【バリュー】ナイキ(NKE)の将来性は良好?予想配当利回りは2%で配当性向は44%!最新の決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、注目の配当・バリュー株であるナイキ(NKE・予想配当利回り2.07%・配当性向44%・1株当たり配当金0.4ドル)の2024年12月19日に発表された最新の2025年第2四半期(暦年:2024年度第3四半期)決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、アパレル業界で世界的リーダーとして革新的な製品とブランド力を武器に、グローバル展開を進める強固な競争力を持つ企業です。
- 同社は過去10年間、安定した財務基盤を維持し、ROICがWACCを上回る財務効率の高さを示しつつ、配当利回りも歴史的高水準に達しています。
- 現在の株価は本質的価値を下回る水準にあり、安全マージンが高いことから割安と評価され、長期的な成長を見込む投資家にとって魅力的な選択肢である可能性があります。
ナイキ(NKE)の概要
セクター:アパレル & アクセサリー
現在の株価:76ドル
時価総額:1,142.6億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:111.53ドル
安全余裕率(マージン):31.18%
過去5年間の配当成長率:11.20%
前回配当落ち日:2024年12月2日
次回配当支払い日:2025年1月2日
予想配当利回り:2.07%
過去5年間の売上高成長率:7.90%
過去10年間の売上高成長率:8.00%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ナイキ(NKE・予想配当利回り2.07%・配当性向44%・1株当たり配当金0.4ドル)は、スポーツシューズやアパレル業界の世界的リーダーであり、アメリカ・オレゴン州ビーバートンに本社を置いています。
同社は「Nike」「Jordan」「Converse」などのブランドを展開し、バスケットボール、ランニング、サッカーなど幅広いスポーツ分野で製品を提供しています。
特に、売上の約3分の2を占めるシューズ部門が強みであり、製品の革新性とブランド力が同社の競争優位性を支えています。
ナイキは世界中で直営店やEコマースプラットフォームを活用して販売網を構築しており、40か国以上で事業を展開しています。
また、製造のほぼ全てを契約メーカーに委託し、30か国以上で生産を行うことで効率的なサプライチェーンを実現しています。
財務面では、ナイキは堅調な成長と安定した利益率を維持しており、直近の粗利益率は44.60%と過去10年の中央値と一致しています。
配当株としても魅力的であり、予想配当利回りは2.07%と10年ぶりの高水準に近く、過去5年間の配当成長率は11.20%を記録しています。
直近では1株当たりの配当を0.37ドルから0.40ドルに増加させ、株主還元を重視する姿勢を示しています。
ナイキは、革新的な製品、グローバルな市場展開、安定した財務基盤を持つ企業であり、長期的な成長を期待するインカム投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
そして、同社は2024年12月19日に2025年度第2四半期(暦年:2024年第3四半期)決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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ナイキ(NKE)の最新の2025年度第2四半期決算発表に関して
ナイキ(NKE)の2024年12月19日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは0.78ドルを記録し、前四半期の0.70ドルから大幅に増加したものの、前年同期の1.03ドルからは減少しました。
また、1株当たり売上高は8.291ドルで、前四半期の7.716ドルを上回りましたが、前年同期の8.738ドルを下回りました。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は13.60%、過去10年間の年平均成長率は9.30%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。
さらに、今四半期の粗利益率は44.60%で、過去5年間の中央値である44.56%や10年間の中央値である44.63%とほぼ同水準を維持しており、売上に対する生産コスト管理の安定性がうかがえます。
加えて、過去1年間の自社株買い比率は2.20%で、発行済株式数の削減を通じてEPSを向上させています。
この自社株買い戻し戦略は、売上の変動がある中でもEPSの成長を支える一因と考えられます。
そして、スポーツシューズやアパレル業界は、今後10年間で年間約5%の成長が見込まれており、同社の成長戦略にとって追い風となる環境が期待されています。
今後の見通しについては、市場のアナリストは同社の2025年度の売上を4,679億ドル、2027年度には5,082億ドル、2025年度と2026年度の予想EPSはそれぞれ2.465ドル、2.855ドルと予測しています。
次回の決算発表は2025年3月21日に予定されており、業績や今後の指針が投資家にとって重要な判断材料となるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ナイキ(NKE)の財務パフォーマンスに関して
ナイキ(NKE)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、同社はROICとWACCの観点から、高い財務効率と経済的な価値の創造能力を示しています。
過去5年間のROICの中央値は27.72%で、WACCの中央値である7.99%を大きく上回っています。
この差は、同社が投下資本を効率的に活用し、資本コストを上回るリターンを生み出していることを意味し、経済的な価値を着実に創出していることを表しています。
また、現在のROICは24.28%で、過去5年間の中央値よりわずかに低いものの、現在のWACC(10.17%)を大幅に上回っています。
これにより、依然として高い価値を生み出していることがわかります。
さらに、過去10年間において、同社のROICは14.98%から33.35%の範囲で推移しており、この期間中のWACCの最高水準である11.18%を常に上回ってきました。
まとめると、ナイキはROICが一貫してWACCを上回る水準を維持しており、資本を効率的に運用してステークホルダーに持続可能な価値を提供していることが明らかです。
この財務効率の高さは、同社の高い自己資本利益率(ROE)にも反映されており、収益性と戦略的な経営の強さを物語っています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ナイキ(NKE)の配当に関して
ナイキ(NKE)は安定した配当成長を続けており、過去5年間の配当成長率は11.20%、過去3年間では10.70%となっています。
また、直近の四半期では、1株当たり配当を0.37ドルから0.40ドルに引き上げ、株主還元への積極的な姿勢を示しました。
さらに、現在の予想配当利回りは2.07%で、過去10年間の中央値である1.05%を上回り、業界内で競争力のある水準となっています。
EBITDA有利子負債倍率は2.20倍で、適度な範囲に収まっており、財務の健全性を保ちながら負債を活用していることを示しています。
この倍率は一定の負債依存を示唆しますが、成長投資や配当支払いを十分に続けられる余地があると言えるでしょう。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
加えて、今後3~5年の予想配当成長率は4.45%と、これまでの成長率より控えめですが、これは株主還元と事業再投資のバランスを図る戦略と考えられます。
次回の配当落ち日は2025年3月1日と予想されています。
これは、四半期ごとのスケジュールに基づいており、投資家に安定した収益見通しを提供しています。
予想配当利回り:2.07%
配当性向:44%
配当カバレッジ・レシオ:2.15倍
過去5年間の配当成長率: 11.20%
EBITDA有利子負債倍率:2.2倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ナイキ(NKE)のバリュエーションに関して
ナイキ(NKE)の現在の株価は76.76ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である111.53ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が31.18%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。
また、予想PERは32.35倍で、過去10年間の中央値である31.68倍をやや上回っており、将来の利益成長を織り込んだ楽観的な価格設定と見られます。
一方、直近12か月ベース(TTM)の実績PERは23.69倍で、過去10年の最低水準に近く、歴史的な水準と比較すると妥当なバリュエーション水準といえます。
さらに、直近過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は21.34倍で、過去10年間の中央値である22.98倍をやや下回り、営業利益ベースでは比較的適正な評価となっています。
加えて、PBRは8.14倍で、過去10年間の中央値である11.45倍を下回っており、簿価に基づく評価では株価が割安である可能性を示しています。
一方で、直近過去12カ月間の実績ベースの株価売上高倍率は2.36倍と、10年最安値付近にあり、市場が売上高に対して慎重な見方をしていることがわかります。
そして、市場のアナリストの見解は慎重ながらも楽観的で、目標株価は最近若干引き下げられたものの、現在の目標株価の平均は87.82ドルと現状の株価を上回っており、これは今後の株価上昇の余地を示しています。
全体として、ナイキのバリュエーション指標は、割安感を示すものもあれば、歴史的な基準と一致するものもあり、慎重ながらも楽観的な見通しが反映されているように見えます。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ナイキ(NKE)のリスクとリターンに関して
ナイキ(NKE)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、過去3か月間で45,190株のインサイダーによる同社株式の売却が確認されており、同社株式の将来性に対するインサイダーによる慎重な姿勢がうかがえます。
また、売上高成長率の鈍化や予想PERが直近12か月ベースの実績PERを上回っている点、さらに利益が減少傾向にあることから、株価が割高であるか、将来の利益に圧力がかかる可能性が示唆されています。
一方、財務面ではポジティブな指標も多く見られます。
まず、ピオトロスキーのFスコアが8と高く、財務の健全性が際立っており、ベニッシュのMスコアも利益操作のリスクが低いことを示しています。
また、営業利益率の拡大は、運営効率の向上と収益性の改善を示唆しています。
さらに、PBRや株価売上高倍率倍が過去の低水準に近く、割安感があると考えられます。
加えて、アルトマンのZスコアは5.21と高く、財務的な安定性が確認されており、倒産リスクは非常に低いとみられます。
そして、予想配当利回りも10年ぶりの高水準に近く、投資家にとって魅力的な収益機会を提供しています。
全体として、ナイキはリスクとチャンスの両方を抱えており、投資家は慎重な検討が求められます。
これらを踏まえ、リスクとリターンのバランスを見極めることが重要と言えるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ナイキ(NKE)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ナイキ(NKE)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、取締役や経営陣による売却が買付を上回る傾向が明らかとなっています。
直近3か月では、インサイダーにる1件の売却が行われた一方で、買付は確認されていません。
この動きは、短期的に慎重な姿勢や利益確定の意図を反映している可能性があります。
期間を6か月に拡大すると、1件の買付に対して4件の売却があり、売却傾向がさらに強調されます。
さらに過去1年間では、売却が9件、買付は1件にとどまり、この傾向はより顕著です。
このパターンは、経営陣や取締役が現在の株価を利益確定の好機と捉えているか、市場環境や社内の将来予測を反映した行動である可能性を示唆しています。
また、インサイダーの同社株式の保有比率は1.29%と比較的小さく、対照的にプロの機関投資家が68.65%を保有しています。
この高い機関投資家比率は、プロの投資家が同社の長期的な成長性に対して高い信頼を寄せていることを示していると考えられます。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ナイキ(NKE)の流動性に関して
ナイキ(NKE)は、安定した取引状況を示しており、直近の1日当たり出来高は13,878,956株で、過去2か月間の平均出来高である12,011,138株を約15.5%上回っています。
これは、最近の決算発表や市場ニュース、業界の動向が投資家の関心を高め、取引活動を活発化させた可能性を示唆しています。
また、同社のダークプール指数(DPI)は52.37%で、取引の約半数以上がダークプール内で行われており、プロの機関投資家による取引が一定程度あることを示しています。
これは、大口投資家が同社に対して一定の信頼を寄せていることを示唆しています。
また、同社の高水準の出来高は、大口取引でも価格に大きな影響を与えることなく処理できる高い流動性を示しており、個人投資家も機関投資家もスムーズに取引を行える環境が整っています。
この流動性は、大規模な資金を動かしても価格変動を最小限に抑えたい投資家にとって魅力的です。
総じて、ナイキの取引および流動性の指標は、強い投資家の関心と十分な流動性を伴う健全な市場環境を示しており、活発な取引が円滑に行われる状況を維持しています。
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関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
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