【高配当】リアルティ・インカム(O)の今後の株価見通し:配当推移と最新の2024年度第3四半期決算分析を通じて将来性に迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、注目の高配当銘柄であるリアルティ・インカム(O:予想配当利回り6.00%・1株当たり配当金0.264ドル)の2024年11月4日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、高配当利回りと安定した月次配当を特徴とするREIT銘柄で、安定した収益性が配当収入重視のインカム投資家に評価されています。
- 財務パフォーマンスではROICがWACCを下回るなどの課題がある一方、自社株買いや安定した収益成長が株主価値向上を示唆しています。
- 現在のバリュエーション指標は過去平均より割安感があり、安全マージンからも魅力的なエントリーポイントとなる可能性があります。
リアルティ・インカム(O)の概要
セクター:REIT(不動産投資信託)
現在の株価:53ドル
時価総額:463億9,000万ドル
過去5年間の配当成長率:3.00%
次回配当落ち日:2025年1月2日
次回配当支払い日:2025年1月15日
予想配当利回り:6.00%
過去5年間の売上高成長率:5.10%
過去10年間の売上高成長率:3.30%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
リアルティ・インカム(O:予想配当利回り6.00%・1株当たり配当金0.264ドル)は、単一テナント型のトリプルネットリースを特徴とする不動産投資信託(REIT)です。
同社は全米49州とプエルトリコに約15,400件の不動産を所有し、小売、産業、オフィス、製造業、物流施設など多岐にわたるテナントポートフォリオを展開しています。
テナントは47業種、250社以上に及び、収益の多様性と安定性を提供しています。
特に、トリプルネットリース契約により、テナントが固定賃料に加え税金、保険、維持費などの運営コストを負担する仕組みを採用している点が同社のユニークな特徴です。
財務面では、過去数年間で積極的な債務発行を行いながらも、収益性を一定水準で維持しています。
また、予想配当利回りが6.00%と高水準で、同社は「月次配当株」として知られ、毎月の安定した配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
直近では、1株当たり配当を微増させる形で配当を維持しており、特にインカム投資家に高い評価を受けています。
そして、同社は2024年11月4日に2024年第3四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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リアルティ・インカム(O)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
リアルティ・インカム(O)の2024年11月4日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは0.36ドルを記録し、前四半期の0.368ドルからわずかに減少しましたが、前年同期の0.348ドルからは増加しました。
希薄化後EPSは0.30ドルで、前四半期の0.29ドルから改善したものの、前年同期の0.33ドルを下回りました。
また、1株当たり売上高は1.526ドルで、2024年第2四半期の1.538ドルからわずかに減少したものの、2023年第3四半期の1.464ドルを上回りました。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は0.90%、過去10年間の年平均成長率は5.60%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。
加えて、第3四半期の粗利益率は92.75%で、過去5年の中央値である93.58%や10年の中央値94.14%をわずかに下回り、収益性に若干の圧力がかかっていることがうかがえます。
さらに、同社は自社株買いを積極的に進めており、過去1年間で発行済み株式の20.90%を買い戻しました。この株式数の減少により、収益の変動にもかかわらずEPSの安定化が図られていると考えられます。
将来の見通しとして、市場のアナリストは2024年末までに収益が511億653万ドルに達し、その後2025年には542億993万ドル、2026年には580億894万ドルに増加すると予測しています。
また、来期の予想EPSは1.276ドル、さらに翌年には1.633ドルに上昇すると見込まれており、同社の成長に対する期待感が示されています。
次回の決算発表は2025年2月20日に予定されており、業績や今後の指針が投資家にとって重要な判断材料となるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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リアルティ・インカム(O)の財務パフォーマンスに関して
リアルティ・インカム(O)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社の過去5年間のROICの中央値は3.02%で、現在のROICは3.32%です。
一方で、過去5年間のWACCの中央値は6.78%、現在のWACCは7.35%となっており、これによりROICが一貫してWACCを下回っていることが確認できます。
特に、現在のROIC(3.32%)が現在のWACC(7.35%)を大きく下回っており、同社が投下資本に対して十分なリターンを生み出せていないことを示しています。
つまり、現時点では経済的価値を創出できていない状況です。
一方で、Joel Greenblatt氏の手法によるROC(176.23%)は、コア事業からのリターン生成の効率性を示唆していますが、伝統的なROICがWACCを下回る状況は、価値創出における根本的な課題を浮き彫りにしています。
この状況を踏まえると、同社は資本配分の戦略を見直し、財務効率を改善することで、株主価値を向上させる必要があると考えられます。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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リアルティ・インカム(O)の配当に関して
リアルティ・インカム(O)の配当成長率は直近では控えめな水準となっており、過去5年間および3年間の成長率はいずれも3.00%にとどまっています。
直近の四半期では、1株当たり配当が0.263ドルから0.264ドルへわずかに増加しました。
一方で、予想配当利回りは6.00%と非常に高く、セクター全体の過去の利回りの高値や中央値と比較しても魅力的な水準です。
ただし、EBITDA有利子負債倍率は6.40倍に達しており、一般的な目安である4.0を大幅に上回っています。
今後3〜5年間の予想配当成長率は2.96%とさらに低下する見込みであり、こうした財務的な制約が影響していると考えられます。
同社は月次で配当を行っており(年間12回)、次の権利落ち日は2025年1月2日の後、週末に重ならない場合は2025年2月3日になると予想されます。
この安定した配当スケジュールは配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的ですが、高い配当性向と高水準の負債を考えると、慎重な検討が必要です。
予想配当利回り:6.00%
配当カバレッジ・レシオ:0.34倍
過去5年間の配当成長率: 3.00%
EBITDA有利子負債倍率:6.4倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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リアルティ・インカム(O)のバリュエーションに関して
リアルティ・インカム(O)の現在の株価は53ドルで、内在価値である64.24ドルを下回っており、安全余裕率(安全マージン)は17.5%と見積もられます。
直近過去12カ月間ベースの実績PERは50.48倍で、過去10年の中央値である49.79倍をわずかに上回る一方、10年の最高値である76.16倍と比べると大幅に低い水準です。
これは、歴史的な中央値と比較してやや割高ではあるものの、依然として許容範囲内にあることを示しています。
一方で、予想PERは33.42倍と現在の実績PERを大きく下回り、将来的な収益の改善が期待されていることを示唆しています。
直近過去12カ月間の実績ベースの株価売上高倍率(PSR)は8.75倍で、過去10年のレンジの低めに位置しており、売上高に対する評価は比較的魅力的な水準です。
また、直近過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は17.43倍で、過去10年の低水準である15.80倍に近く、中央値である20.17倍を下回っています。
これにより、運営利益率の観点からも割安感があることが示されています。
さらに、株価純資産倍率(PBR)は1.21で、10年の最低値である1.12倍に近い水準です。
加えて、直近過去12カ月間の実績ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は13.02倍で、これも10年の最低値付近に位置しており、キャッシュフロー創出能力に対して非常に魅力的な価格で取引されていることを示唆しています。
全体として、リアルティ・インカムのバリュエーション指標は過去のパフォーマンスと比較して割安感があることを示しています。
特にPBRやEV/EBITDA倍率の水準は、魅力的なエントリーポイントを示しているように見えます。
市場のアナリストの評価や目標株価の安定した範囲を考慮すると、短期的な株価変動には注意が必要ですが、全体的な見通しは堅調です。
これらの指標から、同社はバリュー投資を重視する投資家にとって、安全余裕率を伴う有望な投資先となる可能性があるでしょう。
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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リアルティ・インカム(O)のリスクとリターンに関して
リアルティ・インカム(O)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、マイナス面では、同社は過去3年間で71億ドルの債務を発行しており、長期的な負債比率や財務の安定性に対する懸念が高まっています。
さらに、過去5年間で営業利益率が年平均で4%減少しており、運営効率の低下が示唆されています。
また、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を継続的に下回る状況にも注意が必要でしょう。
一方で、同社にはいくつかの好材料もあります。
ベニッシュのMスコアが-2.39であることから、財務操作をしている可能性は低いとされており、財務報告の透明性に一定の信頼感を与えています。
また、株価純資産倍率(PBR)が1.21倍、株価売上高倍率(PSS)が8.75倍と、いずれも過去10年の低水準に近い値を示しており、割安なバリュエーションである可能性があります。
さらに、予想配当利回りが過去10年の高水準に達しており、配当収入を重視するインカム投資家には魅力的な選択肢となるでしょう。
しかし、これらのプラス要素がある一方で、高い負債水準や市場からのリスクシグナルといった財務的な課題を無視することはできません。
投資を検討する際には、これらのリスクとリターンを慎重に比較検討することが求められるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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リアルティ・インカム(O)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去12ヶ月間で、リアルティ・インカム(O)のインサイダー取引は一貫して売却が中心であり、内部関係者による自社株の購入は一切ありませんでした。
直近3カ月間には1件のインサイダーによる売却があり、過去6カ月間では3件、12カ月間では4件の売却が記録されています。
そして、いずれの期間においてもインサイダーによる株式の購入は見られませんでした。
この傾向は、インサイダーが同社の将来に自信を欠いている、または流動性を必要としている可能性を示唆しています。
ただし、インサイダーの同社株式の保有比率はわずか0.21%と非常に低く、経営陣や取締役が会社の株式をほとんど保有していないことを示しています。
これにより、インサイダーと株主の利益が必ずしも一致していない可能性が考えられます。
一方、プロの機関投資家の保有比率は87.50%と非常に高く、機関投資家が同社に大きな影響力を持ち、将来性についてより楽観的な見方をしている可能性があります。
総じて、同社のインサイダー取引動向は、インサイダーが同社の見通しに慎重な立場を取っていることを示していますが、高い機関投資家比率は、同社のバリュエーションや今後の見通しについて異なる観点を提供し、バランスを保つ要因となっている可能性があります。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
リアルティ・インカム(O)の流動性に関して
リアルティ・インカム(O)の流動性分析では、平均よりやや高い取引活動が確認されています。
直近営業日の1日あたりの出来高は5,446,518株で、過去2カ月間の平均出来高である5,274,255株を約3.26%上回っています。
これは、最近になって市場の投資家の関心や取引活動が増加していることを示しています。
また、ダークプール指数(DPI)は39.24%で、これは取引の約4割が非公開市場で行われていることを意味します。
DPIが39.24%という数値は、プロの機関投資家が市場への影響を抑えつつ取引を行っている可能性を示唆しており、一定の取引が公の取引所外で行われていることを示しています。
高い流動性は、株式の取引が活発であることを意味し、価格への影響を最小限に抑えながら株式の購入や売却が可能である点で投資家にとって有利です。
一方で、DPIが高いということは、取引の多くが公的な取引データには反映されていない可能性があり、価格の発見や市場の透明性に影響を及ぼすリスクがあることを意味します。
投資家は、こうした要素を考慮した上で、O社の市場動向や取引環境を慎重に評価する必要があるでしょう。
また、インベストリンゴのインカム・高配当株担当アナリストであるヴェンカット・ ラガーヴァン氏が、同社に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。
もし詳細に関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、併せてご覧いただければと思います。
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関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
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