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08 - 07 - 2024

中立
アルトリア・グループ
中立
全体として、アルトリア・グループの現在のバリュエーションは過去の平均値や業界と比較して割安で取引されているように見えることからも、投資家にとって、現在の株価水準は潜在的な買い場である可能性があります。
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アルトリア・グループ(MO)の将来性:配当金は0.98ドル!連続増配で配当推移が堅調な「配当王」の最新の決算分析!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、アルトリア・グループ(MO:配当王・予想配当利回り7.88%・配当性向80%・1株当たり配当金0.98ドル)の2024年7月31日に発表された2024年第2四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • 同社の最新の決算では、EPSや売上高が前四半期比で上昇し、安定した財務状況を示しています。
  • また、過去54年間連続して増配を行い、米国株配当王の一角を担っている一方で、予想配当利回りも高く、足元の配当推移も堅調です。
  • そのため、アルトリア・グループは、配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的な銘柄となっています。

アルトリア・グループ(MO)の概要


レーティング:中立

バリュエーション:フェアバリュー並み

リスクレベル:低リスク


セクター:タバコ製品

現在の株価:49ドル

時価総額:844.2億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:45.48ドル

安全マージン:-8.79%

過去5年間の配当成長率:4.70%

前回配当落ち日:2024年6月14日

前回配当支払い日:2024年7月10日

予想配当利回り:7.88%

過去5年間の売上高成長率:2.30%

過去10年間の売上高成長率:2.80%

アルトリア・グループ(MO:配当王・予想配当利回り7.88%・配当性向80%・1株当たり配当金0.98ドル)は、アメリカを拠点とする世界的なタバコ製造企業であり、特にマルボロ(Marlboro)ブランドで知られています。アルトリアは、フィリップモリスUSAを通じて米国内でのタバコ販売を行っており、蒸気たばこや無煙たばこの製品開発にも積極的に取り組んでいます。アルトリアのビジネスのユニークな特徴は、成熟した市場における安定した収益性と、規制が強化される中での革新力にあります。特に、同社はNicotine Pouch等の新興分野にも投資を拡大しています。

※フィリップ・モリス(PM)は、2008年にアルトリア・グループから分離独立しました。アルトリア・グループは米国内での事業を担当している一方、フィリップ・モリスは米国外の全ての市場で事業を展開しています。この分離により、フィリップ・モリスはグローバル市場に特化した戦略を展開しやすくなり、アルトリア・グループは米国内市場に集中することが可能となりました。

財務状況において、アルトリアは安定した収益基盤を持ち、営業利益率は業界平均を上回っています。2023年の売上高は約260億ドルで、堅実なキャッシュフローを維持しています。また、アルトリアは長年にわたり安定した配当を支払っており、実際に同社は過去54年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。そして、2024年には年間配当金が約3.92ドルに達する見込みで、予想配当利回りは7%を超え、配当収入を求めるインカム投資家にとっては魅力的な銘柄となっています。

さらに、アルトリアは最近、無煙たばこ市場の拡大を図るため、Cronos Groupへの出資や、JUUL Labsへの投資を通じて成長分野に対する戦略的な動きを見せています。これにより、アルトリアは将来的な成長を目指し、既存のタバコ市場に依存しない収益源の多様化を図っています。これらの取り組みにより、アルトリアは伝統的なタバコ産業におけるリーダーシップを維持しつつ、新しい市場にも積極的に進出しています。

そして、同社は2024年7月31日に2024年第2四半期決算を発表しています。


アルトリア・グループ(MO)の最新の2024年度第2四半期決算に関して

アルトリア・グループ(MOは、2024630日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPSEPS without NRI)は1.31ドル(前四半期:1.15ドル)、希薄化後のEPSは2.21ドル(前四半期:1.21ドル)、また、1株当たり売上高も3.072ドル(前四半期:2.683ドル)と、いずれも前四半期比で上昇という好調な着地となっています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は4.40%で、過去10年間の年平均成長率は7.80%となっており、中長期的に継続して成長を実現していることが分かります

また、タバコ産業は今後10年間、安定した成長を遂げると予測されていることからも、アルトリア・グループにとって有利な見通しとなっているように見えます。

※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値


アルトリア・グループ(MO)の財務パフォーマンスに関して

アルトリア・グループ(MOの財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

まず、過去5年間のROCの中央値は19.60%で、過去5年間のWACCの中央値である5.23%を上回っており、プラスの経済的価値を生み出していると言えます。

また、下記のチャートからも分かる通り、現在のROICの水準は24.02%と、現在のWACCの水準である6.32%を上回っています。

さらに、過去10年間のWACCの中央値は5.42%と、妥当な範囲に収まっており、同社が安定した資本配分を維持していることを表しています。

※ROICがWACCを上回ると、企業が投資した資本に対してコスト以上の利益を生み出していることになります。これにより、企業は実際に価値を創出しており、株主にとって魅力的な投資先となります。企業がROICでWACCを上回ることで、持続的な成長や株主へのリターン向上が期待できます。

ただし、ROEに関しては注意が必要で、過去5年間のROEの中央値は401.46%と例外的に高くなっていますが、現在のROEは自己資本がマイナスになっており、算出できないというのが現状です。

※ROE(自己資本利益率)は、企業の純利益を自己資本で割った指標で、企業の収益性を測るために使用されます。しかし、自己資本がマイナスの場合、ROEを算出することはできません。これは、自己資本がマイナスでは、分母に負の値が入るため、ROEの計算が無意味になるためです。

全体として、アルトリア・グループの財務パフォーマンスは、ROICやROCの観点からは健全に見えるものの、自己資本がマイナスである点には注意が必要と言えます。

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アルトリア・グループ(MO)の配当に関して

アルトリア・グループ(MO)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は4.70%、過去3年間の成長率は4.10%となっており、一貫した配当の成長を実現しています

さらに、同社は過去54年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。

また、同社の予想配当利回りは7.88%と非常に競争力があり、配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的なリターンを提供しています。

しかし、配当性向は80%と比較的高く、過去10年来の高水準である100.8%に近い水準となっており、これは、同社が利益のかなりの部分を配当として株主に分配していることを示唆しています。

負債の観点では、同社のEBITDA純有利子負債倍率は1.67倍で、基準値の2.0を下回っています。

理想的には、当倍率が2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すことからも、現在の倍率は同社の財務リスクが比較的低く、債務返済能力が高いことを示しています。

そして、これは、同社が負債と収益のバランスを健全に保っていることを示唆しており、財務の安定性を懸念する投資家にとってポジティブな内容であると言えます。

全体として、アルトリア・グループは、堅実な配当成長の歴史と管理可能な負債水準を維持しているようであり、配当収入を通じて安定性と一貫したリターンを求めるインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっているように見えます。

予想配当利回り:7.88%

配当性向:80%

配当カバレッジ・レシオ:1.48倍

過去5年間の配当成長率:4.70%

EBITDA純有利子負債倍率:1.67倍

※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

Dividend Yield:予想配当利回り

※Dividend Payout:配当性向

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アルトリア・グループ(MO)のバリュエーションに関して

アルトリア・グループ(MOの現在の価格は49ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である45.48ドルよりやや高いことから、若干割高である可能性を示しています。

一方で、実績PERは8.52倍で、予想PERは8.42倍となっており、過去5年、また、過去10年の平均を下回っており、潜在的な割安感を示しているように見えます。

株価売上高倍率も4.28倍と同社業界の平均を下回っており、売上高に基づくと株価が魅力的な価格である可能性を示唆しています。

さらに、EV/EBITDA倍率は7.17倍で、過去の平均を下回っており、EBITDAに基づくと同社の株価が過小評価されている可能性を示している。

全体として、アルトリア・グループの現在のバリュエーションは過去の平均値や業界と比較して割安で取引されているように見えることからも、投資家にとって、現在の株価水準は潜在的な買い場である可能性があります。

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アルトリア・グループ(MO)のリスクとリターンに関して

アルトリア・グループ(MOのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まずマイナス面では、配当性向が80%と高いことからも、今後の配当支払いの持続性に懸念があると言えます。

加えて、同社の売上高成長は過去12ヶ月で鈍化しており、将来の収益見通しに影響を与える可能性があります。

また、株価が2年ぶりの高値水準に近いことは、割高感と潜在的な下振れリスクを示唆している可能性があります。

一方でプラス面では、同社のピオトロスキーのFスコアは7と高く、健全な財務状況を示しています。

さらに、ベニッシュのMスコアは-3.49で、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆しています。

加えて、営業利益率の拡大は、同社の効率性と収益性を示すプラスのサインと言えます。

また、PERも10年ぶりの低水準に近づいており、割安感を示唆している可能性があります。

そして、アルトマンのZスコアは4.57と高く、同社の財務状況が安定していることを示唆しています。

全体として、いくつかの懸念材料がある一方で、魅力的な強みも兼ね備えていることからも、アルトリア・グループは、リスクを軽減しながら、長期的な成長を実現することが出来るようにも見えます。


アルトリア・グループ(MO)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去12ヶ月のアルトリア・グループ(MO)のインサイダーによる同社株式の取引活動を見てみると、2件のインサイダーによる買い付けと1件の売却に留まっており、比較的低水準の活動を示しています。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.61%である点にはご留意ください。

一方で、機関投資家の同社株式の保有比率は61.37%と非常に高く、多くのプロの機関投資家が同社に大きな関心を持っていることを示唆しています。

全体として、インサイダー取引分析とトレンド分析からは、機関投資家が同社株式の過半数以上を保有するという安定した株主構成が明らかになっています。

これは、大口投資家によるアルトリア・グループの今後の株価見通しと将来性への信頼を示すものと考えられます。


アルトリア・グループ(MO)の流動性に関して

アルトリア・グループ(MOの流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は7,918,168株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は9,291,247株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は51.95%となっており、取引活動の約半分がダークプールで行われていることを示しています。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。

全体として、アルトリア・グループは流動性が高く、一貫した取引活動が行われていることからも、流動性を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっているように見えます。

さらに、その他のアルトリア・グループ(MO)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、アルトリア・グループのページにアクセスしていただければと思います。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

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