中立プロクター・アンド・ギャンブルプロクター・アンド・ギャンブル(PG)の将来性:配当金は1.0065ドル!予想配当利回りは2.36%で最新の決算も好調!
- 本稿では、プロクター・アンド・ギャンブル(PG:配当王・予想配当利回り2.36%・配当性向58%・1株当たり配当金1.0065ドル)の2024年10月18日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG)は、世界的な消費財メーカーで、過去68年間連続して増配を続ける「配当王」としても有名であり、安定した業績と高い市場シェアを誇っています。
- 最新の2025年第1四半期決算では、EPSや売上高は前年同期を上回り、粗利益率も過去10年で最高水準を記録するなど、強固な財務パフォーマンスが確認されました。
- バリュエーション面では市場価格が適正範囲内にあり、将来の利益成長に期待されつつも、安全マージンの低さに注意が必要です。
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:適正価格
リスクレベル:低リスク
セクター:医薬品
現在の株価:169ドル
時価総額:3,996.5億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:159.08ドル
安全余裕率(マージン):-6.67%
過去5年間の配当成長率:6.10%
前回配当落ち日:2024年10月18日
次回配当支払い日:2024年11月15日
予想配当利回り:2.36%
過去5年間の売上高成長率:5.60%
過去10年間の売上高成長率:3.80%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
プロクター・アンド・ギャンブル(PG:配当王・予想配当利回り2.36%・配当性向58%・1株当たり配当金1.0065ドル)は、1837年に設立され、米国オハイオ州シンシナティに本社を構える世界最大級の消費財メーカーです。
同社は、Tide洗剤、Pampersおむつ、Panteneシャンプー、Charminトイレットペーパーなど、年間売上が10億ドルを超えるブランドを20以上展開しています。
これらのブランドは、全世界で幅広く支持されており、同社の売上の半分以上が米国外での販売から成り立っています。
同社の強みは、ブランドの強力なラインアップと世界中での高い市場シェアにあり、消費者に幅広い製品を提供することで、長期的な成長を続けています。
財務面では、同社は強固な業績を維持しており、2023年には年間売上が800億ドルを超えました。
また、同社の粗利益率は51.41%と過去10年間で最高水準に達しており、運営効率の高さが際立っています。
さらに、5年間の年平均成長率(CAGR)は6.90%と安定しており、長期的な成長の見通しも良好です。
同社はまた、戦略的な自社株式の買い戻しを行っており、過去10年間で年間平均1.50%の自社株を買い戻しています。
配当面でも、同社は安定した配当支払いを続けており、過去68年間連続して増配を実施していることから、米国株配当王の一角を担っています。
そして、同社は2024年10月18日に2025年第1四半期決算を発表しています。
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の2024年10月18日に発表された、最新の2025年度第1四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは1.93ドルを記録し、前四半期の1.45ドルから大幅に増加し、前年同期の1.83ドルをわずかに上回っています。
一方で、希薄化後のEPSは1.61ドルで、前四半期の1.27ドルからは増加しましたが、前年同期の1.83ドルよりは低くなっています。
さらに、1株あたりの売上高は8.815ドルで、前四半期の8.305ドルより増加しているものの、前年同期の8.836ドルからはわずかに減少しています。
ただし、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は6.90%で、過去10年間の年平均成長率は6.40%となっており、中長期的に安定した成長を実現していることが分かります。
また、粗利益率は51.41%で、過去10年間で最高水準を記録し、過去5年間の中央値である50.32%を上回っています。
加えて、自社株の買い戻しもEPSの成長に貢献しており、過去10年間の年間平均自社株買い比率は1.50%です。
直近1年間の自社株買い比率は0.10%で、最近はやや控えめな自社株買い戦略を取っています。
業界全体の成長率は、今後10年間で年平均3.5%程度と予測されています。
そして、同社の今後の成長も期待されており、市場のアナリストは、来年度の予想EPSは6.89ドル、翌年度は7.427ドル、さらに、2027年までに売上高が92,715.73百万ドルに達すると予測しており、堅実な成長が見込まれています。
以上より、戦略的な自社株の買い戻しや効率的な利益率管理により、プロクター・アンド・ギャンブルの今後の成長がさらに期待されます。
次回の決算発表は2025年1月23日に予定されており、同社の財務状況や市場でのポジションがさらに明確になるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の財務パフォーマンスに関して
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社は、資本を効果的に活用し、強力な財務パフォーマンスと価値創出を実現しています。
特に、同社のROICは14.61%で、WACCの5.99%を大幅に上回っています。
この大きな差は、同社が資本コストをカバーするだけでなく、株主に大きな経済的価値を提供していることを示しています。
また、過去5年間のROICの中央値は13.30%で、過去10年間の最高値は14.61%に達しており、いずれもWACCを上回っています。
これは、同社が資本を効率的に運用し、安定した高いリターンを生み出している証拠です。
ROEも28.82%と非常に高く、過去5年間の中央値は30.80%となっています。
このことからも、同社は株主資本を上手く活用していることがわかります。
これらの指標は、同社の戦略的な投資と効率的な運営が株主の利益に直結していることを示しており、企業価値の創出に貢献しています。
総じて、プロクター・アンド・ギャンブルの財務戦略は資本コストを大きく上回るリターンを生み出し、株主価値を持続的に向上させているように見えます。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の配当に関して
下記のチャートからも分かる通り、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)は、安定した配当成長を実現しており、過去5年間の配当成長率は6.10%、過去3年間の配当成長率は5.70%となっています。
さらに、同社は68年間連続で増配しており、米国株配当王の一角を担っています。
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【投資コラム】配当王とは?50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!
現在の予想配当利回りは2.36%で、これは過去10年間の中央値である2.59%を少し下回りますが、市場の変動にもかかわらず安定した配当を維持していることが分かります。
また、配当性向は58.0%と、過去に100%を超えたこともある高水準からは控えめな水準にあります。
このため、再投資や将来の配当増加の余地が十分にあると言えます。
最新の四半期の配当金の支払い額は1株あたり1.0065ドルで、前年同期の0.9407ドルから増加しています。
今後の配当成長率は4.77%と予測されており、今後も株主への安定したリターンが期待できます。
さらに同社のEBITDA有利子負債倍率は1.65倍で、業界平均を下回り、財務的に健全であることが示されています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
次の配当落ちは2025年1月18日に予定されており、四半期ごとに安定した配当を提供することが予想されます。
予想配当利回り:2.36%
配当性向:58%
配当カバレッジ・レシオ:1.49倍
過去5年間の配当成長率:6.10%
EBITDA有利子負債倍率:1.65倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のバリュエーションに関して
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の現在の株価は169.7ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である159.08ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-6.68%となっていることから、わずかに割高である可能性が示唆されています。
また、直近過去12ヶ月間の実績ベースのPERは29.26倍で、過去10年間の中央値である25.53倍を上回り、歴史的な基準と比較してプレミアム評価がなされていることが分かります。
さらに、EV/EBITDA倍率は19.31倍で、過去10年間の中央値である17.55倍を上回っており、企業価値の面でもやや割高であることが示されています。
加えて、株価売上高倍率も4.99倍で、過去10年間の中央値である4.29倍を上回っており、売上高を基準とした場合にもバリュエーションが高めであることを裏付けています。
しかし、予想PERは24.36倍で、現在の実績ベースのPERよりも低く、将来の利益成長が期待されていると言えます。
これにより、成長が実現すれば株価が正常化する可能性があると言えるでしょう。
ただし、直近過去12カ月間の実績ベースの株価フリー・キャッシュフロー倍率は26.46倍で、こちらも過去10年間の中央値である24.05倍を上回っており、市場はより高いキャッシュフローを見込んでいることが示されています。
そして、PBRは7.83倍で、過去10年間の中央値である6.42倍を大幅に超えており、純資産価値に対して高いプレミアムがかかっていることが分かります。
一方で、市場のアナリストの見解は慎重ながらも前向きで、現在の目標株価の平均値は178.24ドルとされており、わずかながら上昇余地が見込まれています。
以上より、プロクター・アンド・ギャンブルは弊社算出の一株当たり本質的価値や過去の中央値を上回って取引されていますが、予想される利益やキャッシュフローが実現すれば、株価が市場の目標株価に近づく可能性もあるでしょう。
ただし、現行のバリュエーションでは安全マージンが少ない点には注意が必要です。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のリスクとリターンに関して
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
全体として、同社はプラス面とマイナス面が混在する状況にあります。
まずマイナス面では、同社は過去3年間で45億ドルの長期債務を増やしており、これはまだ管理可能な範囲内ですが、財務の柔軟性に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
また、最近のインサイダー取引を見ると、28件の同社株式の売却があり、合計で544,784株が売却されている一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは見られません。
これは、経営陣を含むインサイダーが同社株式の今後の見通しに対して自信を持っていない可能性を示唆しています。
さらに、過去1年間で売上の成長ペースが鈍化しており、これが将来の収益にプレッシャーを与える可能性もあります。
ただし、同社の財務状況は非常に健全です。
アルトマンのZスコアは5.69と高く、財務リスクは低いとされています。
営業利益率も拡大しており、業務効率が向上していることを示しており、将来的な利益率の向上が期待されます。
また、ベニッシュのMスコアが-2.64であり、利益操作のリスクは低いと判断されています。
株価売上高倍率は10年ぶりの高水準にあるものの、PBRは2年ぶりの低水準にあり、バリュエーション面でのサポートも期待できるかもしれません。
これらの要素を踏まえ、投資家はプロクター・アンド・ギャンブルへの投資を検討する際には、上述のプラス面とマイナス面を慎重に検討する必要があるでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の過去1年間のインサイダー取引を見ると、興味深い傾向が見られます。
過去1年間で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない一方で、53件の売却が報告されています。
このトレンドは、短期的にも同様で、過去6か月で35件、過去3か月では28件の売却が行われています。
このように売却が続き、買い付けがないことは、インサイダーが同社の現在の株価を利用して、個人的な投資を再編している可能性を示唆しています。
一方で、同社のインサイダーによる同社株式の保有比率は0.29%と低く、取締役や経営陣の株式保有比率が小さいことがわかります。
これに対して、プロの機関投資家の同社株式の保有比率は67.95%と高く、大口投資家が同社に対して強い関心を持っていることがうかがえます。
このインサイダーとプロの機関投資家の保有比率の違いは、プロクター・アンド・ギャンブルの今後の業績に対する見解が異なっている可能性を示しているかもしれません。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の流動性に関して
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の流動性は非常に強固です。
過去2か月間の一日当たり平均出来高は約6,906,344株で、直近営業日の出来高である6,947,628株とほぼ一致しています。
この安定した出来高は、市場の投資家による同社への継続的な関心を示しており、投資家が同社株式を売買する際の取引のしやすさを裏付けています。
また、同社のダークプール指数(DPI)は52.47%であり、かなりの割合の取引がプロの機関投資家専用の非公開市場で行われていることを示しています。
DPIが50%を超える場合、プロの機関投資家の間で中立的からややポジティブな感情が示されていると考えられます。
そして、これは、非公開市場での買い圧力が売りを上回っていることを示唆しています。
総じて、プロクター・アンド・ギャンブルの流動性プロファイルは強力で、出来高の多さによりスリッページのリスクが少なく、市場の流動性も十分に確保されています。
DPIの高さは、プロの機関投資家の強い関心を示しており、同社株の安定性と将来のパフォーマンスに対する前向きな兆候といえるでしょう。
このような要素が組み合わさり、プロクター・アンド・ギャンブルは流動性リスクが低い信頼性の高い投資先として、小口投資家にも大口投資家にも魅力的な選択肢となっています。
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関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
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