9月の米国雇用統計は好調でソフトランディング目前!雇用者数は予想上回る25万4,000人増加、失業率は4.1%に低下!
ローレンス・ フラー- 本稿では、先週金曜日に発表された2024年9月の米国雇用統計の詳細、さらに、小型株を中心に上昇を見せている米国株がソフトランディング目前である理由を詳しく解説していきます。
- 9月の雇用統計では、雇用者数は予想上回る25万4,000人増加し、前の2か月分も7万2,000人上方修正され、失業率は4.1%に低下しています。
- 10月は複数の逆風で始まったが、労働者のストライキ終了や良好な雇用統計の発表により、一部の不安材料が解消されています。
- FRBが重視するインフレ指標が目標の2%に達し、雇用関連データも改善していることから、ソフトランディングが実現に近づいていると考えています。
- さらに、S&P500やラッセル2000指数の長期的な上昇モメンタムが確認され、強気相場が続く可能性が高まっているように見えます。
10月はリスク資産にとって複数の逆風を抱えて始まりましたが、先週そのうち2つは速やかに解消されました。
東海岸の港で働く港湾労働者たちは、3日目に新たな賃金合意を交渉し、ストライキを終えました。
また、金曜日の素晴らしい2024年9月の米国雇用統計の結果が景気拡大の持続性に対する懸念を和らげました。
一方、中東の紛争は原油価格を押し上げていますが、その上昇は緩やかで、仮に紛争が激化してイランからの供給に影響が出たとしても、サウジアラビアが容易に補うことができるでしょう。
そのため、原油価格は80ドル台半ばで落ち着くと考えています。
最後に、大統領選挙の結果の不透明感は選挙が近づくにつれて市場のボラティリティを高めるかもしれませんが、株式市場は通常、選挙後の数週間で上昇し、選挙前に生じた損失を取り戻す傾向があります。
(出所:Edward Jones)
私は2年以上にわたり「ソフトランディング」のシナリオを提唱してきましたが、ようやく実現に近づいてきたようです。
2024年第3四半期には、FRBが重視するインフレ指標が年率換算で目標の2%(1.99%)に達しました。
それと同時に、経済は引き続きトレンドを上回る成長を見せており、9月の雇用者数は予想を上回る25万4,000人増加し、前の2か月分も7万2,000人上方修正されました。
失業率は4.1%に低下し、フルタイムの仕事を希望するパートタイム労働者を含む広義の失業率もほぼ1年ぶりに7.7%に低下しました。
米国の雇用関連指標が全てにおいて予想を上回る着地
9月の雇用者数は過去6か月で最大の増加を記録
(出所:Bloomberg)
良いニュースはこれだけではありません。
平均時給の伸び率が4%に上昇しました。
この結果は、最新のJOLTSレポートで示された求人件数の増加や、歴史的に低水準で安定している週次の失業保険申請件数とも一致しています。
弱気派はこの賃金上昇を理由にインフレ再燃の可能性を主張するでしょうが、それは正当な懸念というよりも、終わった話に再び注目を集めようとする期待に過ぎないと思います。
ほんの数か月前には、同じ弱気派の人たちが夏の軟調な労働市場レポートを根拠に景気後退を警告していたのを思い出して下さい。
(出所:TradingEconomics)
賃金の健全な成長を維持することが重要なのは、実質(インフレ調整後)の賃金成長を続けることで、消費支出の実質的な成長を支え、それがさらなる雇用拡大につながるからです。
夏の間、実質賃金も個人消費も堅調に伸びていたため、労働市場の軟調なデータについては特に心配していませんでした。
今年初め、私は2024年の重要な投資テーマは「高いバリュエーションにあるテクノロジー株、特に『マグニフィセント7』から他のセクターへのローテーション」だと述べました。
これは、ソフトランディングが見え始め、FRBの利下げサイクルが始まることで促進されると考えていたからです。
実際、このローテーションはソフトランディングが順調であることを示す市場のサインでもあります。
そして、第3四半期の市場の動きを見ると、このローテーションがはっきりと見て取れます。
「マグニフィセント7」の寄与はほとんどなく、S&P500の8.37%の上昇は残りの493銘柄が97%以上を占めています。
まさにこれがローテーションです!
マグニフィセント7とそれ以外のS&P500構成銘柄による2024年度下期の指数への寄与状況
(出所:Bespoke)
注目すべきなのは、S&P500内でのローテーションだけではなく、第3四半期に小型株が大きく上昇したことです。
この3か月でS&P500のパフォーマンスを倍以上上回り、横ばいだったハイテク中心のナスダック100を大きく引き離しました。
これはソフトランディングが進行中、もしくはすでに達成されつつあることを示す、さらに強いサインです。
次に何が起こるでしょうか?
少なくとも今後6か月間は、このローテーションと小型株のアウトパフォーマンスが続くと考えています。
(出所:Stockcharts)
主要な市場平均は、選挙までの4週間の間は不安定な動きをするかもしれませんが、私は年末に向けた上昇を狙う好機だと考えています。
先月も述べたように、エネルギーセクターの比重を高めることは、2025年に大きなリターンをもたらすと見ています。
このセクターは今年から来年にかけて、最も大きな利益成長率を達成すると予想されており、バリュエーションも非常に魅力的です。
加えて、FRBの利下げサイクルという追い風に加え、中国からの重要な財政・金融刺激策も期待できます。
さらに、テクニカル的な観点からも、経済と市場に対する私の基本的な見通しと完全に一致しており、つまり、景気拡大と強気相場が2025年まで続くという確信をさらに強めるものとなっています。
これにより、調整局面や押し目は買いの好機と捉え、リスク資産へのエクスポージャーを許容範囲の上限で維持しつつ、資産の積み上げを続けるべきだと私は考えています。
SentimenTraderによると、イコールウェイト型のS&P500指数(RSP)とラッセル2000指数(IWM)の252日間の変化率が、-15%以下から+25%以上に回復しており、これは非常に強気な前例を示しています。
過去に同様の動きがあった際、イコールウェイト型S&P500指数はその後12か月後に必ず上昇しており、ラッセル2000指数も6か月後に90%、12か月後には100%の確率で上昇しているのです。
長期的な価格モメンタム指標の上昇局面
(出所:SentimenTrader)
それだけではありません。
S&P500は2024年に9か月中8か月間で上昇しています。
このようなケースは第二次世界大戦後にわずか8回しかなく、その際には3か月後、6か月後、12か月後のいずれも必ず上昇していました。
そのため、現在の経済拡大の中盤において、非常に強力な強気相場が進行中だと思います。
そして、FRBが短期金利を徐々に引き下げるにつれ、6兆ドルを超えるマネーマーケットファンドが再投資先を求め、リスク資産に大きな追い風となるでしょう。
今後の米国株の展開が楽しみです。
アナリスト紹介:ローレンス・フラー
ローレンス・フラー氏は、1993年にメリルリンチ証券でファイナンシャル・コンサルタントとしてキャリアをスタートしました。その後、ファースト・ユニオン・ブローカレッジ、モルガン・スタンレー証券、INGグループで同職を務め、30年以上にわたり個人投資家顧客の投資ポートフォリオを管理してきました。
その後、2005年には長期的な目標であったFuller Asset Management LLCを設立し、独立を果たしました。さらに、2013年より米国金融ニュースサイトSeeking Alphaにて、米国投資家に対してマクロ経済・投資リサーチの提供を開始しており、現在では14,000人以上のフォロワーを獲得しております。
フラー氏は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校を卒業し、政治学の学士号を取得しております。
また、フラー氏のその他の米国マクロ経済関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、フラー氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
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