やや強気AT&TAT&T(T)配当利回りは6.6%!注目の米国高配当株の最新決算と配当推移の分析を通じて将来性に迫る!
- 本稿では、注目の米国高配当銘柄であるAT&T(T:予想配当利回り6.6%・1株当たり配当金0.278ドル)の2023年10月19日に発表された最新の2023年第3四半期決算と配当推移を詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- AT&Tは、米国第3位のワイヤレスキャリアであり、収益の約3分の2をワイヤレス事業から得ており、その他には固定回線サービスやメキシコ事業も展開しています。
- 配当利回り6.6%と高水準を維持する一方で、過去5年間の配当成長率がマイナスであり、財務レバレッジの高さが配当の持続性に影響を与える可能性があります。
- 最近の収益成長率は低迷しており、倒産リスクを示すZスコアが低い一方、営業利益率の改善と不正リスクの低さが安心材料となっています。
AT&T(T)の概要
セクター:情報通信サービス
現在の株価:16ドル
時価総額: 1206.2億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値: 15.96ドル
安全マージン: -5.69%
過去5年間の配当成長率: -7.60%
配当落ち日: 2024年1月9日
配当支払い日: 2024年2月1日
予想配当利回り: 6.60%
過去5年間の売上高長率: -9.50%
過去10年間の売上高成長率: -2.80%
ワーナー・メディアの分離独立後、ワイヤレス事業はAT&T(T:予想配当利回り6.6%)の収益の約3分の2に寄与している。
AT&Tは米国第3位のワイヤレス・キャリアで、7000万人のポストペイド(後払い)と1800万人のプリペイドの顧客を持つ。
固定回線企業向けサービスは収益の約18%を占め、インターネットアクセス、プライベートネットワーク、セキュリティ、音声、卸売のネットワーク容量が含まれる。
収入の約11%を占める住宅向け固定回線サービスは、主にブロードバンド・インターネットアクセスサービスである。
AT&Tはメキシコでも2,200万人の顧客にサービスを提供し、大きな存在感を示しているが、この事業は収益の3%を占めるに過ぎない。
AT&Tは現在も衛星テレビ事業者ディレクTVの株式70%を保有しているが、財務諸表上ではこの事業を連結していない。
また、同社は2023年10月19日に2023年第3四半期決算を発表している。
AT&T(T)の収益と成長
前四半期、AT&T(T)は0.64ドルの一株当たり利益(EPS)を報告し、前四半期の0.63ドルをわずかに上回り、業績がプラス傾向にあることを表している。
しかし、前年同期と比較すると、EPSは0.803ドルから0.64ドルに減少している。
一方で、希薄化後EPSも同様の傾向を示し、前四半期の0.61ドルから今四半期は0.64ドルに増加した。
一株当たりの売上高も伸びを示し、前四半期の4.167ドルに対し、当四半期は4.224ドルとなり、同社の売上高増を示している。
長期的な成長を見ると、経常外損益を除くベースでの同社EPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-14.90%、10年間の年平均成長率は0.50%となっており、同社が過去10年間、一貫した成長を維持する上で課題に直面してきたことを示唆している。
尚、業界の成長予測に関しては、外部要因や市場環境を考慮することが重要である。
しかし、電気通信業界は、コネクティビティに対する需要の増加と技術の進歩に牽引され、今後10年間は安定した成長を遂げると予想される。
さらに、同社は歴史的に財務レバレッジが高いことも注目に値する。
これは、同社が事業や投資の資金調達を負債に大きく依存してきたことを意味する。
これは好況時のリターンを増幅する可能性がある一方で、景気後退時のリスクも増大させることからも、持続可能な成長を確保するためには、債務残高を慎重に管理することが重要である。
全体として、同社の前四半期の業績は、利益と収益においてプラスの傾向を示している。
しかし、同社の過去の成長率と財務レバレッジは、将来の成長可能性を評価する際に考慮されるべきであると考える。
AT&T(T)の配当
同社は過去数年間配当成長率がマイナスで、5年間の配当成長率は-7.60%、3年間の配当成長率は-18.50%となっている。
にもかかわらず、同社の配当利回りは6.60%と比較的高い。
直近の四半期では、同社は一株当たり0.2775ドルの配当を発表している。
この配当は、2024年1月10日現在の株主名簿上の株主に対し、2024年2月1日に支払われる予定である。
そして、同社は過去数四半期にわたり、一貫して1株当たり0.2775ドルの四半期配当を支払っている。
一方で、同社の配当実績をセクターと比較する際には、EBITDA有利子負債倍率を考慮することが重要である。
同社のEBITDA有利子負債倍率は8.26倍で、これは同社が収益に比べて比較的高水準の負債を抱えていることを示しており、同社の長期的に配当を維持・成長させる能力に影響を与える可能性がある。
全体として、同社の配当成長は近年マイナスだが、同社は高い配当利回りを提供し続けている。
以上より、投資家は、配当の持続可能性を評価する際、同社の負債水準と安定した収益を生み出す能力を考慮すべきである。
予想配当利回り:6.60%
配当カバレッジ・レシオ: -1.37
5年間の配当成長率: -7.60%
EBITDA有利子負債倍率:8.26
AT&T(T)のバリュエーション
同社の現在の株価は16.87ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値の15.96ドルよりやや高い。
また、実績PERはマイナスで、同社がプラスの利益を生み出していないことを示している。
しかし、株価売上高倍率は1.01であり、株価が売上高に比して妥当な価格で取引されていることを示唆している。
さらに、EV/EBITDAレシオは14.29であり、同社が収益に比べて相対的に高い評価で取引されていることを示唆している。
これらのレシオを5年平均、10年平均と比較すると、同社はここ数年、収益が低下していることに留意する必要がある。
従って、現在のバリュエーション・レシオは同社の過去の業績を正確に反映していない可能性がある。
一方で、業界平均で見ると、同社の株価売上高倍率は業界平均をやや下回っており、同業他社に比べ割安である可能性を示している。
また、EV/EBITDAレシオも業界平均をやや下回っており、同業他社に比べ魅力的なバリュエーションで取引されている可能性を示唆している。
AT&T(T)のリスクとリターン
同社は、入手可能なデータに基づくと、いくつかのリスクに直面しているように見える。
まず、懸念材料のひとつ目は、過去5年間の1株当たり収益の減少である。
この傾向は、同社の収益創出能力が弱まっていることを示唆している。
さらに、もうひとつ憂慮すべき点は、同社がディストレストゾーンにあることを示すAltman Zスコアが0.48であることであり、これは、今後2年以内に同社が倒産の可能性があることを意味する。
その為、投資家は、投資判断を下す前にこの点を注意深く考慮すべきである。
しかし、考慮すべきプラス面もある。
ベニッシュMスコアの-3.01は、基準値の-1.78を下回っており、同社が不正を行う可能性が低いことを示唆している。
これは不正行為のリスクが低いことを示しており、投資家にとっては安心材料となる。
さらに、同社の営業利益率は拡大しており、これは一般的にポジティブな兆候と見なされる。
営業利益率の拡大は、効率性と収益性の向上を示し、一株当たり収益の低下やZスコアの低迷に関連するリスクを軽減することができる。
結論として、同社は、一株当たり収益の減少やディストレストゾーンにあるZスコアなどの一定のリスクに直面しているものの、同社の低いベニッシュMスコアと営業利益率の拡大は、一定の安心感を提供している。
しかし、投資家は投資判断を下す前に、これらのリスクを慎重に検討し、さらなるデューデリジェンスを行うべきである。
AT&T(T)のインサイダー(内部関係者)による売買
インサイダー取引分析によると、同社における最近のインサイダーによる売買はないようである。
このことは、同社の取締役と経営陣が過去12ヶ月間に個人保有株で大きな動きを見せていないことを示唆している。
インサイダー保有に関しては、インサイダー保有は0.15%、機関投資家保有は31.90%となっている。
インサイダー保有比率は、会社の取締役および経営陣が保有する株式の割合を示し、機関投資家保有比率は、機関投資家が保有する株式の割合を示す。
また、トレンド分析を見ると、インサイダーによる株式の売買に目立った動きはないようだ。
しかし、機関投資家の保有比率が相対的に高いことは注目に値し、このことは、機関投資家が同社の業績や将来性により自信を持っていることを示している可能性がある。
AT&T(T)の流動性
同社の直近の1日の売買高は26,389,459株で、投資家にとってまずまずの流動性があることを示唆している。
さらに、過去2ヶ月の1日平均売買高は35,027,429株で、比較的活発な取引が行われていることがわかる。
このレベルの取引は、市場参加者の株式への関心と参加が一貫していることを示唆している。
流動性の面では、同社は市場で強い存在感を示しているようである。
また、同銘柄のダークプール指数(DPI)は39.49%で、取引所外で発生する取引活動が比較的高い水準にあることを示している。
これは、同社の取引量のかなりの部分がダークプールで行われていることを示唆している。
DPI値が高く、1日の取引量が比較的活発なことから、同銘柄が個人投資家、機関投資家双方にとって魅力的であることがわかる。
このことは、株式の流動性が健全な水準にあり、取引が円滑に行われ、価格変動が最小限に抑えられていることを示唆している。
以上より、全体として、同社は良好な流動性を保持しているように見える。
その他のAT&T(T)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、AT&Tのページにてご覧いただければと思います。
加えて、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
私のバリュー株や配当株に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。
弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら