中立ペプシコペプシコ(PEP)今後の株価見通し:配当金は1.355ドルで予想配当利回りは3%!最新決算が好調な配当株の将来性に迫る!
- 本稿では、ペプシコ(PEP:予想配当利回り3.12%・配当性向66%・1株当たり配当金1.355ドル)の2024年10月8日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- ペプシコは、世界的なスナックおよび飲料メーカーであり、安定した配当成長を続けていることから配当銘柄として注目を集めています。
- 特に過去52年間連続して増配を実施していることからも、米国株配当王の一角を担っています。
- 2024年10月8日の第3四半期決算では、EPSが2.31ドルを記録し、前年同期を上回る成長を見せました。
- 同社のROICはWACCを上回り続けており、長期的な成長性と高い財務パフォーマンスを示しています。
ペプシコ(PEP)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:適正価格
リスクレベル:低リスク
セクター:ノンアルコール飲料
現在の株価:174ドル
時価総額:2,393.8億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:187.9ドル
安全余裕率(マージン):7.14%
過去5年間の配当成長率:6.50%
前回配当落ち日:2024年9月6日
前回配当支払い日:2024年9月30日
予想配当利回り:3.12%
過去5年間の売上高成長率:8.40%
過去10年間の売上高成長率:4.60%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ペプシコ(PEP:予想配当利回り3.12%・配当性向66%・1株当たり配当金1.355ドル)は、ニューヨーク州パーチェスに本社を構える、世界トップクラスのスナックおよび飲料メーカーです。
同社は、Pepsi、Mountain Dew、Gatorade、Lay's、Cheetos、Doritosなどの有名ブランドを保有し、スナック市場で圧倒的なシェアを誇ります。
また、飲料業界でもコカ・コーラ(KO)に次ぐ世界第2位の規模を持ち、炭酸飲料だけでなく、水、スポーツドリンク、エナジードリンクといった多様な商品を展開しています。
売上の約55%がスナック食品事業から、残りは飲料事業から得られ、海外市場が全売上の40%を占めています。
配当面では、過去5年間の配当成長率は6.50%、予想配当利回り3.12%と安定した成長を続けており、さらに、過去52年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っています。
加えて、株主還元として株式買い戻しも実施されています。
そして、同社は2024年10月8日に2024年第3四半期決算を発表しています。
ペプシコ(PEP)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
ペプシコ(PEP)の2024年10月8日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは2.31ドルを記録し、第2四半期の2.28ドルや前年同期の2.25ドルを上回り、利益が着実に伸びていることがわかります。
この成長は、効果的なコスト管理と運営の効率化が寄与しているように見えます。
また、1株あたりの売上高は16.922ドルで、前年同期の16.958ドルからわずかに減少したものの、安定した収益基盤を維持しています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は6.60%で、過去10年間の年平均成長率は5.20%となっており、同社は中長期にわたり、継続して力強い業績を実現していることが分かります。
さらに、第3四半期の粗利益率は54.68%で、過去5年間の中央値である54.21%とほぼ同水準にあり、過去10年間の最高値である55.13%には少し及ばないものの、安定したコスト管理と価格戦略が示されています。
過去1年間の自社株買い比率は0.20%で、これにより発行済み株式数が減少しEPSの向上が図られている一方で、財務の健全性に対する同社の自信を示しています。
過去10年間の自社株買い比率は1.00%で、株主還元に対する姿勢が一貫していることがわかります。
今後の見通しとして、市場のアナリストは2024年末までに同社の売上高が92,230.41百万ドル、2026年には99,100.87百万ドルに達すると予測しています。
加えて、2025年度の予想EPSは7.714ドル、2026年度は8.481ドルと見込まれ、引き続き成長が期待されています。
また、飲料・スナック業界全体は今後10年間で年率3〜4%の成長が見込まれており、ペプシコのさらなる成長に向けて有利な環境が整っているように見えます。
次回の決算発表は2025年2月7日に予定されており、今後の成長見通しに関する更なる詳細が明らかになるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)の財務パフォーマンスに関して
ペプシコ(PEP)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。
同社は、ROICが常にWACCを上回っており、財務面での優れたパフォーマンスと効率的な資本運用を示しています。
過去5年間のROICの中央値は11.63%で、WACCの中央値5.07%を大きく上回っており、同社が資本コストを大幅に超えるリターンを生み出して経済価値を創出していることがわかります。
現在のROICも12.94%で、WACCの5.67%を引き続き上回っており、この差が同社の強固な経済的な価値創造能力と優れた資本管理を示しています。
以上より、ROICが一貫してWACCを上回っていることは、同社の経営効率と戦略的な投資判断の適切さを物語っています。
また、過去5年間のROEの中央値が50.90%と高水準であることからも、自己資本を活用して高いリターンを生み出していることを示しています。
この安定した実績は、ペプシコが高い収益性と堅実な投資戦略を持ち、業界内で価値を生み出す企業としての地位を確立していることを裏付けていると言えます。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)の配当に関して
下記のチャートからも分かる通り、ペプシコ(PEP)は安定した配当成長を実現しており、過去5年間の配当成長率は6.50%、過去3年間では7.10%とわずかに高い成長を見せています。
同社の予想配当利回りは3.12%で、過去10年間の中央値である2.76%を上回っており、投資家にとって魅力的な配当利回りとなっています。
配当性向は66%と健全な水準にあり、過去には100%近くに達したこともある中で、最近はより保守的な配当方針が取られていることが伺えます。
EBITDA有利子負債倍率は2.77倍で、適度な範囲にあり、負債の管理が適切に行われていることを示していますが、業界全体の状況を考慮すると引き続き注意が必要でしょう。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
そのため、同社の足元の倍率は、成長を促進しつつも負債の返済能力を維持するバランスの取れた戦略を反映していると言えます。
さらに、今後3〜5年間の配当成長率は6.66%と予想されており、過去の成長率と一致していることから、今後も安定した配当を通じて株主還元が続くと期待されています。
配当は四半期ごとに支払われており、次回の権利落ち日は2024年12月6日と予測されています(直近の権利落ち日は2024年9月6日)。
総じて、ペプシコは安定した財務基盤に支えられた強力な配当実績を誇り、配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっているように見えます。
予想配当利回り:3.12%
配当性向:66%
配当カバレッジ・レシオ:1.29倍
過去5年間の配当成長率:6.50%
EBITDA有利子負債倍率:2.77倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)のバリュエーションに関して
ペプシコ(PEP)の現在の株価は174.48ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である187.9ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が7.14%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。
また、予想PERは20.19倍で、過去10年の中央値である26.13倍をやや下回っており、利益成長の期待に対して適切な評価を受けているといえます。
加えて、過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は17.12倍で、過去10年の中央値である16.37倍に近く、バリュエーション指標が安定していることが示されています。
さらに、過去12カ月間の実績ベースの株価売上高比率(PSR)は2.62倍で、過去10年の中央値である2.64倍にほぼ一致しており、売上に対するバリュエーションは一貫しているように見えます。
そして、足元のPBRは12.3倍で、過去10年の中央値である13.25倍を少し下回っており、純資産に対するバリュエーションはやや低めに感じられます。
一方で、過去12カ月間の実績ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率は38.78倍と、過去10年の中央値である29.41倍を大きく上回っており、キャッシュフロー面で割高感があるかもしれません。
以上より、これらの指標は全体的に安定しているものの、株価フリーキャッシュフロー倍率の高さは懸念材料となり得るかもしれません。
ただし、市場のアナリストの評価は概ねポジティブで、目標株価の平均値は182.60ドルとされており、現在の価格からわずかな上昇の余地があると考えられています。
これは、ペプシコの業績に対する信頼感を反映しており、最近の目標株価の変動にもかかわらず、全体的な見通しは良好であるように見えます。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)のリスクとリターンに関して
ペプシコ(PEP)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社は過去3年間で長期負債を35億ドル増やしているものの、現時点では負債の管理が十分にできていると考えられます。
ただ、懸念材料としては、過去5年間で営業利益率が平均して年2.8%低下しており、効率の低下やコストの増加が示唆されています。
また、1株あたりの売上成長も昨年から鈍化しており、トップラインの成長維持が課題となっています。
一方、ポジティブな要素として、同社は財務面で強固な基盤を持っており、ピオトロスキーのFスコアが7という高い評価を得ており、運営効率や財務の安定性が際立っています。
さらに、ベニッシュのMスコアが-2.56という数値は、財務操作のリスクが低いことを示し、投資家の信頼を強めています。
加えて、PBRやPERは過去数年の低水準にあり、株価が歴史的に見て割安である可能性を示唆しています。
また、予想配当利回りは3年ぶりの高水準に達しており、投資家にとって魅力的なインカム投資の機会を提供しているように見えます。
さらに、アルトマンのZスコアが4.09と高く、破産リスクが低いことから、経営上の課題はあるものの、財務的な安定性は引き続き強固であるように見えます。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ペプシコ(PEP)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、主に売却が中心となっており、5件の売却が行われた一方で、買い付けは一切ありませんでした。
これは、取締役や経営陣が利益を確定させたり、投資先を見直したりしている可能性を示唆しています。
特に、インサイダーによる同社株式の買い付けがないことから、同社のインサイダーが、同社株式を現在の株価で買い増しするほどの自信を持っていない可能性を示唆しています。
直近6ヶ月間に絞っても、2件の売却があり、依然として買い付けはなく、この売却傾向が続いていることが確認できます。
この動きは、インサイダーが短期的な株価上昇をあまり期待していないか、他の理由で株式を手放している可能性を示していると言えるでしょう。
とはいえ、インサイダーの保有率は0.47%と低く、彼らが同社に対して大きな持分を保有していないことがわかります。
一方、プロの機関投資家の同社株式の保有率は74.25%と非常に高く、大口投資家が同社の長期的な成長性に対して信頼を寄せていることを示しています。
総じて、ペプシコのインサイダーによる取引は慎重な姿勢を示しているものの、プロの機関投資家からは強い支持が見られるという構図となっています。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ペプシコ(PEP)の流動性に関して
ペプシコ(PEP)の流動性は概ね堅調ですが、直近営業日の1日の出来高は4,389,532株となっており、この数値は過去2ヶ月の平均出来高である5,491,899株を下回っています。
これは、市場の状況や同社に関連するニュースがトレーダーの行動に影響を与えた可能性が考えられます。
さらに、同社のダークプール指数(DPI)は48.0%で、多くの取引が非公開の市場で行われていることを示しています。
そして、DPIが50%に近いということは、プロの機関投資家と個人投資家の取引が均衡していることを意味し、どちらかが市場を支配しているわけではないことを表しています。
足元の出来高が過去の平均を下回っていることは、一時的な流動性の低下を示唆しており、取引の活発さが戻らない場合、ボラティリティが高まる可能性があります。
しかし、同社の強固な市場ポジションと通常の取引パターンを踏まえると、これは一時的な現象であり、長期的な傾向ではないと考えられます。
全体として、ペプシコの流動性は引き続き安定しており、安定した平均出来高とバランスの取れたDPIにより、投資家の関心と信頼は依然として高いままです。
ただし、今後の出来高の動向には引き続き注意が必要でしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。
以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。
ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
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