08/09/2024

TSMC(TSM)2024年7月売上高は過去最高を記録!月次売上高推移の分析と売上予測を通じて、今後の株価見通しに迫る!

city skyline under blue sky and white clouds during daytimeウィリアム・ キーティングウィリアム・ キーティング
  • 本稿では、TSMC(TSM:台湾積体電路製造):2024年7月の売上高と2024年度第2四半期の世界半導体売上高に関する分析を解説していきます。
  • TSMCは、2024年7月に2,569億5,000万台湾ドルの売上を達成し、前年同月比44.7%の増加となり、過去最高の売上を記録しました。
  • 2024年6月の世界半導体売上高は500億ドルで、前年同月比18.5%増加し、アメリカ市場が成長を牽引しており、16%の年間成長率が見込まれています。
  • 足元、TSMCの株価が調整していることからも、押し目買いの機会が近づいているようにも見えます。

TSMC(TSM:台湾積体電路製造):2024年7月の売上高に関して

TSMC(TSM:台湾積体電路製造)は昨日、2024年7月の売上高が2,569億5,000万台湾ドルに達したと発表しました。

これは前月比(下記グラフ:M-o-M)で23.6%増加し、前年比でも驚異的な44.7%の増加となっています。

TSMCの7月の売上高は、同社として過去最高を記録しました。

この記録は、先月の四半期売上高で新たな記録を達成したばかりのタイミングで達成され、その詳細については最近の私のレポートにおいて紹介しています

(原文)TSMC’s revenue for the second quarter was NT$673,690 million. At the exchange rate forecasted by TSMC, this amounts to US$20,857 billion, some $457 million above the high end of the guided range, up 10.5% QoQ and up 33.7% YoY. One other notable point about the Q224 revenue number, it is the company’s highest ever quarterly revenue.

(日本語訳)TSMCの第2四半期の売上高は6,736億9,000万台湾ドルで、これはTSMCが予測した為替レートで換算すると、208億5,700万米ドルに相当します。この数字はガイダンスの上限を4億5,700万米ドル上回り、前期比で10.5%、前年比で33.7%の増加を示しています。この第2四半期の売上高も同社として過去最高の四半期売上です。

TSMCの年初来の売上高は現在1兆5,231億1,000万台湾ドルに達しており、前年比(下記グラフ:Y-o-Y)で30.5%増加しています。

これは6月時点の年初来売上高の前年比成長率を2.5ポイント上回る数字です。

TSMC 7月の売上報告(連結ベース)

※Net Revenue:純売上高

※M-o-M Increase (Decrease) %:前月比

※Y-o-Y Increase (Decrease) %:前年比

次に、2024年度第2四半期のシリコンウェハー面積出荷量と世界半導体売上高の最新情報をお届けします。それでは詳しく見ていきましょう。

2024年度第2四半期のシリコンウェハー面積出荷量

8月1日にSEMIは、2024年度第2四半期のシリコンウェハー面積出荷量が3,035 MSIに達したと発表しました。これは前期比で7.1%増加していますが、前年比では8.9%減少しています

SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International):半導体製造装置と材料の業界団体。SEMIは、半導体産業の技術革新や発展を促進するために設立され、業界の標準化、技術開発の推進、業界情報の提供などを行っている。SEMIは、世界中の企業や研究機関と協力し、業界の発展に貢献している。

MSI(Million Square Inches):シリコンウェハーの出荷面積を測る単位で、「百万平方インチ」を意味する。シリコンウェハーの面積を測定する際に使用され、半導体製造における生産量や需要を示す指標として用いられている。シリコンウェハーは半導体デバイスを製造するための基板として使用されており、その出荷面積の増減は半導体産業の動向を示す重要な指標。

四半期別シリコンウェハー面積出荷量(MSI)

これは、1年前の2023年度第2四半期に2%の増加を記録して以来、最大の四半期比増加となりました。2024年度第2四半期の業績について、SEMI SMG会長のリー・チュンウェイ氏は次のように述べています。

SEMI SMG :SEMIの下にあるSilicon Manufacturers Groupの略称。これは、シリコンウェハーの製造に関わる企業が集まったグループで、半導体業界におけるシリコンウェハーの需要と供給に関する情報提供や、技術革新の推進を目的としている。SMGは、市場動向の分析や業界の課題に対する提言を行うことで、シリコンウェハー市場の健全な成長を支援している。

(原文)The silicon wafer market is recovering driven by strong demand related to products for data centers and generative AI. While the recovery is uneven across different applications, 300mm wafer Q2 shipments indicated 8% quarter-over-quarter growth for the best performance among all wafer sizes.

(日本語訳)シリコンウェハー市場は、データセンターや生成AI関連製品の強い需要によって回復しています。この回復は用途によってばらつきがあるものの、300mmウェハーの第2四半期出荷量は四半期比で8%の成長を示し、すべてのウェハーサイズの中で最も良い成績を収めました。

これは、より広範な半導体産業全体で回復が続いていることを示す好ましい兆候であり、主要企業が最新の業績を発表した後、私達はシリコンウェハーセグメントの通常の四半期総括をリリースする予定です。

※前回の2024年第1四半期の世界のシリコンウェハー市場の四半期総括に関するレポートはこちら

2024年度第2四半期の世界半導体売上高

8月5日にSIA(米国半導体産業協会)は、2024年6月の世界半導体売上高が500億ドルに達したと発表しました。

これは前月比で1.7%、前年比で18.5%の増加を示しています。

この6月のデータは、2024年3月の売上が459億ドルだったことからの回復を示し、3か月連続で前月比増加を記録しています。

月次ベースの世界半導体売上高(10億ドル単位)

四半期ベースで見ると、2024年第2四半期の売上高は1,499億ドルとなり、前期比で6.5%、前年比で18.3%の増加を記録しています。

四半期ベースの世界半導体売上高(10億ドル単位)

この最新の結果により、四半期ごとの半導体売上高は、2022年の第1四半期と第2四半期に記録された過去最高の売上高にほぼ迫っています。

SIAの会長兼CEOであるジョン・ノイファー氏は次のように述べています。

(原文)The global semiconductor market remained strong during the second quarter of 2024, with quarter-to-quarter sales increasing for the first time since the fourth quarter of 2023. Sales in the month of June were up both month-to-month and year-to-year, with the Americas market leading the way with growth of 42.8% compared to June 2023.

(日本語訳)2024年第2四半期において、世界の半導体市場は力強さを維持し、2023年の第4四半期以来、初めて四半期ベースで売上が増加しました。6月の売上は、月次でも前年比でも増加しており、アメリカ市場が前年比42.8%の成長を遂げ、牽引しました。

2024年第3四半期および第4四半期で半導体売上高が前期比で横ばいであっても、2024年の前年比成長率は12%に達する見込みです。

しかし、2024年下半期にはさらなる成長が期待されており、前年比成長率が16%になる可能性が高まっています。

まとめ

インテルが直面している数々の課題とは対照的に、あるいはそれが間接的に作用しているのか、TSMC(TSM:台湾積体電路製造)は依然として力強い成長を続け、月次および四半期の売上で新記録を打ち立てています。

このため、2024年の年間成長率での既に上方修正された期待を超える可能性がますます高まっているように見えます。

そのため、TSMCの株価が最近約25%下落したことは、投資家にとって押し目買いの良い機会となりつつあるようにも見えます。

継続する世界的なマクロ経済の不確実性を考えると、TSMCが今後数カ月で再び150ドルの水準をテストする可能性もあります。

私たちは、この150ドルの水準が、再エントリープライスとして依然として適切であると見ています。

四半期ごとの世界半導体売上高は、前期比でも前年比でも引き続き増加しており、2024年の年間成長率が16%に達する可能性がますます高まっています。

シリコンウェハーの四半期出荷量は前期比では大幅に増加していますが、前年比ではまだマイナスの状態です。

このため、シリコンウェハーセグメントの完全な回復には至っていませんが、2024年第3四半期には前年比での成長に戻ることが期待されています。

では、今後の動向を見守りたいと思います。

その他の半導体・テクノロジー銘柄関連レポート

1. エヌビディア(NVDA)株価急騰で時価総額3兆ドル突破:AIデータセンター市場での優位性とインテルから学ぶ今後の成長戦略

2. アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)最新の2024年2Q決算は好調で時間外で株価急騰!今後の株価見通しに迫る!

3. クアルコム(QCOM)がインテルとAMDを抜き、40TOPS以上のNPU搭載のマイクロソフトCoPilot+ PCを開発

また、私のその他の半導体関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

さらに、その他のTSMC(TSM:台湾積体電路製造)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、TSMCのページにアクセスしていただければと思います。

インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は200銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら

※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください。