05/12/2024

TSMC(TSM)2024年4月月次売上高は前年同月比60%増!

high rise building during sunsetウィリアム・ キーティングウィリアム・ キーティング
  • 本稿では、注目の台湾半導体銘柄であるTSMC(TSM)の最新の2024年4月月次売上高分析を通じて、同社の今後の見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • TSMCの2024年4月の売上高は前年同月比で59.6%増、前月比で20.9%増となり、月次としては過去2番目に高い水準で、年初来の累計でも前年同期比26.2%増と好調です。
  • ただし、前年の4月は業績が低迷していたため比較しやすい環境であり、前月比の伸びの方がより適切な評価材料とされますが、それでも十分に高い成長率を示しています。
  • PCやスマートフォン市場は前年同月比で堅調に推移しており、TSMC以外でもAspeedやMediaTekなどが好調である一方、GlobalWafersなど一部企業では業績の弱さが見られます。

TSMC(TSM)の2024年4月の売上高

TSMC(TSM)は2024年5月10日、2024年4月期の売上高を発表したが、これは非常に素晴らしい内容であった。

(原文)HSINCHU, Taiwan, R.O.C. – May 10, 2024 - TSMC today announced its net revenue for April 2024: On a consolidated basis, revenue for April 2024 was approximately NT$236.02 billion, an increase of 20.9 percent from March 2024 and an increase of 59.6 percent from April 2023. Revenue for January through April 2024 totaled NT$828.67 billion, an increase of 26.2 percent compared to the same period in 2023.

(日本語訳)2024年5月10日:TSMCは本日、2024年4月の純売上高を発表しました。連結ベースの2024年4月の売上高は約2,360億2,000万台湾ドルで、2024年3月から20.9%増加し、2023年4月から59.6%増加しました。2024年1月から4月までの売上高は8,286億7,000万台湾ドルで、2023年同期比26.2%増となった。

この4月の売上高は、4月の売上高としては過去最高であり、2023年10月の2,432億台湾ドルが最高であったため、月次売上高としては過去2番目の高さであった。

ただし、前年同月比60%増という伸びは印象的だが、比較しやすい状況であったという文脈を考慮する必要がある。

4月(および3月)は、2023年のTSMCの低迷の谷であった。

そのため、これらの事実を考慮すると、前月比20.9%増がより適切な比較対象となるが、これもそれなりに印象的な水準であると言える。

同社の年初来売上高が既に前年同期比26.2%増であることは、同社が下記の2024年通年の予測を上回る可能性が高いことを示唆しているのかもしれない。

(原文)Supported by our technology leadership and broad customer base, we expect that our business to grow quarter-over-quarter throughout 2024 and reaffirm our full year revenue to increase by low to mid-20% in U.S. dollar terms.

(日本語訳)当社のテクノロジー・リーダーシップと広範な顧客基盤に支えられ、2024年を通じて当社の事業は前四半期比で成長すると予想し、通年の売上高は米ドルベースで20%台前半から半ばまで増加することを再確認します。

結論を急ぐ前に、TSMCが2023年を好調に終え、特に第4四半期が好調であったことを思い出していただきたい。

従って、年が進むにつれて前年比との比較はますます厳しくなるだろう。

推測するに、TSMCは今年、前年比20%台半ばから後半の成長率になるだろうと見ている。

市場は同社の4月の売上高を明らかに喜び、同社の株価は米国市場の夜間取引で4.5%上昇した。

実際、2023年10月にはTSMCの株式を85ドルで買うことができたが、現在の同社の株価は149ドルで、75%も高い水準となっている。

今期好調なスタートを切ったのはTSMCだけではない。

当社のリアルタイム指標ダッシュボードでは、1つの例外を除いて、全面的に緑色のシグナルが出ている。

台湾企業の4月最新売上高を紹介し、注目のAI PCの見通しに関する重要な注意点を紹介したい。

前月比から始めると、同社のリアルタイム指標ダッシュボードは下記のようになっている。

いつものように、AcerとAsusは各四半期の最初の月が常に前月比で大きく落ち込んでいるため、赤信号は無視できる。

ELAN Microelectronics Corp.は予想より弱かったので、プレスリリースを調べてみたところ、興味深いコメントを見つけた。

(原文)ELAN Microelectronics Corp. (the Company), a leading touch controller solution provider in global NB market, announced its consolidated net sales of NT$ 1,059 million for April 2024, up 0.23% YoY & down 5.23% MoM. The impact of near-term macroeconomic fluctuation in April led to revenue MoM decrease. However, 2Q24 is expected to gradually enter traditional hot season.

(日本語訳)世界のノートPC市場でタッチコントローラー・ソリューションのリーディング・プロバイダーであるELAN Microelectronics Corp.は、2024年4月期の連結売上高が10.59億台湾ドル(前年同期比0.23%増、前月比5.23%減)となったと発表しました。4月の目先のマクロ経済変動の影響で前月比減収となりました。しかし、2024年第2四半期は徐々に忙しい季節に入ると予想さしています。

したがって、4月が基本的に前年同月比横ばいであることを考えれば、大きな懸念材料はない。

続いて、同社はいわゆる「AI PC」現象について下記の通りコメントしている。

(原文)In the NB market in 2024, general market research institutions view the market positively as a growth trend. We analyze the information from supply chain, AI PC is expected to come in 4Q24 or 1H25 at the earliest and contribute a significant growth.

(日本語訳)2024年のノートPC市場について、一般的な市場調査機関は成長トレンドとしてポジティブに捉えている。サプライチェーンからの情報を分析すると、AI PCは早ければ2024年度第4四半期か、2025年度第1四半期に登場し、大きな成長に寄与すると予想されます。

ノートPC市場の動向を把握している企業があるとすれば、それはELAN Microelectronics Corp.である。

従って、AI PCがモノになるのは2024年度第4四半期か、2025年度第1四半期であるという彼らの見解は重要であり、特にインテル(INTC)やAMD(AMD)から聞こえてくる誇大広告に対するカウンターバランスとして機能すると考えている。

Aspeed Technology Inc.(5274.TW)は前月比15.8%増と際立っている。

これは、の前月比成長率がわずか1%であった2023年4月と比較しているためである。

同社は2024年、素晴らしいスタートを切っている。

Aspeed Technology Inc.の年初来のパフォーマンスは、前年同期比59.3%増となっている。

これはもちろん、サーバー事業が昨年と比較して大きく増加する軌道にあることを意味している。

サーバーの売上高に換算すると、現在のラン・レートが維持されれば、2024年には前年比20%前後の成長が見込まれる。

Quanta ComputeはAcerやAsusと同様、各四半期の初月は常に落ち込んでおり、WiWynnはまだ4月の数字を発表していない。

TSMCを除き、その他の前月比の比較においては特に目立ったものはないため、以下の表で示すように、前年同月比のレンズを通して見るのが良いだろう。

シリコンウェハー部門を代表する GlobalWafers Co. Ltd.(6488.TW)は際立った例外である。

前月比、前年同月比ともにマイナス10%台半ばであり、後者の前年同月比に関しては、過去4ヵ月間この状態が続いている。

これはSiltronicの最近の業績と一致している。

Globalwafersの最近の業績については、来週の別レポートで説明するが、今年のシリコンウェハーの状況が思わしくないことは、ほとんど驚くことではないだろう。

1-3月期の売上高を見ると、PCのOEM事業は前年同期比約10%増で推移しているようだである。

2024年度第1四半期決算を発表しているのはAcerだけで、前年同期比12%増となっている。

これは好調な業績ではあるが、前年同期のPC市場の状況がいかに悪かったかという背景を考慮する必要がある。

AsusとAcerの4月の前年同月比は特に好調に見えるが、これも2023年度第2四半期のベースがかなり低かったためである。

とはいえ、PC事業は今年は堅調な成長を遂げそうである。

前年同期比5%成長という我々の予想は低すぎると思い始めているが、今四半期の結果を見守りたいと思う。

その他の注目点としては、Nanya Technology2408.TW)とCompeq Manufacturing Co. Ltd.の前年同月比での4月の強い数字肉あえて、MediaTekの48%とFoxconnの19%という数字も目を引く。

MediaTekの場合、今年の進捗状況について明るい評価を示し、2024年には10%台半ばの売上成長を見込んでいる。

(原文)In the last earnings call, we estimated overall consumer demand to improve moderately in 2024. Our view remains unchanged today. Given better visibility than in the last quarter, we now target our fullyear revenue in U.S. dollar terms to grow by mid-teens % in 2024. As for full-year gross margin, excluding the first quarter one-time item, our target remains to be 47% plus or minus 1 percentage points. While all revenue groups are expected to grow year-over-year, smartphone growth is expected to be stronger compared to other revenue groups.

(日本語訳)前回の決算説明会では、2024年には消費者全体の需要が緩やかに改善すると予想しました。当社の見解は今日も変わっていません。前四半期よりも見通しが良くなっていることから、2024年の通期売上高(米ドルベース)は10%台半ばの成長を目標としています。通期の売上総利益率については、第1四半期の一時的な項目を除けば、引き続き47%プラスマイナス1%を目標としています。すべての売上高グループが前年比で成長すると予想されるが、スマートフォンの成長は他の収益グループに比べて強いと予想されます。

また、特にアップル(AAPL)のiPhone販売を取り巻く一般的に弱気な見通しを考慮すると、Foxconnはアップサイドへのサプライズを続けている。

同社は、4月の売上高の数字に付随して、前四半期比と前年同期比の両方で今四半期の成長を示唆している。

(日本語訳)第2四半期は依然として伝統的な閑散期であり、主要製品は新旧製品の過渡期を迎えている。第2四半期の見通しは、ほぼ現在の市場予想通りである。第2四半期の業績見通しは、前四半期比、前年同期比ともに成長する見込みである。

最後に

Globalwafersを除き、2024年4月の前年同月比の数字は軒並み好調である。

ほとんどの場合、これは2023年との比較のためのベースが弱かったことによるところが大きい。

とはいえ、半導体市場の2大ドライバー、すなわちPCおよびスマートフォンが、前年同月比1桁台半ばの堅調な伸びを示していることは明らかである。

実際には、PCの成長はもう少し伸びるかもしれず、スマートフォンの成長はもう少し下がるかもしれないが、それを判断するのは時期尚早であろう。

また、サーバー事業は予想以上に好調に推移している。

メモリは大規模な軌道修正の初期段階にあり、主要プレーヤーはすべて黒字に転換し、今年いっぱいは黒字を維持すると予想される。

メモリについては、来週初めの記事で詳しくお伝えする予定である。