ラッセル2000指数の見通しとは?過去13回の米国大統領選挙で続いていた株価アノマリーは今回の選挙では当たらず?
ローレンス・ フラー- 本稿では、過去13回の米国大統領選挙までは続いていたものの、今回の選挙では残念ながら当たらなかった株価アノマリー、並びに、選挙後に6%も急騰した米国小型株で構成されるラッセル2000指数の今後の見通しに関して詳しく解説していきます。
- 米国大統領選後、S&P 500やラッセル2000指数が歴史的な高パフォーマンスを見せ、特に金融や産業セクターが市場を牽引しましたが、金利上昇により公益事業や不動産は下落しました。
- 選挙後の市場上昇は、選挙プロセスが円滑に進み、新政権の成長促進政策への期待が高まったことが要因であると見ており、今後は移民や関税政策、FRBの金利動向が注目されるでしょう。
- 小型株の上昇が加速し、ラッセル2000指数がナスダック100を上回る成績を記録しており、経済の力強さを背景に、今後も米国株式市場の上昇が続くと見ています。
米国大統領選挙後にラッセル2000指数は上昇
米国大統領選挙前日が強気派にとって好調な日だと感じていた方も多いでしょうが、選挙の翌日はそれを上回る記録的な日となりました。
実際、S&P 500(SPY)は選挙後で過去最高のパフォーマンスを見せ、国内経済に焦点を当てたラッセル2000指数(IWM)は約6%急騰し、3年ぶりに史上最高値を更新しました。
これは現在の経済がいかに力強いかを象徴しています。
市場全体を牽引したのは金融と産業セクターで、一方で金利に敏感な公益事業と不動産セクターは、長期金利が4.4%を超えて上昇したことで下落しました。
(出所:Finviz)
今回の市場の動きの一因として、今回の選挙プロセスがスムーズに進み、翌日には明確な勝者が発表されたことへの安堵感も挙げられます。
不確実性が解消されたことで市場は安定しました。
さらに、新政権が掲げる減税と規制緩和などの成長促進政策に対する期待が高まり、銀行株が二桁の上昇を記録しました。
2025年を見据え、投資家は移民や関税に関する政策も経済成長を支えるかどうか注目する必要があります。
この点では債券市場が重要な指標となるでしょう。
新政策によってインフレや経済成長への影響が見込まれるため、FRBの短期金利の見通しにも影響が及ぶ可能性があります。
年末に向けて、株式市場の力強い上昇を楽しみにしています。
歴史に残る選挙後の1日
S&P500が過去最高の選挙後セッションを記録
(出所:Bloomberg)
大統領選挙株価アノマリーは今回の選挙では当たらず?
「次期大統領が強い経済を引き継ぐ」と私が述べた際、読者や同僚から多くの反論を受けましたが、今でもその意見を変えていません。
「経済が好調なら、なぜ現職が選挙に敗れたのか?」という質問をよく受けますが、今回の選挙は経済よりも移民問題など他の争点が大きかったと考えています。
そのため、過去13回の選挙で続いていた、選挙日前の11週間でダウが上昇していれば現職政党が勝利するという傾向が今回崩れました。
実際、ダウはこの11週間で5.1%上昇し、S&P 500も今年20%の上昇を記録しています。
経済が低迷していたならば、このような上昇はあり得なかったでしょう。
(出所:Barron's)
また、「経済が好調なのは赤字支出によるもの」という批判もあります。
確かに連邦政府が経済成長を支えるために借金を重ねてきたのは事実ですが、赤字は長年にわたるものであり、特に新しいものではありません。
さらに、2.5%以上のGDP成長が6四半期連続で続いている事実を無視するわけにはいきません。
もし、読者の皆さんが政府の赤字を嫌うのであれば、利回り4%超のマネーマーケットファンドに資金を移し、静観するのも良いでしょう。
ただし、選挙が終わり、債務と赤字の問題はしばらく注目されなくなるかもしれません。
私も連邦債務と赤字について懸念していますが、それが市場や経済の見通しを曇らせることはないでしょう。
(出所:Stockcharts)
そして、小型株が急騰し、私の予測が正しかったことが証明されたように思えます。
9月には「小型株が新高値を迎える」と読者の皆さんにお伝えし、7月には「小型株が急速に追いつきつつある」と述べました。
また、2月には、ラッセル2000指数が年末までにテクノロジー中心のナスダック100を上回ると予測し、経済のソフトランディングが見えてくる中で市場全体の広がり(上昇する銘柄数の増加)が見られると指摘しましたが、その時は笑われた記憶があります。
しかし、昨日の新高値により、ラッセル2000は過去12カ月で39.3%上昇し、ナスダック100(QQQ)の37.8%を上回っています。
このリードは年末にかけてさらに広がり、経済の強さと市場の上昇基調が2025年まで続くと考えています。
また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
私の米国マクロ経済に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。
アナリスト紹介:ローレンス・フラー
📍米国マクロ経済担当
フラー氏のその他の米国マクロ経済関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、フラー氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。