中立パランティア・テクノロジーズパランティア・テクノロジーズ(PLTR)中立:2024年1Q決算速報&財務分析と今後の株価予想・将来性(Palantir)

- パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は2024年5月6日に2024年度第1四半期決算を発表している。
- 同社の基礎的業績は好調で、有料顧客の増加とフリーキャッシュフローの拡大が見られる。
- 私の同社株式に対する見通しは「中立」で、2025年前半までの目標株価は30ドルと見ている。
- 同社のソフトウェア・プラットフォームと政府との契約は安定した予測可能な売上高をもたらすが、現在のバリュエーションは割高に見える。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)への投資テーマ
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)はボラティリティの大きい銘柄である。
しかしながら、同社の基本的な業績は実に好調であると言える。
下記で説明するように、決算後の株価の動きにとらわれるべきではなく、有料顧客の増加ペースに注目するべきである。
投資家として重要なのはこの点とフリーキャッシュフローの増加ペースである。
そして、この2つの変数は、継続して成長しているように見える。
ただし、ここで、私は「中立」という、自身の同社株式への見通しを改めて繰り返したい。
私はパランティア・テクノロジーズの株価は2025年前半までに30ドルに達すると見ているが、現在の水準では買うべき銘柄ではないともみている。
同社株式の買い時は既に通過しており、私は同社株式へのロング・ポジションに、2023年2月から注目してきた。
そして、私が最初に注目してからの同社の株価推移は下記の通りである。
なぜパランティア・テクノロジーズ(PLTR)なのか?なぜ今なのか?
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、Palantir Gotham、Palantir Foundry、Palantir Apolloの3つの主要なソフトウェア・プラットフォームを持っている。
Gothamは複雑なデータセット内の隠れたパターンを特定することに重点を置き、Foundryはデータ分析のためのセントラル・オペレーティング・システムを作成し、Apolloは様々な環境において安全かつ継続的なソフトウェア・デリバリーを保証している。
これらのプラットフォームにより、ユーザーは膨大な量の情報をまとまったデータ資産に変換することができる。
同社は、顧客や政府が準備態勢を強化するためにデータを再配置するのを支援し、効果的な指揮のためのパートナー・メッシュ・ネットワークを構築しようとしている。
ここで、改めて私の投資戦略を確認したい。
私の投資戦略は実にシンプルであり、株価の一時的な上下に左右されることなく、有料顧客とフリー・キャッシュフローの成長ペースを分析することである。
上の図は、パランティア・テクノロジーズの米国有料顧客数が前四半期比10%台半ばで伸びており、前年同期比69%増であることを示している。
つまり、今のところ、米国の有料顧客は総売上高の約25%と、比較的小さな部分でしかないというのが現状である。
そして、下記の図の灰色の部分が、米国政府関連顧客を除く米国の有料顧客の比率である。
同社の売上高の大部分は、成長が鈍化している米国政府からのものであり、総売上高の41%を占めている。
しかし、数四半期後には、同社の米国政府からの売上高の、同社の総売上高における影響は小さくなる一方で、米国の商業ビジネス(US Commercial)と米国外の商業ビジネス(Non-US Commercial)からの売上高がより重要な成長のドライバーとなるだろう。
そして、そちらの事業の方がはるかに速いスピードで成長しているため、全体の売上高もより速いスピードで成長することになるだろう。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の2024年の売上高成長率:年平均成長率は約21%
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、急成長中のハイテク株ではない。
しかし、そもそも私がこの株に注目した理由は、潜在的な不況を乗り切れるビジネスを求めていたからである。
私がこの銘柄のロング・ポジションに注目した当時、私はこのように説明している。
「多くの企業は売上高を伸ばすのに苦労するかもしれないが、パランティア・テクノロジーズの最大の顧客は世界中の政府である。そしてこれらの政府関連顧客は懐が深いのが現実である。」
現在、この仮説はほぼ達成されたが、上述の通り、同社の根本的なビジネスが政府関連顧客とは離れたところで急成長していることがお分かりいただけただろう。
実際、この進展は非常に興味深いポイントであるが、ある仮説が実現し始めたら、長居は禁物であるようにも思える。
なぜなら、同社の株価は既に合理的な水準にあるように思えるからである。
そこで、同社のバリュエーションについて説明したい。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)のバリュエーション:将来フリー・キャッシュフローの45倍
前回のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)に関するレポートで私は下記の様に述べている。
「個別株式に投資をする際に、私は常に12カ月先を見るようにと言っている理由は、市場の参加者の大半は6カ月程度先までしか見ていないからである。パランティアに関しては、私は同社は2024年のある時点で、10億ドルのフリーキャッシュフローを前倒しで達成することになるだろうと見ている。実際に、同社の2024年度通期ガイダンスは、既に中間点で9億ドルを指している。そのため、同社が2024年第4四半期を終了する頃には、11億ドルのフォワード・ランレートも達成している可能性は十分にあると見ている。」
パランティア・テクノロジーズのフリー・キャッシュフローのランレートは11億ドルになるだろう。
そして、現在の価格である、将来フリー・キャッシュフローの45倍の価値を同社に支払うということは非常に割高であるように感じる。
したがって、同社株式を現時点の水準から新規でロング目線で見ることは難しいというのが本音である。
現状として、多くの投資家は今後も同社株式に熱狂することが想定されるが、私としては同社よりも優れた銘柄を見つけることに専念したいと思っている。
一方、私が以前述べたことを再確認しておくと、パランティア・テクノロジーズの株価がプレミアムで取引されている理由は、彼らが世界中の政府と結んだ契約が信じられないほどスティッキネス(粘着性)が高い契約であるためである。
米国政府、英国のNHSなど、一度、同社と契約した政府は、非常に長い期間、契約を破棄することはないだろう。
つまり、非常に粘着性が高く、安定的で、予測可能で、信頼できる売上が入ってくるのである。
そしてこの側面が、同社の株価にプレミアムを与え続けていると見ている。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)に対する結論
以上より、私はパランティア・テクノロジーズ(PLTR)に対して「中立」で見ている。
実際、同社株式は非常にボラティリティが高い銘柄と言えるが、特に同社の有料顧客数の増加やフリー・キャッシュフローの継続的な増加など、同社には強力な指標があると私は見ている。
しかし、同社の株価はさらなる投資を躊躇させるバリュエーション水準に達しており、特に将来フリー・キャッシュフローの45倍という価格は割高に感じる。
同社の政府との契約は収入源として安定性をもたらしているが、現在の株価水準から更なるアップサイドを期待するのは難しいようにも感じる。
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