やや強気ユーアイパスすべて表示ユーアイパス(PATH)の今後の株価見通し:最新の2024年第2四半期決算では業績好調で株価には割安感あり?
ドノヴァン・ ジョーンズ- 本稿では、注目の米国テクノロジー銘柄であるユーアイパス(PATH:UiPath)の2023年9月6日に発表された最新の2024年第2四半期決算と財務パフォーマンスの分析を通じて、同社の強み(競争優位性)、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- ユーアイパスは、ロボティック・プロセス・オートメーション・ソフトウェアを提供するテクノロジー企業です。
- 最新の決算では好調な業績を示しており、特に力強い収益成長、フリーキャッシュフロー、無借金経営を実現している点が注目に値します。
- また、各企業がより高い効率性を生み出すために、AIに焦点を当てたソフトウェア自動化機能を採用しようとしていることからも、同社は恩恵を受ける立場にあると見ています。
- それらを踏まえ、私の同社株式に対する今後の見通しは「強気」としています。
ユーアイパスについて
ユーアイパス(PATH)は、世界中の企業にロボティック・プロセス・オートメーション・ソフトウェアを提供している。
同社は、プラットフォームへのAI機能の組み込みにおいて大きく前進していることから、AIを駆使した自動化ソフトウェアの価値に対する顧客意識の高まりから恩恵を受ける立場にあると考える。
ユーアイパスに対する私の見通しは「強気」である。
ユーアイパスの概要と市場動向
ユーアイパスは、ロボティック・プロセス・オートメーション・ソフトウェアと、会計や財務などの分野における自動化のためのプラットフォームを提供している。
そして、共同最高経営責任者ダニエル・ダインズとロブ・エンスリンが率いている。
ダニエル・ダインズ氏は、以前マイクロソフトの開発者であり、エンスリン氏はグーグル・クラウドの社長、SAPの取締役兼社長を務めた人物である。
同社は、直接販売やマーケティング活動、さまざまなパートナープログラムを通じて新規顧客を獲得している。
同社はロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)ソフトウェア市場で事業を展開している。
Mordor Intelligence社のレポートによると、RPAの市場規模は2023年に推定31億ドルで、2028年には113億7000万ドルに達すると予想されている。
この成長が達成されれば、2023年から2028年までのCAGR(年間平均成長率)は29.7%と、非常に高くなることが予想される。
同社の主な競合他社は以下の通り:
・NICE Ltd.
・Automation Anywhere
・Blue Prism
・Microsoft Power Automate
・WorkFusion
・Kofax
・EdgeVerve
ユーアイパスの最近の財務動向
四半期別総売上高(Total Revenue)は引き続き増加傾向にある。四半期別営業利益(Operating Income)は大幅なマイナスで推移しているが、最近の四半期では一進一退である。
四半期別売上総利益率(Gross Profit Margin)は狭い範囲で変動している。四半期別総売上高に占める販売費および一般管理費(Selling, G&A % Of Revenue)の割合は、高水準にあるものの、最近の四半期では低下している。
希薄化考慮後の1株当たり利益はマイナスのままだが、ここ数四半期は損益分岐点に向けて一進一退である。
(上記グラフのデータはすべてGAAPベース)
過去12ヶ月間、同社の株価は13.16%上昇したのに対し、直接競合するNICE Ltd.(NICE)の株価は22.25%下落している。
貸借対照表では、同社は18億ドルの現金同等物と短期投資、更には無借金で四半期を終えた。
フリー・キャッシュ・フローは1億6,790万ドルで、資本支出はわずか1,040万ドルだった。同社は過去4四半期に3億6,730万ドルという多額の株式報酬を支払ったが、この金額は過去10四半期では低い方であった。
ユーアイパスのバリュエーションおよびその他の指標
以下は、同社の関連するバリュエーションの一覧である。
バリュエーション指標 | 値 |
企業価値 / 売上高 | 6.7 |
企業価値 / EBITDA | - |
株価 / 売上高 | 8.1 |
売上成長率 | 15.1% |
純利益率 | -15.5% |
EBITDAマージン | -17.6% |
時価総額 | $9,460,000,000 |
企業価値 | $7,700,000,000 |
営業キャッシュフロー | $178,270,000 |
一株当たり利益(完全希薄化後) | -$0.32 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー | $0.30 |
参考までに、関連する比較可能な上場企業としては、NICE Ltd. (NICE)が挙げられる。
バリュエーション指標 | ナイス(NICE) | ユーアイパス | 差 |
企業価値/売上高 | 4.2 | 6.7 | 58.8% |
企業価値/EBITDA | 17.5 | - | --% |
売上成長率 | 10.1% | 15.1% | 49.1% |
純利益率 | 13.5% | -15.5% | --% |
営業キャッシュフロー | $531,300,000 | $178,270,000 | -66.4% |
PATHの直近の未調整ベースの40%ルールを計算すると、2024年第2四半期決算時点で-2.6%であったため、下記の表の通り、同社はこの点で大幅な改善が必要であると言える。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第2四半期 |
売上高成長率 | 15.1% |
EBITDAマージン | -17.6% |
合計 | -2.6% |
ユーアイパスのセンチメント分析
下のグラフは、経営陣による直近のアナリスト向け決算電話会議におけるキーワードの頻度を示している。
このグラフから、同社とその顧客は、マクロ経済的な逆風を中小規模の顧客で若干受けており、大企業の顧客ではそれほど受けていないことがわかる。
アナリストは経営陣に対し、同社がAIイニシアチブのための予算支出をどのように獲得しているか、価格ダイナミクス、AIへの関心が取引スピードに及ぼす影響について質問した。
経営陣は、AIは、見込み顧客による自動化導入に追い風であり、多くの顧客はUiPathのAI能力の先進性に驚いていると答えた。
同社は安定した価格環境を目の当たりにしており、価格設定は新規ビジネス獲得における主要な要因ではない模様。
経営陣によると、顧客はジェネレーティブAIのような新技術による価値創造に注目しており、UiPathによる高度な差別化を浮き彫りにしているという。
ユーアイパスに関するコメント
2024年第2四半期決算に関する前回の決算説明会では、経営陣のコメントの中では以下の点が強調されている。
・2023年第2四半期の年間経常収益(ARR)が前年同期比25%増の13億800万ドルに達した。
・クラウドのARRは前年同期比125%増の5億ドルを超えた。
・総収益は前年同期比19%増の2億8700万ドル。為替の影響を除いた売上は17%増。
・四半期全体の売上総利益率は86%。ソフトウェア売上総利益率は91%。
・米国会計基準の営業損失は、株式ベースの報酬1億200万ドルを含めて7,800万ドル。
・Non-GAAP基準の営業利益は3,000万ドル、営業利益率は10%。
・Non-GAAP基準の調整後フリー・キャッシュフローは4,700万ドル。
・取締役会は5億ドルの自社株買い戻しプログラムを承認。
・2024年度のガイダンスは、総収入12億7,300万~12億7,800万ドル、Non-GAAPベースの営業利益1億8,800万ドル(利益率14.7%)、Non-GAAPベースの調整後フリーキャッシュフロー2億5,000万ドル以上とのこと。
・これが達成されれば、2023年度の前年比成長率18.6%に対し、2024年度の収益成長率は約21%に加速する。
同社の財務状況は良好で、流動性は高く、負債もなく、フリーキャッシュフローも潤沢である。
しかし、同社の「40%ルール」上のパフォーマンスは全般的に芳しくなく、投資家に対して営業利益を示し始める必要があると考える。
ユーアイパスの潜在的な株価上昇要因としては、競合他社との差別化により、同社のソフトウェア・オートメーション機能に対する顧客や見込み客の取り込みが進むことが考えられる。
以上より、ユーアイパスに対する私の見解は「強気」である。
また、その他のユーアイパス(PATH)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ユーアイパスのページにアクセスしていただければと思います。
アナリスト紹介:ドノヴァン・ ジョーンズ
📍IPO&テクノロジー担当
ジョーンズ氏のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ジョーンズ氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。