12/20/2023

中立
SPDR S&P 500 ETF
中立
市場は来年の利下げを期待して急激に上昇しましたが、その上昇はやや行き過ぎた感があります。
【最新】米国株の今後の見通し:足元のS&P500の過熱感を踏まえ、下落リスクには少し警戒が必要

Caution text overlayローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 来年の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げを見越して、足元、主要市場平均は放物線を描いて史上最高値を更新している。
  • しかし、個人的には、この米国株式市場におけるラリーは、年末前の買い急ぎのように感じられる。

S&P500種株価指数が史上最高値更新を目前に控え、市場では株式のパニック買いが起きているように見える。

史上最高値更新という水準は、ほんの2ヶ月前には想像もできなかったレベルである。

しかし、今では年末までに達成することができそうにも見える。

但し、ここ数日繰り返し申し上げているように、私の唯一の懸念は、この水準に到達するまでの道のりがあまりに急進的であることである。

足元、主要株価指数の動きは放物線を描いている。

11月が、ソフトランディングに向けた今年の進展を十分に認識できる水準まで市場のバリュエーションを回復させるための月だったとすれば、ここ数週間は、2024年に期待したい良いニュースを先に織り込んでいるように見える。

そして、市場委大きな期待を抱かせることは、途中の不測の事態に対して市場を脆弱にするのも事実である。

この年末ラリーはロケット船のようである。

下のチャートは、S&P 500 ETF(SPYに毎日出入りする資金量を表している。

そして、右端の青い線に注目してほしい。

このグラフは、このETFへの1日の資金流入額が史上最大となったことを示しており、これは先週の金曜日に発生している。

さらに、投機家が株価の下落よりも上昇に賭けていることを示す「ネット・コール(オプション取引)取引量」も、歴史的な高水準にある。

好意的な見方をすれば、今年の大半を通じて、この強気市場に対するベアからの批判の第一は、幅の狭さ(上昇している銘柄数の少なさ)だった。

しかし、過去7週間、ラッセル2000小型株指数は、24%近い上昇率で全ての主要市場指数をリードしているため、この幅の狭さに対する批判は弱まっている。

更に、イコール・ウエイトのS&P500 ETFTicker:RSP)は、テクノロジー株のウエイトが高いS&P500 ETF (Ticker:SPY) をアウトパフォームしている。

それでも、私は、史上最高値を更新したばかりのダウ工業株30種平均(DIA)のようなパラボリックな動きを見て、自問自答している。

このチャートは果たして持続可能なのだろうか?

相対力指数はほぼチャートから外れており、ベンチマークは200日移動平均線を11%以上上回っている。

もしこれが株式なら、私なら、その企業の良し悪しにかかわらず、大きな利益が出た時点で、一旦ポジションを売却しているだろう。

さらに、S&P500構成銘柄のうち50日移動平均線を上回って取引されている銘柄の割合は、現在91%に達している。

過去5年間で、この水準に達したのはわずか4回だけである。

その後、極端な買われ過ぎの状態を解消するために、相場はそれぞれ反落している。

最後に、バンク・オブ・アメリカの最新のグローバル・ファンド・マネージャー調査によると、投資家は20221月以降で最も楽観的である。

FRBが利上げを開始して以来、ファンドマネージャーは株式のウェイトをかつてない水準まで高めている。

また、現金の比率は2年ぶりの低水準まで低下している。

債券に関してはさらに極端で、ファンドマネージャーは15年ぶりの水準までオーバーウェイトしている。

とはいえ、私が強気相場の終焉を主張したり、弱気な投資家の仲間入りをしたと誤解しないでほしい。

私は変わらず株式市場に対して強気である。

しかし、ヒステリーが収まって価格が下落し、この買われ過ぎの状態が解消された場合に備えて、自身の株式市場に対するリスクを事前に減らす方法を探している。

従って、現時点で、チップを1枚か2枚、テーブルから取る(一旦、利食い売りをする)ことは、私にとって賢明な行動のように思える。

なぜなら、今後、株価が調整を迎えた局面で、再度、買いでエントリーできると見ているからである。