体&テクノロジー担当
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