【半導体】エヌビディア(NVDA)はどこまで下がるのか?主要なバリュエーション指標は割安感を示唆!

- 本稿では、注目の米国半導体銘柄である「エヌビディア(NVDA:Nvidia)はどこまで下がるのか?」という疑問に答えるべく、同社の足元の財務パフォーマンスとリスク要因の詳細な分析を通じて、同社の将来性を詳しく解説していきます。
- エヌビディアの株価は高値から約15%下落しましたが、主要なバリュエーション指標を考慮すると依然として割安であり、長期的な投資機会として魅力的に見えます。
- しかし、市場は成長鈍化や貿易摩擦、競争激化、インサイダー取引などのリスクを織り込んでおり、これらが株価の上昇を抑える要因となっています。
- AI分野での競争は激化していますが、エヌビディアは引き続き優位性を維持しており、現在の株価水準はリスク・リターンのバランスが取れた魅力的な投資機会と考えています。
はじめに
エヌビディア(NVDA:Nvidia)は、最高値から約15%下落しました。優れた決算を発表したものの、ウォール街におけるAIのリーダーとしての勢いを取り戻すには至っていません。
しかし、この下落は投資機会を提供しているようにも見え、実際に、現在のエヌビディアは割安であるようにも見えます。
主要なバリュエーション指標を見ても、その妥当性が明らかです。PEGレシオは魅力的なエントリーポイントを示しており、PERもAI分野の最前線に立つ同社の立ち位置を考慮すれば、依然として合理的な水準にあります。
では、なぜエヌビディアの株価は上昇しないのでしょうか?
市場はさまざまなリスクを織り込んでいます。成長の鈍化、貿易摩擦、競争の激化、そしてインサイダー取引の動向に対する懸念などが、現在の慎重な市場心理を生んでいます。
しかし、こうした懸念があるにもかかわらず、同社の株価は長期的な価値が期待できる水準に近づいています。以前の分析レポートでは、買いの目安として100ドル付近を提示しましたが、その水準に近づいている今、実際に行動を起こすことを検討しています。
これは、一流のテクノロジー企業にポジションを築く絶好のタイミングであると考えています。エヌビディアが過去10年にわたって築き上げた競争優位性が、一夜にして消えることはありません。短期的にAIへの投資が減速する可能性はありますが、長期的な成長トレンドは揺るぎないものであると考えています。
エヌビディア(NVDA:Nvidia)のバリュエーションの評価:市場の過剰反応なのか?
エヌビディア(NVDA)の急成長により、そのバリュエーションを巡る議論が頻繁に行われています。しかし、実際のところ、同社の財務状況は株価の上昇に概ね追いついています。
(出所:TrendSpider)
株価、収益、バリュエーションの動向を分析すると、非常に興味深い状況が浮かび上がります。株価は比較的横ばいで推移している一方で、収益は引き続き伸びており、従来のバリュエーション指標で見ると同社は徐々に割安になっています。
実際、同社は第1四半期にも力強い決算を発表しましたが、その後も株価は下落しています。
業界の競合他社や主要なテクノロジー企業と比較しても、同社のバリュエーションは依然として魅力的な水準にあります。
予想ベースのPEGレシオで見ると、同社はAMD(AMD)を除くすべての企業よりも魅力的な水準にあります。キャッシュフロー倍率は一部の企業より高めですが、同業他社と比較すると依然として競争力のある範囲内に収まっています。
数値を見れば、エヌビディアは割安な投資対象と考えられます。しかし、市場は何かを見落としているのでしょうか?
エヌビディア(NVDA:Nvidia)の迫り来る課題
投資家は複数のリスク要因を考慮しており、それがエヌビディア(NVDA)のバリュエーションを抑える要因となっています。ここで、それらを詳しく見ていきましょう。
エヌビディアの成長率の鈍化
エヌビディアは2025年に1,305億ドルという過去最高の売上を記録し、前年比で114%の成長を遂げました。しかし、表面的な数字だけでなく、その成長軌道を詳しく見ると、減速の兆しが見えてきます。
セグメントごとの売上推移を分析すると、異なる側面が浮かび上がります。自動車関連の売上は増加しているものの、その他の事業の多くでは成長が鈍化しており、データセンター部門の成長率も現在は20%程度に落ち着いています。
アナリストの利益予測もこの傾向を裏付けています。エヌビディアは2026年度まで力強い成長が見込まれていますが、長期的には成長鈍化が予想されており、一部の予測では2029年にはマイナス成長に転じる可能性すら指摘されています。
最新の動向を踏まえると、これらの予測でさえ楽観的すぎるかもしれません。
エヌビディアを取り巻く貿易と関税の不確実性
関税政策は、エヌビディアだけでなく半導体業界全体にとって大きな逆風となっています。すでに輸出規制により、中国向けの高性能チップの販売が制限されています。
さらに、貿易摩擦が激化する中で、新たな関税が導入される可能性もあります。例えば、台湾の半導体輸出に対する100%の関税が導入されるとの噂もあり、これが現実になれば、エヌビディアのサプライチェーンにさらなる混乱をもたらし、コスト増加を招く可能性があります。
中国の自給自足への取り組みがエヌビディアに与える影響
中国は、海外の半導体メーカーへの依存を減らすために積極的に動いており、エヌビディアはそのターゲットの一つとされています。
(出所:TechInsights)
最近のデータによると、中国の半導体生産は急速に拡大しており、その象徴的な存在が同国の主要ファウンドリであるSMIC(981 HK:中芯国際)です。SMICは市場シェアを着実に伸ばしており、中国の半導体産業全体の成長を後押ししています。
もし中国がエヌビディアへの依存度を大幅に下げることに成功すれば、この重要な市場におけるエヌビディアの長期的な成長に大きな影響を与える可能性があります。
推論分野:エヌビディアに対するAMDの迫る脅威
エヌビディアはAIの学習分野で圧倒的なシェアを誇っていますが、今後10年の成長をけん引するのは推論分野になる可能性があります。
(出所:WiseGuyReports)
この分野でAMDは着実に進展を遂げており、推論タスク向けにコスト効率の高いチップを提供しています。特に、メタ・プラットフォームズ(META)の最新のLlamaモデルはエヌビディアのハードウェア上で最適に動作していないことが判明しており、エヌビディアの支配力に揺らぎが生じる兆しが見え始めています。
もしAMDのチップレットベースのアーキテクチャが、エヌビディアのモノリシックデザインよりも適応性と効率性に優れていると証明されれば、エヌビディアにとって長期的に深刻な脅威となる可能性があります。
エヌビディアのインサイダー取引が投資家の疑念を招く
もう一つ注目すべき点は、エヌビディアのインサイダーが大量に株を売却していることです。
(出所:Nasdaq.com)
過去3カ月間で記録されたインサイダーの買いはわずか1件(3,169株)に対し、売却は280万株以上にのぼっています。この傾向は、エヌビディアの株価の短期的な見通しに対する社内の自信に疑問を投げかけるものです。
エヌビディア(NVDA:Nvidia)に対する投資判断
こうしたリスクがあるにもかかわらず、エヌビディア(NVDA)は現在の水準でも依然として魅力的な投資先です。AI革命はまだ終わりではなく、大手テクノロジー企業はAI開発に3,250億ドル以上の資金を投じています。
(出所:EdgePoint)
懐疑的な見方をする人もいますが、AIの本格的な影響はすでに現れ始めています。企業はAIによる業務効率化を理由に人員削減を進めており、一般ユーザーでさえ、AIツールを活用して自動化やソフトウェア開発を行うようになっています。
関税リスクは依然として不確定要素ですが、地政学的な不透明感はエヌビディアにとって目新しいものではありません。最終的には、経済や政治の現実が極端な政策決定を抑制する可能性が高いでしょう。
競争が激化しているものの、エヌビディアはAI分野で確固たる地位を築いており、大きな優位性を持っています。ジェンスン・フアンCEOも、AIの普及はまだ始まったばかりだと強調しています。自動運転技術やロボティクスをはじめ、さまざまなAI関連分野の成長が期待される中、エヌビディアのチップに対する長期的な需要は引き続き強いと考えられます。
こうした背景を踏まえると、現在の株価水準においてエヌビディアは魅力的なリスク・リターンのバランスを提供していると言えます。
エヌビディア(NVDA:Nvidia)のテクニカル分析:買いの水準が迫る?
(出所:TrendSpider)
エヌビディア(NVDA)は、重要なテクニカルサポート水準である100ドル付近に近づいています。日足のRSIは売られ過ぎの領域に接近しており、90ドル付近では出来高のサポートも強くなっています。このことから、一時的な調整を経た後、再び上昇基調に戻る可能性が高いと考えられます。
エヌビディア(NVDA:Nvidia)に対するまとめ
市場はエヌビディア(NVDA)に対する逆風を織り込んでいますが、より広範な市場全体の弱さも売り圧力を強める要因となっています。しかし、市場環境が落ち着けば、同社は強い買いの機会として再評価される可能性があると考えています。
これは単なる投機的なAI銘柄ではなく、同社のバリュエーションは下値リスクが限定的な水準に近づいているように見えます。成長ペースはやがて鈍化するかもしれませんが、2025年は依然として同社にとって好調な年となる見込みであり、それは株価にもいずれ反映されると見ています。
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