中立ベライゾン・コミュニケーションズベライゾン(VZ)の将来性は?ベライゾンの株価下落理由とは?最新の2024年3Q決算分析により、今後の株価見通しに迫る!
- 本稿では、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ:予想配当利回り6.55%・配当性向58%・1株当たり配当金0.6775ドル)の2024年10月22日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- 同社は、アメリカ最大の無線通信キャリアであり、無線サービスが収益の約70%を占め、固定通信事業も展開しています。
- 同社の予想配当利回りは6.55%と高水準を維持しているが、EBITDA有利子負債倍率が4.46倍で財務リスクが高まっており、配当成長は控えめになる可能性があります。
- 一方で、同社の2024年第3四半期決算ではEPSが前年同期比で減少しているが、長期的には安定した成長が見込まれています。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:適正価格並み
リスクレベル:中リスク
セクター:情報通信
現在の株価:41ドル
時価総額:1,741億9,000万ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:39.88ドル
安全余裕率(マージン):-3.75%
過去5年間の配当成長率:2.00%
前回配当落ち日:2024年10月10日
次回配当支払い日:2024年11月1日
予想配当利回り:6.55%
過去5年間の売上高成長率:0.40%
過去10年間の売上高成長率:-1.10%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ:予想配当利回り6.55%・配当性向58%・1株当たり配当金0.6775ドル)は、アメリカ最大の無線通信キャリアであり、ニューヨーク州マンハッタンに本社を構えています。
同社は、アメリカ国内で9,300万件の後払い電話契約者と2,000万件のプリペイド契約者を抱え、無線サービスが総収益の約70%を占めています。
また、固定通信事業も展開しており、北東部のローカルネットワークを通じて約3,000万件の家庭や企業にサービスを提供しています。
このように、同社は全米規模で企業向け通信サービスも展開し、自社および他キャリアのネットワークを利用した幅広いサービスを提供しています。
同社のユニークな特徴の一つは、その全国規模のネットワーク運用能力と、固定通信から無線通信に至る幅広い通信インフラの所有です。
これにより、法人・個人顧客の多様なニーズに応えることが可能となっています。
さらに、2024年9月には、Frontier Communicationsを買収することで、さらなる成長を図っています。
財務面では、同社の予想配当利回りは6.55%と高水準であり、特に安定的な配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的です。
総じて、ベライゾン・コミュニケーションズは強固なネットワーク基盤と多角的な通信サービスを強みに、競争の激しい通信業界で安定した収益を確保しています。
配当株としても魅力があり、企業買収を通じたさらなる成長も期待されています。
そして、同社は2024年10月22日に2024年第3四半期決算を発表しています。
また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
私のバリュー株や配当株に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の2024年10月22日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは1.19ドルを記録し、前四半期の1.15ドルからわずかに増加しましたが、前年同期の1.22ドルからは減少しました。
また、希薄化後のEPSは0.78ドルで、前四半期および前年同期の1.09ドルから大幅に減少しました。
さらに、1株あたりの売上高は、前四半期の7.77ドルから7.889ドルに増加しましたが、前年同期の7.907ドルと比較してわずかに減少しました。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は1.00 %と控えめな成長を示している一方で、過去10年間の年平均成長率は5.20 %となっており、足元では成長がやや減速していることが分かります。
ただし、業界の成長予測では、今後10年間で年平均2~3%の安定した成長が見込まれている点は同社にとってポジティブな内容と言えるでしょう。
そして、同社の当四半期の粗利益率は59.95%で、過去5年中央値である58.50%に近い一方で、10年最高値である60.71%をわずかに下回っています。
また、同社は自社株の買い戻しには積極的ではなく、過去1年間の自社株買い比率は-0.10%で、発行済株式数が若干増加していることを示しています。
過去10年間の自社株買い比率も-1.90%で、長期的にも発行済み株式数が増加していることがわかります。
今後の予測では、市場のアナリストは、同社の次年度のEPSは4.157ドル、翌年は4.642ドルに達し、さらに、売上高は堅調に成長し、2026年には1,392億5,444万ドルに達すると予想しています。
ベライゾン・コミュニケーションズの次の決算発表は2025年1月23日であり、同社の今後の業績や戦略についてさらなる情報が得られるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の財務パフォーマンスに関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社は、ROICがWACCを一貫して上回っており、経済的価値を創出する能力が高いことを示しています。
過去5年間のROICの中央値は7.95%で、WACCは3.73%となっており、この正のスプレッド(差)は、同社が投資資本から効率的に利益を生み出し、資本コストを上回る収益を上げていることを示しています。
また、過去10年間のROICの中央値は8.24%である一方で、WACCは4.01%となっており、さらに長期的な観点からも、一貫して資本を効果的に運用し、株主価値を向上させてきたことがわかります。
ただし、最近ではROICが5.17%、WACCが4.60%で、依然として価値を創出していますが、そのスプレッドは狭まっている点には注意が必要でしょう。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の配当に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、過去5年および3年の配当成長率が2%と、控えめながらも安定した成長を示しています。
一方で、直近の四半期では、1株あたりの配当が0.665ドルから0.6775ドルにわずかに増加し、厳しい財務状況の中でも株主還元に対する姿勢を示しています。
そして、足元の予想配当利回りは6.55%と、過去の中央値4.62%に比べて高く、投資家にとっては魅力的な配当支払いを通じた収益機会を提供しています。
ただし、この高い予想配当利回りは、株価の低迷に一因があり、配当性向は58%と比較的高めです(過去には100%を超えたこともありました)。
また、同社のEBITDA有利子負債倍率は4.46倍で、一般的に注意が必要とされる4.0倍を上回っており、財務リスクが高まっていることを示しています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされており、この高いレバレッジは、将来的な配当増加を抑制する可能性があります。
一方で、市場では、同社の今後3~5年の配当成長率は1.85%と予想されています。
直近の配当落ち日は2024年10月10日で、次の配当落ち日は2025年1月9日になる見込みです。
総じて、ベライゾン・コミュニケーションズは高い利回りを提供していますが、財務状況の影響で配当の成長は控えめになる可能性がある点には注意が必要でしょう。
予想配当利回り:6.55%
配当性向:58%
配当カバレッジ・レシオ:0.87倍
過去5年間の配当成長率:2.00%
EBITDA有利子負債倍率:4.46倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
・インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!
・50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!
・最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のバリュエーションに関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の現在の株価は41.83ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である39.88ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-3.76%となっていることから、やや割高である可能性が示唆されています。
一方で、予想PERは8.78倍で、直近過去12ヶ月の実績ベースのPERである17.84倍よりも大幅に低く、今後の利益成長が見込まれているか、市場でのバリュエーションが修正される可能性を示唆しているようにも見えます。
ただし、直近過去12カ月間の実績ベースのPERは6.18倍から21.18倍の範囲で推移しており、中央値は12.62であることからも、現在のPERはこの中央値よりもやや高めにあることが分かります。
また、直近過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA比率は8.78倍で、過去10年間の中央値である8.00倍に近く、企業価値と利益のバランスを踏まえた場合には適正なバリュエーションとなっているようにも見えます。
さらに、PBRは1.81倍で、過去の中央値である4.05倍よりも低く、過小評価されている可能性を示唆しています。
しかし、業界全体の調整や会社固有の問題が反映されている可能性もある点には注意が必要でしょう。
加えて、株価フリー・キャッシュフロー倍率は12.64倍で、過去10年の中央値である14.63倍を下回っており、フリー・キャッシュフローの観点から見ても適正なバリュエーションであるように見えます。
そして、市場のアナリストによる目標株価は最近わずかに上昇し、現在の平均は46.57ドルで、現在の株価よりも高い水準にあります。
これにより、上昇の可能性が示唆されますが、安全余裕率が限られていることからも、同社への投資判断には身長さが求められるでしょう。
全体として、ベライゾン・コミュニケーションズのいくつかのバリュエーション指標は過小評価を示していますが、安全余裕率が低いことから、慎重なアプローチが必要でしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
・PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!
・PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!
・PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!
・株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のリスクとリターンに関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、株価は過去2年間の高値圏にあり、現在のバリュエーション指標を考慮すると、さらなる上昇余地が限られている可能性があります。
特に、売上高の成長が鈍化する中で、株価売上高倍率(PSR)が過去のピークに近づいており、株価が過大評価されている可能性があります。
また、予想配当利回りが過去2年の最低水準に近づいているため、配当収入を重視するインカム投資家にとっての魅力が低下している可能性もあります。
さらに、アルトマンのZスコアが1.16で、財務的な困難に陥るリスクが高まっていることを示しています。
ただし、営業利益率が改善していることは、収益成長の課題に対する一つのクッションとなり得ます。
営業利益率の拡大は、効率性の向上とコスト管理の改善を示しており、将来的な利益向上の可能性を示唆しています。
また、ベニッシュのMスコアが-2.66で、利益操作の可能性は低いことが示されており、財務報告の信頼性が保たれています。
全体として、運営面ではポジティブな要素もありますが、財務的なリスクやバリュエーション面での懸念を踏まえ、慎重なアプローチが求められます。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去12ヶ月間で、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の役員や管理職等のインサイダーによる同社株式の売却は4件確認されているが、買い付けは一切確認されていません。
これは、インサイダーが自社株に対して強い買い意欲を持っていないことを示しています。
さらに、過去3ヶ月および過去6ヶ月間のスパンで見てみると、買い付けと売却ともに、一切取引が行われていなことが確認出来ます。
また、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.06%と非常に低い一方で、プロも機関投資家による保有比率が62.96%を占めています。
このことかも、プロの大手金融機関が同社株を大きく保有していることがわかります。
そして、これは、プロの投資家が同社の長期的なパフォーマンスに対して信頼を寄せていることを示唆しています。
インサイダーが自社株を積極的に買い増していないことは、同社従業員間で株価の大幅な上昇が期待されていない可能性を示していますが、市場全体の状況や会社特有の動向も考慮する必要があるでしょう。
全体的に、インサイダーは慎重ながらも安定した姿勢を維持している一方で、プロの機関投資家が株価に強い影響を与えていることが伺えます。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の流動性に関して
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の流動性分析では、直近営業日の出来高は19,692,042株で、過去2ヶ月間の平均出来高である19,066,450株をわずかに上回っており、投資家からの関心が安定していることを示しています。
これにより、取引が株価に大きな影響を与えずに円滑に行われていることが確認できます。
また、同社のダークプール指数(DPI)は41.12%で、取引の適度な割合が取引所外で行われており、市場の感情はバランスが取れていると考えられます。
全体的に見て、ベライゾン・コミュニケーションズの流動性は安定しており、取引環境も良好で、プロの機関投資家や個人投資家の両方にとって信頼性の高い取引条件が整っているように見えます。
さらに、その他のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ベライゾン・コミュニケーションズのページにアクセスしていただければと思います。
また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
私のバリュー株や配当株に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。
弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら