中立ベライゾン・コミュニケーションズすべて表示ベライゾン(VZ)今後の株価見通し:最新の2024年2Q決算は軟調も、株価は割安で6.76%の予想配当利回りが魅力的?
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ:予想配当利回り6.76%・配当性向58%・1株当たり配当金0.665)の2024年7月22日に発表された最新の2024年度第2四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- ベライゾン・コミュニケーションズは、米国最大のワイヤレス・キャリアであり、5G技術の導入やネットワークインフラの強化に注力しています。
- 最新の2024年度第2四半期決算では、非経常損益項目を除くEPSが1.15ドルとなり、前四半期と同水準であった一方で、希薄化後のEPSや1株当たり売上高は小幅に減少する着地となっています。
- 同社の予想配当利回りは6.76%で、配当性向は58%となっており、インカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の概要
セクター:情報通信
現在の株価:39ドル
時価総額:1670.1億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:39.9ドル
安全マージン:0.58%
過去5年間の配当成長率:2.00%
直近配当落ち日:2024年7月10日
直近配当支払い日:2024年8月1日
予想配当利回り:6.76%
過去5年間の売上高成長率:0.40%
過去10年間の売上高成長率:-1.10%
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ:予想配当利回り6.76%・配当性向58%・1株当たり配当金0.665)は、米国を拠点とする大手通信会社で、固定電話、モバイル通信、インターネット接続、デジタルテレビサービスなど多岐にわたる通信サービスを提供しています。1983年に設立され、現在は米国および国際的に事業を展開しています。
同社は、全米ネットワークを通じて約9,300万人の後払い顧客と2,100万人のプリペイド顧客(Tracfone買収後)にサービスを提供しており、米国最大のワイヤレス・キャリアとなっています。
また、同社は、5G技術の導入やネットワークインフラの強化に注力し、通信分野での革新と競争力を維持しています。特に、次世代の高速通信技術である5Gの展開をリードし、スマートシティや自動運転車、IoT(モノのインターネット)などの新興技術の基盤を築いています。
また、企業向けの通信ソリューションも提供しており、金融、医療、製造業など多岐にわたる業界において、通信インフラの最適化をサポートしています。ベライゾンのユニークなポイントとして、2015年にAOLを、2017年にYahooを買収し、Verizon Mediaを設立したことが挙げられます。これにより、デジタル広告やコンテンツ配信の分野にも進出し、通信事業だけでなく、メディア分野でも競争力を強化しています。
さらに、ベライゾンは社会貢献活動にも積極的で、環境保護やデジタルインクルージョンの促進など、多岐にわたる取り組みを行っています。特に、持続可能なエネルギーの利用拡大や、デジタルデバイドの解消に向けたプログラムを推進し、コミュニティの発展にも寄与しています。
そして、同社は2024年7月22日に2024年第2四半期決算を発表しています。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の収益と成長に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は1.15ドル(前四半期:1.15ドル)、希薄化後のEPSは1.09ドル(前四半期:1.10ドル)、また、1株当たり売上高も7.77ドル(前四半期:7.817ドル)と、全体的に前四半期比で小幅に減少する着地となっています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は0.30%で、過去10年間の年平均成長率は6.30%となっており、過去10年間ベースではプラスの成長となっていますが、足元では成長がやや減速していることが分かります。
ただし、今後10年間の同社業界の成長予測は引き続きプラスであることからも、情報通信セクターに位置する同社は着実な成長が期待されているようにも見えます。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の財務パフォーマンスに関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、同社の過去5年間のROAの中央値は5.85%と一貫したパフォーマンスを示しており、これは同社が利益を生み出すために資産を効果的に活用していることを示しています。
また、過去5年間のROEの中央値は27.55%で、非常に魅力的な水準であり、同社が効率的に株主資本を活用して利益成長を促進していることを示しています。
さらに、過去5年間のROICの中央値は7.95%で、過去5年間のWACCの中央値である3.73%を上回っており、同社がプラスの経済価値を生み出していることを示しています。
一方で、同社のROEは過去10年間で変動しており、最高水準は124.48%、最低水準は11.82%に達しており、この変動は、市場環境の変化や戦略的決定によるものと考えられます。
加えて、WACCも同期間で変動しており、最高水準は5.73%、最低水準は3.04%となっています。
そして、現在のROICは5.54%となっており、過去10年間の最高水準である18.72%を下回っており、資本配分の効率性において改善の余地があることを示唆しています。
リターンを高めるために資本配分の最適化の余地はあるものの、全体としてベライゾン・コミュニケーションズの財務パフォーマンスは堅調であり、プラスの経済価値を創出していると言えます。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の配当に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、過去5年間と過去3年間の配当成長率がいずれも2.00%となっており、緩やかな配当の成長率を示しています。
また、同社の現在のEBITDA純有利子負債倍率は4.25倍となっており、この倍率は理想的な水準である2倍よりも高い水準にあるが、同社が情報通信セクターに属することを踏まえると許容範囲内であるように見えます。
加えて、予想配当利回りは6.76%となっていることからも、同社は配当収入を求めるインカム投資家にとって競争力のあるリターンを提供していると言えます。
さらに、配当性向は58.0%となっており、同社が利益の妥当な部分を配当支払いに充てていることを示し、将来の潜在的な配当の成長余地を残しているように見えます。
そして、下記のチャートからも分かる通り、過去10年間の同社の予想配当利回りの水準を比較すると、現在の水準は妥当な範囲内にあり、やや最高水準に近い水準となっております。
また、この安定性は、長年にわたる同社の安定した配当支払い能力を示唆しています。
全体として、ベライゾン・コミュニケーションズは、安定した配当成長のトレンド、適度なEBITDA純有利子負債倍率、妥当な配当性向の水準を示しており、財務の安定性を維持しながら配当の成長を維持していることからも、配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
予想配当利回り:6.76%
配当性向:58%
配当カバレッジ・レシオ:1
過去5年間の配当成長率:2.00%
EBITDA純有利子負債倍率:4.25倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のバリュエーションに関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の現在株価は39ドルと、弊社算出の一株当たり本質的価値である39.9ドルに近い水準となっています。
一方で、株価売上高倍率は1.22倍と業界平均より低く、潜在的な割安感を示しています。
また、EV/EBITDA倍率は8.21倍とこちらも業界平均より低く、この指標においても潜在的な割安感を示しています。
加えて、実績PERは14.86倍、予想PERは8.6倍と、これらの過去、および、将来の利益を基準としたベースでも、過去の平均と比べて割安なバリュエーションを示しています。
以上より、ベライゾン・コミュニケーションズの足元のバリュエーション指標は、過去の平均や業界の平均と比較して魅力的な水準となっていることからも、現在の株価水準は魅力的な水準である可能性を示しています。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のリスクとリターンに関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、同社は過去3年間で総額9億7900万ドルの新規債務を継続的に発行しており、財務レバレッジと支払利息が増加する可能性がある。
加えて、売上高の伸びは鈍化しており、また、足元の株価は1年ぶりの高値水準に近いことから、潜在的な割高感があるとも言えます。
さらに、株価売上高倍率も1.22倍と1年ぶりの高水準に近く、株価が売上高に比べて割高である可能性を示しています。
一方でプラス面では、ベニッシュのMスコアが-2.63であることから、同社が利益操作を行っている可能性は低いことが分かります。
また、営業利益率は拡大しており、収益性の観点からポジティブなトレンドであると言えます。
全体として、投資家はベライゾン・コミュニケーションズへの投資を検討する際には、高水準の負債、売上高成長の鈍化等のリスク要因も考慮する必要があると言えます。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のインサイダー取引分析では、過去12ヶ月間に目立ったインサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない一方で、同期間中に5件のインサイダーによる同社株式の売却があり、インサイダーによる利益確定が行われていることを示しています。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.06%である点にはご留意ください。
対照的に、機関投資家の同社株式の保有比率は37.97%と比較的高く、機関投資家による同社への関心が高いことを示しています。
全体として、ベライゾン・コミュニケーションズのインサイダー取引データに基づくトレンド分析では、インサイダーによる慎重なアプローチが示唆された一方で、機関投資家が同社のかなりの株式を保有していることは、市場の投資家に安心感を与える内容であると言えます。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の流動性に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は22,766,774株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は18,192,225株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は40.87%となっており、取引活動の約半分弱がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、ベライゾン・コミュニケーションズの流動性と取引活動は堅調で、活発に取引される銘柄を求める投資家の間で人気の銘柄となっていることが分かります。
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