やや強気ナイスすべて表示注目のイスラエル企業であるナイス(NICE)の将来性:最新決算は予想上回り業績好調も割安?今後の株価見通しに迫る!
ドノヴァン・ ジョーンズ- 本稿では、2024年度8月15日に発表された、ナイス(NICE)の最新の2024年度第2四半期決算と、今後の株価見通しおよび将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
- 同社は世界中の企業にカスタマーエクスペリエンスとワークマネジメントソフトウェアを提供しているテクノロジー企業です。
- 同社は増収と増益を続けている一方で、株価バリュエーションは割安であることから、私は同社の今後の株価見通しを引き続き「強気」としています。
ナイス(NICE)の最新の2024年度第2四半期決算について
ナイス(NICE)は2024年度8月15日、2024年第2四半期決算を発表し、売上高と利益のコンセンサス予想を上回る好調な業績を報告しています。
同社は目覚ましい売上高成長を実現し、利益を伸ばしており、さらに、株価のバリュエーションは割安に見えます。
好調な業績が続いていることからも、私は同社の今後の株価見通しを、引き続き「強気」としています。
ナイス(NICE)の概要と市場
ナイス(NICE)は、イスラエルのラーナナに本社を構えるエンタープライズソフトウェアの世界的なプロバイダーです。
CEOのバラク・エイラム氏は、テクノロジー業界で30年以上の経験を持つベテランで、NICEはカスタマーエクスペリエンス管理やワークフォースの最適化に特化したソリューションを提供しています。
同社の主なソフトウェアには、以下のものがあります。
・CXone: オムニチャネルでの顧客対応を統合するクラウドベースのプラットフォーム
・ワークフォース管理: 労働力のスケジューリング、パフォーマンス管理、従業員のエンゲージメントを支援するツール
・コンプライアンス: 規制や業界標準の遵守をサポートするソリューション
・パフォーマンス管理: 従業員のパフォーマンス評価やフィードバックに役立つツール
また、同社はコンサルティング、導入支援、サポートなどのサービスも提供しています。
ナイス(NICE)を取り巻く市場規模と成長予測
カスタマーエクスペリエンス管理ソフトウェア市場は、2024年から2029年にかけて年平均成長率(CAGR)17.9%で成長し、2029年には4,340億ドルに達すると予測されています。(出典:Mordor Intelligence)
ナイス(NICE)の主な競合とプロダクト
・セールスフォース(CRM):顧客関係管理(CRM)および販売自動化ソフトウェア
・オラクル(ORCL):CRM、エンタープライズリソースプランニング(ERP)、分析ソフトウェア
・アドビ(ADBE):マーケティングオートメーションおよび顧客分析ソフトウェア
・マイクロソフト(MSFT):CRM、企業向けコミュニケーション、プロダクティビティソフトウェア
・GENESYS:クラウドベースのコンタクトセンターソリューション
ナイス(NICE)のトレンドと成長を後押しする要因
・クラウドベースのCEMソリューションの急速な普及
・収益性の高い顧客を維持するために、カスタマーエクスペリエンスや顧客満足度の重要性が増している
・業務効率の向上やコスト削減のニーズ
・規制やコンプライアンスの強化
ナイス(NICE)の成長を牽引する市場セグメント
・ヘルスケア:個別化された患者体験の需要がこのセグメントの成長を促進
・金融サービス:安全でコンプライアンスに準拠した顧客対応の必要性
・政府:市民との複雑なやり取りが増加し、需要が拡大
ナイス(NICE)の最近の業績動向
ナイス(NICE)の四半期別の総売上高(緑色の列:Total Revenues)は目覚しい増加を続けており、四半期別の営業利益(青色の線:Operating Income)も安定した軌道に沿って増加しています。
四半期別売上総利益(緑色の列:Gross Profit)は総売上高とともに増加しており、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling Geneeral & Admin Expenses, Total)は横ばいとなっており、営業レバレッジの高まりを示唆しています。
さらに、希薄化後1株当たり利益(EPS)は、売上高が増加する一方で経費が抑制されているため、上昇を続けています。
(上記グラフのデータはすべて百万ドル単位・GAAPベース)
また、過去12ヶ月で同社の株価は8.7%下落したのに対し、ベンチマークであるiシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF(IGV)は26.9%上昇しています。
ナイス(NICE)のバリュエーション
以下は、ナイス(NICE)に関連するバリュエーションの表です
バリュエーション指標 | 値 |
EV(企業価値)/ 売上高倍率(予想) | 3.9 |
EV/EBITDA倍率(予想) | 11.4 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 4.6 |
売上高成長率(予想) | 11.6% |
純利益率 | 15.6% |
EBITDAマージン | 26.3% |
時価総額 | $11,620,000,000 |
企業価値 | $10,670,000,000 |
営業キャッシュフロー | $725,260,000 |
実績EPS(直近過去12か月ベース) | $6.00 |
予想EPS | $10.73 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月ベース) | $10.09 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものです。
下表の通り、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で31.0%であったため、緩やかではあるが改善していることが分かります。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第1四半期 | 2024年第2四半期 |
売上高成長率 | 11.8% | 11.6% |
営業利益率 | 18.4% | 19.4% |
合計 | 30.2% | 31.0% |
ナイス(NICE)の今後の株価見通し
最新の2024年度第2四半期決算説明会で、ナイス(NICE)の経営陣は以下のような成果を報告しました。
売上高
2024年度第2四半期の総売上高は6億6,400万ドルで、前年同期比14%増加しました。クラウド経由の売上高は26%増加し、4億8,200万ドルに達しました。特にCXoneが成長を牽引し、AI関連の売上高も38%増加しました。
カスタマーエンゲージメント売上高は、総売上高の84%を占め、前年同期比で15%増加しました。また、金融犯罪およびコンプライアンス分野の売上高は9%増加し、1億900万ドルとなりました。
顧客維持率
定期収益(リカーリング・レベニュー)は過去最高の89%に達し、前年の86%から上昇しました。クラウド経由の売上高は前年の66%から73%に増加しました。
予約受注とバックログ
2024年度の第2四半期の予約受注は好調で、特にCXoneの予約が過去最高を記録しました。既存市場および新規市場の両方でパイプラインが拡大し、バックログも堅調です。
大企業による長期契約の締結も、安定した成長とバックログの増加に貢献しています。
※バックログ:企業がすでに受注したがまだ納品やサービス提供が完了していない注文や契約の総額を指す。これが多いと、将来の収益が期待できることを示す。
コストと費用の変動
営業利益は前年同期比19%増加し、2億200万ドルに達しました。営業利益率は120ベーシスポイント(1.2%)拡大し、30.4%となりました。
これは、クラウドの粗利益率が70.2%と業界トップクラスであったことが影響しています。また、海外市場やAI開発への投資が引き続き行われました。
キャッシュフロー
2024年度第2四半期の営業キャッシュフローは1億7,000万ドルで、前年同期比160%増加しました。過去12か月のフリーキャッシュフローは6億3,900万ドルに達し、クラウドの粗利益率の向上と業務効率の改善が寄与しました。
バランスシート
第2四半期終了時点で、同社の総現金および投資額は15億400万ドル、純現金は10億4,600万ドルでした(負債は4億5,800万ドル)。
2024年度第2四半期には1億4,600万ドル相当の自社株買いを行い、第3四半期末までに3億ドルの株式買戻しプログラムを完了し、その後、さらに5億ドルの買戻しを開始する予定です。
海外展開
アメリカ大陸は総売上高の85%を占め、前年同期比で16%増加しました。クラウドへの移行が強く求められていることが背景にあります。
EMEA地域は総売上高の10%を占め、こちらも前年同期比で16%増加しましたが、APAC地域ではオンプレミス製品の前払い売上の減少により、売上高が9%減少しました。
サマリー
・過去最高のCXoneの予約受注と強力なパイプラインの構築により、年間成長目標の達成に自信があります。ポートフォリオソリューションへの需要が増えています。
・大企業の取引は実行に時間がかかるものの、その複雑さと長期性により、より安定した定期収益をもたらす見込みです。
・SMBセグメントは安定しており、One CXなどの革新的な製品が注目を集め、市場浸透に伴いさらに取引が増えることが予想されます。
・AI投資は、顧客サービス向けの自動要約や機能的なAIなど、即効性のあるROIをもたらすユースケースに焦点を当てており、顧客が急速に採用しています。
・APACを含む海外市場では予約受注が好調で、特にクラウド移行が進んでいるため、今後の成長が期待されています。
ナイス(NICE)が直面する課題
オンプレミス製品からクラウドへの移行が、特にAPACのような海外市場で、短期的な収益に影響を与え続けています。また、大企業の移行には時間がかかり、バックログの増加と将来の収益確保にはつながるものの、直近の収益認識には遅れが生じる可能性があります。
売上高予測とトレンド
2024年第3四半期の総売上高は、前年同期比13%増の6億7,600万ドルから6億8,600万ドルと予測されています。2024年通年の売上高ガイダンスは、27億1,500万ドルから27億3,500万ドルで、中央値で15%の成長が見込まれています。Non-GAAPベースのEPSガイダンスは、22%増の10.60ドルから10.80ドルに引き上げられました。
私のDCF法(割引キャッシュフロー法)での計算によると、現在の株価は依然として割安であると考えています。
(出典:Gurufocus)
以上より、同社の売上高の力強い成長と将来の収益ガイダンスの上方修正、そして割安な株価バリュエーションを考慮して、私はナイスの今後の株価見通しを、引き続き「強気」としています。
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