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11 - 10 - 2024

【半導体】クアルコム(QCOM)の将来性とは?最新の2024年第4四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、クアルコム(QCOM:予想配当利回り1.99%・配当性向37%・1株当たり配当金0.85ドル)の2024年11月6日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • クアルコムは、無線通信技術の特許を持つ大手企業で、特にスマートフォン市場でのチップ供給やIoT、自動車市場への展開による成長が期待されています。
  • 最新の決算で、非経常損益項目を除いた1株当たり利益が前年同期比で33.2%増加するなど、安定した成長を示していますが、現在の株価は理論株価よりもやや割高であるように見えます。
  • クアルコムの財務は堅実で、配当成長率や低い負債比率により、将来的な配当の安定と増加が見込まれる一方、インサイダーの売却が続いているため、短期的なリスクにも注意が必要です。

クアルコム(QCOM)の概要


バリュエーション:やや割高

リスクレベル:中リスク


セクター:半導体

現在の株価170ドル

時価総額1898.1ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値145.43ドル

安全余裕率(マージン):-17.47%

過去5年間の配当成長率6.20%

前回配当落ち日:2024年12月5日

前回配当支払い日:2024年12月19日

予想配当利回り1.99%

過去5年間の売上高成長率13.30%

過去10年間の売上高成長率10.80%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

クアルコム(QCOM:予想配当利回り1.99%・配当性向37%・1株当たり配当金0.85ドル)は、米国カリフォルニア州サンディエゴに本社を置く、無線通信技術の開発とライセンス供与を行う大手企業です。

特に、CDMAおよびOFDMA技術に関連する特許を保有しており、これらは3Gから5Gに至る無線通信ネットワークの基盤技術として不可欠です。

この知的財産は、ほぼすべての無線デバイスメーカーにライセンスされており、同社のビジネスの大きな柱となっています。

また、クアルコムはスマートフォン向けチップ市場で最大手の地位を確立しており、主要なスマートフォンメーカーに最先端のプロセッサを提供しています。

さらに、同社はスマートフォン用RFフロントエンドモジュールに加え、自動車やIoT市場向けのチップも販売しており、これにより事業の多角化と成長が期待されています。

財務面では安定した収益基盤を持ち、堅実な成長を続けています。

配当金の支払いも継続して行っており、配当株としての魅力も高く、投資家にとって安定したリターンが期待できます。

そして、同社は2024116日に2024年第4四半期決算を発表しています。

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クアルコム(QCOM)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

クアルコム(QCOM2024116日に発表された、最新の2024年度第4四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは2.69ドルを記録し、前四半期の1.91ドルや、昨年の同四半期の2.02ドルから大幅に上昇し、四半期比で40.8%、前年比で33.2%の増加となりました。

また、1株当たりの売上は9.065ドルまで増え、前四半期の8.283ドルや昨年の7.665ドルから大幅に増加しました。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は24.60%、過去10年間の年平均成長率は10.90%となっており、足元で成長が加速していることが分かります。

利益率を見てみると、同社の粗利率は56.22%で、過去5年間の中央値である57.51%には若干及ばないものの、過去10年間の範囲内には収まっています。

自社株買いについては、過去1年間の自社株買い比率が0.10%と控えめで、過去1年間に発行済み株式の0.10%が買い戻されたことを意味しています。

一方で、過去5年間の自社買い比率は0.50%であり、同社の一貫した発行株式数を減らすことでEPSの成長を支える戦略を表していると言えます。

将来的な成長予測では、2025年に売上が424.9億ドルに達し、2027年には462.9億ドルに増えると見込まれています。

次の会計年度のEPSは9.666ドルと予想され、その次の年度には10.745ドルに伸びるとされており、強固な成長の見通しを示しています。

また、次の10年間の業界の成長率も約5~7%と有望です。

クアルコムの次回の決算発表は2025年1月31日に予定されており、同社の今後の業績や戦略についてさらなる情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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クアルコム(QCOM)の財務パフォーマンスに関して

クアルコム(QCOMの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、ROICがWACCを一貫して上回ることで、強い財務パフォーマンスと効果的な資本配分を示しています。

過去5年間の推移を見てみると、過去5年間のROICの中央値は27.84%で、WACCの中央値である9.80%を大幅に上回っています。

これは、同社が資本コストを上回る経済的価値を創出していることを意味し、株主価値の効率的な創造を表しています。

下記のチャートからも分かる通り、最新のROICも28.02%と、現在のWACCの11.94%を上回っており、経済的な価値創造の好調な流れが続いていることが確認できます。

これは、同社が投資した資本を効率よく運用し、資金調達コストを超えるリターンを得ていることを示しています。

また、ROEに関しては、過去5年間の中央値は92.52%と非常に高く、株主資本を効率的に活用する能力を示しており、財務・運営の強さが際立っています。

これらの指標は、クアルコムが成長と経済的な価値創造を維持する良好な位置にいることを示唆し、資本効率と収益性の高さを求める投資家にとって魅力的な選択肢であることを強調しています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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クアルコム(QCOM)の配当に関して

クアルコム(QCOM)は、過去5年間の配当成長率が6.20%、過去3年間の配当成長率が7.50%と、配当が着実に成長していることを示しています。

最新の四半期では、一株当たりの配当は0.85ドルであり、2024年年明けの0.80ドルから増加しており、成長傾向が続いていることが分かります。

また、現在の予想配当利回りは1.99%で、半導体業界の過去10年間の中央値である2.77%を少し下回っていますが、将来的なの予想利回りの改善が期待できます。

さらに、同社の配当性向は37.0%で、これは過去の最高値である100.7%と比べて低く、保守的な配当政策を取っていることから、将来的な増配の可能性があると言えます。

加えて、同社の将来の配当成長率は7.40%と予測されており、最近の歴史的パフォーマンスに沿っていると言えます。

財務面では、同社のEBITDA有利子負債倍率が1.15倍と、安全とされる2倍以下の範囲内にあり、財務リスクが低く、債務の支払い能力が高いことを示しています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

次の権利落ち日は2024年12月5日で、四半期ごとの配当のため、その次の権利落ち日は2025年3月5日頃と予測されます。

全体として、クアルコムは健全な財務基盤を保持していることから、配当の将来性は安定しているように見えます。

予想配当利回り1.99%

配当性向37%

配当カバレッジ・レシオ2.72

過去5年間の配当成長率6.20%

EBITDA有利子負債倍率1.15

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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クアルコム(QCOM)のバリュエーションに関して

クアルコム(QCOMの現在の株価は170.85ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である145.43ドルよりもわずかに高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-17.48%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

一方で、直近過去12ヶ月の実績ベースのPERは19倍で、過去10年間の中央値である18.78倍をわずかに上回っているため、足元のバリュエーションは歴史的な基準に近いと言えます。

また、予想PERが15.18倍であり、実績PERよりも低い水準にあることから、これは将来の収益増加が期待されていることを示唆しています。

しかし、直近過去12ヶ月の実績ベースの株価売上高倍率は4.96倍で、過去10年間の中央値である4.11倍より高いため、売上高に対してプレミアムがついていることが示唆されます。

さらに、EV/EBITDA倍率が15倍と、過去10年間の中央値である12.25倍を上回っており、EBITDAに対する企業のバリュエーションが高いことを示唆しています。

ただし、PBRは7.24倍で、過去10年間の中央値と同水準にあることから、簿価に対する評価は安定していると言えます。

加えて、株価フリー・キャッシュフロー倍率は17.3倍と、過去10年間の中央値である18.49倍を下回っているため、フリー・キャッシュフローの生成に対する評価は相対的に見て適正な水準にあると言えます。

市場のアナリストの評価では、目標株価の平均値が足元で下方修正されたものの、コンセンサスの目標価格は208.28ドルと現在の株価より高く、全体としては楽観的な見通しが持たれています。

以上より、EV/EBITDA倍率や株価売上高倍率倍の高さから過大評価の兆候はある一方で、予想PERや市場のアナリストの目標株価からも、クアルコムの成長見通しについて様々な見方があることが分かります。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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クアルコム(QCOM)のリスクとリターンに関して

クアルコム(QCOMのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、同社の財務状況は非常に強固で、ピオトロスキーのFスコアが8と高く、収益性、負債の管理、オペレーション効率が優れていることを示しています。

また、アルトマンのZスコアが6.28と高いことから、倒産リスクが非常に低いことも確認できます。

低いベニッシュのMスコアは財務操作の可能性が低いことを示し、投資家の信頼を高めていると言えます。

さらに、PBRやPERが過去1年間の最低値に近いため、投資家にとっては魅力的なバリュエーションである可能性があります。

しかし、注意すべきリスクも幾つか存在します。

例えば、総利益率と営業利益率がそれぞれ年率2.7%と3.9%ずつ低下していることから、コスト効率の低下や競争の激化が示唆されています。

また、最近では社内のインサイダーによる同社株式の売却が目立つ一方で、買い付けが全くないことから、インサイダーが短期的な同社の株価見通しに自信を持っていない可能性を示しています。

さらに、足元で資産の成長率(16.6%)が売上の成長率(13.3%)を上回っていることは、資産の効率的な利用に問題である可能性を示唆しています。

以上より、これらのマイナスの要因を、クアルコムの強力なバランスシートと魅力的なバリュエーションと天秤にかけて、投資判断を行うべきでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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クアルコム(QCOM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

クアルコム(QCOMの過去1年間のインサイダー取引を見ると、同社のインサイダーによる同社株式の売却が目立っています。

最近の3ヶ月間では7件の売却があり、買い付けはゼロとなっています。

この傾向は6ヶ月間でも変わらず、19件の売却に対して買い付けは一切確認されていません。

過去12ヶ月間で見ても、35件の売却に対して買い付けは一切確認されていません。

この継続した売却トレンドは、インサイダーが利益を確定させているか、同社の株価のバリュエーションやその他の戦略的理由により自身の持ち株を調整している可能性を示しています。

しかしながら、この売却トレンドにもかかわらず、インサイダーの保有比率はわずか0.17%と低く、インサイダーは同社の株式をあまり持っていないことが分かります。

一方で、プロの機関投資家の保有比率は78.68%と高く、これは大手のプロの投資家による強い関心と影響力があることを示しています。

インサイダーの低い保有比率と高いプロの機関投資家の保有比率とのギャップは、大手金融機関がインサイダーの売却にもかかわらず同社に信頼を寄せていることを示している、または、インサイダーとプロの機関投資家が同社の将来性について異なる見解を持っていることを意味しているのかもしれません。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


クアルコム(QCOM)の流動性に関して

クアルコム(QCOM)は、直近営業日の出来高が8,549,119株に達し、過去2ヶ月の1日当たり平均出来高である8,061,532株を上回っています。

これは投資家の関心が高まっていることや、市場の流動性が向上していることを示しています。

また、同社のダークプール指数(DPI)は64.12%で、これは取引のかなりの割合が公開取引所外のダークプールで行われていることを意味します。

DPIが50%を超えると、プロの機関投資家が積極的に同社の株式を取引していることが示唆され、価格形成プロセスに影響を与え、取引の匿名性を重視していることを示します。

取引量の増加と高いDPIは、同社が魅力的な流動性を持っていることを示唆しており、投資家がポジションの調整を大幅な価格変動なしで行えることを意味します。

しかしながら、大量のダークプール取引が行われていることは、市場の透明性や株価の正確な決定に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

総じて、クアルコムの流動性は活発な出来高とプロの機関投資家の積極的な売買により強固であり、個人投資家や機関投資家が効率的に同社株式を取引するための良好な環境を提供していると言えます。

また、インベストリンゴのアナリストであるダグラス・ オローリン氏も、直近、クアルコムに関する下記のレポートを執筆しておりますので、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。

クアルコム(QCOM)の株価下落は押し目買いのチャンス?経営陣が例年12月よりも早く株式報酬を受け取った意味とは?

その他のクアルコムQCOM)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、クアルコムのページにアクセスしていただければと思います。

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

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