05/17/2024

中立
マッチ・グループ・インク
中立
マッチ・グループの最近のファンダメンタルズ見通しは、特に四半期ごとに予想を下回るなど、期待外れの結果となっていることから、同社株式に対する見通しを「中立」に引き下げすることとした。
マッチ・グループ / MTCH / 中立:マッチング・アプリ銘柄の最新の2024年1Q決算速報・強み分析と今後の株価予想・将来性

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  • マッチ・グループ(MTCH)は2024年5月7日に2024年度第1四半期決算を発表。
  • ガイダンスが芳しくなく、また、2四半期連続で予想を達成できなかったことから、私は同社株式に対する見通しを「強気」から「中立」に引き下げた。
  • 同社は株主への資本還元に注力しており、フリー・キャッシュフローの75%を充当する計画。
  • 同社のアメリカ大陸における有料課金ユーザーは前年比で14%減少しており、ユニークな価値の提案に苦戦し、且つ、競争の激化に直面していることを示している。

マッチ・グループ(MTCH)への投資に関して

マッチ・グループMTCH)のガイダンスは決して良い内容ではなかった。

特に、同社が私の期待に応えられなかったのは、これで2四半期連続となる。

そのため、今回の決算の内容を受けて、私は同社への見通しを「中立」に引き下げることとした。

一方で、同社に関しては、必ずしも悪いことばかりではないとうのも事実である。

同社は、アクティビスト株主グループの監視の下、これ以上の買収は行わず、株主に資本を還元することを決定している(あるいは要請されている)と見ている。

そして、フリー・キャッシュフローの75%に相当する額を積極的に還元している。

とはいえ、私は今後数週間で、同社よりももっと良い投資対象が見つける予定である。

そして何より、投資においては、どの様な状況に直面しても、感情的にならないことが重要であると信じている。

マッチ・グループ(MTCH)の当面の見通し

マッチ・グループ(MTCH)は、ティンダー、Match.com、OkCupidを含む様々なオンライン・デーティング・プラットフォームを運営しているテクノロジー企業である。

同社は、オンライン・プラットフォームを通じて人々がつながり、チャットし、現実の出会いをアレンジするテクノロジーを提供している。

上記のグラフを見ると、同社のアメリカ大陸における有料課金ユーザーは前年同期比で14%減少していることがわかる。

つまり、同社は、多くの金額を支払う傾向にあるアメリカ大陸における有料課金ユーザーを失っているのである。

経営陣が何をしようと、競争が激しすぎるというのも現状であり、この事業のユニークな価値提案は損なわれつつあるように見える。

マッチ・グループ(MTCH)の売上高成長率は緩やか

前回の分析で私は下記の様に述べている。

「次年度のガイダンスでは、年平均成長率(CAGR)は高いところで9%となっている。経営陣はおそらく保守的なガイダンスに努めており、2024年が終わった時点では、年平均成長率は10%に達する可能性が高いと私は見ている。」

他の分析と同じように、マッチ・グループ(MTCH)は売上高を安定させ成長させるために全力を尽くしているが、価格決定力だけに頼る戦略は往々にして上手くいかないと見ている。

一方で、同社に関する良いニュースも幾つか紹介したい。

マッチ・グループ(MTCH)のバリュエーション:将来フリー・キャッシュフローの8倍

決算発表を受けても、私がマッチ・グループ(MTCH)の株式に対する見通しを現時点では「弱気」としない最大の理由は、同社がフリー・キャッシュフローが11億ドル近くに達すると考えているためであり、その場合、同社のバリュエーションは将来フリー・キャッシュフローの約7倍から8倍となり、割高な水準ではない。

また、確かに、同社にとっての見通しは芳しくないが、同社のレバレッジを見てみると、純有利子負債の2.3倍と管理可能な水準にある。

以上より、上述のような柔軟なバランスシート、並びに、同社が非常に多くのフリー・キャッシュフローを生み出しているという事実を踏まえ、現時点で明確に「弱気」とまで見通しを引き下げることは一旦は保留としている。

マッチ・グループ(MTCH)に対する結論

マッチ・グループ(MTCH)の最近のファンダメンタルズの見通しは期待外れな内容であり、特に四半期ごとに予想を下回っていることを踏まえると、同社株価に対する見通しを「中立」に格下げするという私の決断は賢明な判断であると考える。

ただし、同社を取り巻く環境は困難である一方で、同社が株主に資本を還元するというコミットメント、特にフリー・キャッシュフローの75%を還元するというコミットメントは、私に安心感を与えてくれる内容である。

さらに、同社の現在の株価は将来フリー・キャッシュフローの7倍から8倍程度と魅力的な水準にあり、やや暗い見通しにもかかわらず割高ではないことを示唆している。

しかし、アメリカ大陸における有料課金ユーザーが下落傾向にあることを考えると、慎重なアプローチを採用し、今後同社のポジションを追加するのは控えた方が賢明だと見ている。

今後も、同社の業績を継続的にモニターし、見通しが改善する場合に備えていきたい。