中立タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリングすべて表示TSMC:2024年2Q決算は好調!最新の株価分析と今後の株価見通し・将来性に迫る!(TSM:予想配当利回り1.49%・配当性向36%)
イアニス・ ゾルンパノス- TSMC(TSM)は2024年度第2四半期決算において、EPSは1.479ドル、売上高は4.017ドルと前四半期比で上昇し、好調な業績を示しました。また、同社の株価は165ドル、時価総額は8,597億ドルで取引されています。
- TSMCは過去5年間で売上高成長率19.1%、配当成長率4.3%を達成し、競争の激しいファウンドリー事業で堅実な営業利益率を実現しています。
- 同社の高い財務パフォーマンスを示す指標として、ROICは28.56%、ROEは29.62%といずれも高水準で、今後も半導体業界の成長予測により、同社が業界の成長機会を活用する能力があることが示されています。
TSMC(TSM)の概要
セクター:半導体
現在の株価:165ドル
時価総額:8,597億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:121.24ドル
安全マージン:-36.72%
過去5年間の配当成長率:4.30%
次回配当落ち日:2024年9月12日
次回配当支払い日:2024年10月9日
予想配当利回り:1.49%
過去5年間の売上高成長率:19.10%
過去10年間の売上高成長率:13.00%
TSMC / 台湾積体電路製造股份有限公司(TSM:予想配当利回り1.49% / 配当性向36%)は、世界最大のチップ専業ファウンドリで、市場シェアは60%を超えています。
同社は1987年、フィリップス、台湾政府、個人投資家のジョイントベンチャーとして設立され、1997年に米国でADRとして上場しました。
同社はその規模と高品質なテクノロジーにより、競争の激しいファウンドリー事業においても堅実な営業利益率を実現しています。
また、ファブレス・ビジネス・モデルへの移行は同社に追い風となっており、さらに、現在のTSMCの従業員数は7万3,000人を超えています。
加えて、ファウンドリーリーダーである同社は、アップル(AAPL)、AMD(AMD)、エヌビディア(NVDA)など、最先端のプロセス技術を半導体設計に応用しようとする輝かしい顧客基盤を有しています。
そして、同社は2024年7月18日に2024年度第2四半期決算を発表しています。
TSMC(TSM)の収益と成長に関して
TSMC(TSM)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は1.479ドル(前四半期:1.374ドル)、希薄化後のEPSは1.48ドル(前四半期:1.37ドル)、また、1株当たり売上高も4.017ドル(前四半期:3.606ドル)といずれも前四半期比で上昇しました。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は23.80%で、1株当たり売上高の過去5年間の年平均成長率は15.90%となっており、中長期的な観点から継続して成長していることが分かります。
さらに、今後10年間半導体の業界の成長予測はプラスであり、業界の年平均成長率は7~8%程度と予測されていることからも、同社が業界の成長トレンドを利用する潜在的な機会があることを示しています。
以上より、TSMCの好調な2024年度第2四半期決算における業績は、市場の課題を克服し、半導体業界の成長機会を活用する同社の能力を反映していると言えます。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
TSMC(TSM)の財務パフォーマンスに関して
TSMC(TSM)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社の過去5年間のROICの中央値は28.56%で、5年間のWACCの中央値である10.76%を大きく上回っています。
これは、ROICが資本コストを上回っていることから、同社が継続して経済的価値を創出できていることを示しています。
また、同社のROEに関しても、5年間の中央値は29.62%と目覚ましい水準となっております。
より長期的なパフォーマンスを見ると、同社のROICは一貫して高く、10年間の中央値は27.80%で、WACCの10年間の中央値である8.93%を上回っていおり、このことは、同社の株主価値を創造する能力をさらに裏付けていると言えます。
以上より、TSMCの資本配分戦略は、一貫して資本コストを上回るリターンを生み出すことができており、効果的であるように見えます。
そして、上述の同社の財務パフォーマンスに関する指標は、同社が長年にわたり株主のために経済的価値を創造することに成功してきたことを示していると言えます。
TSMC(TSM)の配当に関して
TSMC(TSM)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は4.30%で、過去3年間の配当成長率は4.80%となっております。
直近四半期の1株当たり配当金は0.615839ドルで、予想配当利回りは1.49%となっております。
また、同社の配当性向は36.0%と比較的低く、将来の増配や事業への再投資の余地があることを示していると言えます。
有利子負債に関しては、同社のEBITDA純有利子負債倍率は0.65倍で、基準値の2.0倍を大きく下回っており、財務リスクの低さと債務返済能力の高さを示しています。
この低い倍率は、同社が健全なバランスシートを有し、負債による過度の負担がないことを示しています。
全体として、TSMCの配当成長実績は堅実であり、低いEBITDA純有利子負債倍率は同社の健全な財務状況を反映していると言えます。
予想配当利回り:1.49%
配当性向:36%
配当カバレッジ・レシオ:2.75
過去5年間の配当成長率:4.30%
EBITDA純有利子負債倍率:0.65倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
TSMC(TSM)のバリュエーションに関して
TSMC(TSM)の現在の株価は165.77ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である121.24ドルに比べて割高で取引されています。
また、株価売上高倍率は10.31倍、EV/EBITDA倍率は15.73倍となっており、これらの指標からも同社の株価は相対的に割高であることが分かります。
しかし、実績PERは27.24倍で、予想PERは20.96倍となっており、収益の観点からはより妥当なバリュエーションであることを示唆しています。
さらに、PEGレシオは1.3倍となっており、成長見通しの点から公正なバリュエーションであることを示しています。
一方で、5年平均、10年平均と比較すると、同社は現在高いバリュエーションで取引されているように見えます。
株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率の平均は業界毎に異なりますが、同社のそれらの指標は半導体業界の中でも比較的に高い側にあると言えます。
全体として、TSMCは株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率に基づくと、過去の平均値や同業他社と比べて割高で取引されているように見えますが、実績PERと予想PERでは、収益面でよりバランスの取れたバリュエーションを示唆しているように見えます。
TSMC(TSM)のリスクとリターンに関して
TSMC(TSM)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、同社は過去3年間、総額3,629億台湾ドルという多額の長期債務を発行してきました。
全体的な負債水準は許容範囲ではありますが、新規の負債を継続的に発行することは将来的にリスクをもたらす可能性があります。
さらに、同社の総資産は過去5年間、売上高成長率(19.1%)よりも高い成長率(23.8%)で成長しており、資産活用の非効率性を示しています。
また、同社の売上高成長率も過去1年で鈍化しており、加えて、株価は市場最高値圏にあることからも、潜在的な割高感があります。
さらに、同社の株価売上高倍率は3年ぶりの高水準に近く、予想配当利回りは10年ぶりの低水準に近い水準となっています。
一方でプラス面では、同社のベニッシュのMスコアは-2.14と高く、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示しています。
また、同社の営業利益率は拡大しており、さらに、アルトマンのZスコアが9.25であることに示されているように、同社の堅調な財務力を表しています。
全体として、TSMCに関しては、考慮すべきマイナスの兆候がいくつかある一方で、考慮すべきポジティブな指標も多く存在すると言えます。
TSMC(TSM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
TSMC(TSM)のインサイダー取引分析によると、過去12ヶ月間にインサイダーによる売買は確認されていないことから、同社の取締役や経営陣による同社株式の売買活動がないことが分かります。
一方、機関投資家の保有比率は9.05%で、機関投資家の保有比率が比較的低いことを示しています。
TSMC(TSM)の流動性に関して
TSMC(TSM)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は21,347,302株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は17,171,582株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は37.79%となっており、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、TSMCは魅力的な流動性と取引活動を示しており、加えて、ダークプール取引においても顕著な存在感を示していることが分かります。
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