04/26/2025

ベライゾン(VZ)の株価下落理由とは?最新の2025年第1四半期決算分析を通じて将来性に迫る!

the verizon logo is displayed on an iphoneイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場高配当株である「ベライゾン(VZ:予想配当利回り6.49%・配当性向58%・1株当たり配当金0.6775ドル)の株価下落理由とは?」という疑問に答えるべく、2025年4月22日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ベライゾンは、米国最大級の通信企業であり、無線サービスを中心に安定した収益基盤を持ち、予想配当利回り6.49%という魅力的な水準を維持しています。
  • 2025年第1四半期決算では、前年同期比でEPSが改善し、ROICがWACCを上回るなど、堅実な財務パフォーマンスと資本効率の高さを示しています。
  • 株価は本源的価値をやや上回っているものの、過去平均と比較してバリュエーション指標は割安圏にあり、特に安定したインカムゲインを重視する投資家にとって依然魅力的な銘柄であるように見えます。

ベライゾン(VZ)の概要


セクター:情報通信

現在の株価:41ドル

時価総額:1,767ドル

過去5年間の配当成長率:2.00%

前回配当落ち日:2025年4月10日

次回配当支払い日:2025年5月1日

予想配当利回り:6.49%

過去5年間の売上高成長率:0.30%

過去10年間の売上高成長率:0.20%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ベライゾン(VZ:予想配当利回り6.49・配当性向58%・1株当たり配当金0.6775ドル)は、米国ニューヨーク州に本社を構える大手通信企業です。全米規模のワイヤレスネットワークを有し、ポストペイドおよびプリペイド契約者向けに幅広いサービスを提供するほか、固定回線事業でも光ファイバーネットワーク「Fios」を中心に事業を展開しています。特に、無線通信サービスは同社の総サービス収益の約75%を占め、収益と利益の主要源となっています。また、企業向け通信サービスも提供しており、自社と他社ネットワークを組み合わせた柔軟なソリューションを展開している点がユニークな特徴です。

配当面では、現在の予想配当利回りは約6.5%と、通信セクター内でも魅力的な水準にあり、配当性向は58%と比較的健全です。過去5年の配当成長率は2%と緩やかですが、今後も安定した配当支払いが期待されます。安定したキャッシュフローと高い機関投資家比率を背景に、ベライゾンはインカムゲインを重視する投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

そして、同社は2025422日に2025年第1四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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ベライゾン(VZ)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して

ベライゾン(VZ)は、2025422日に発表された最新の2025年度第1四半期決算において、

非経常項目(NRI)を除いた1株当たり利益(EPS)は1.19ドルとなり、2024年第3四半期と同水準であり、2024年第4四半期の1.10ドルから増加しました。2024年第1四半期の1.07ドルと比較すると、前年同期比(YoY)での改善が見られます。希薄化後EPSは1.15ドルで、前四半期の1.18ドルからわずかに減少しました。1株当たり売上高は7.924ドルとなり、2024年第4四半期の8.437ドルからは減少したものの、前年同期と比較してわずかに増加しました。

一方で、非経常項目(NRI)除外後のEPSにおける同社の5年間の年平均成長率(CAGR)は-1.40%であり、10年間では2.50%となっています。また、今期のグロスマージン(売上総利益率)は59.88%で、5年間の中央値である59.03%をわずかに上回り、過去10年間の最高水準である60.09%に近い水準となっています。

加えて、過去1年間において、ベライゾンは大規模な自社株買いを積極的には行っていません。過去1年間の自社株買い比率は-0.20%となっており、これは同社が新たに発行した株式数が買い戻した株式数を上回ったことを示しています。このことにより、発行済株式数がわずかに増加し、EPS成長に影響を及ぼす可能性があります。

今後の見通しとして、市場のアナリストは2025年度のベライゾンの売上高が1,370億ドルに達し、2027年には1,420億ドルまで徐々に増加すると予想しています。2025年度における予想EPSは4.618ドルであり、翌年には4.820ドルまでさらに上昇すると見込まれています。通信業界全体は、今後10年間で年間約3%の成長が見込まれており、これはベライゾンにとって安定した成長基盤を提供するものとなります。

次回の決算発表は2025年7月21日に予定されており、同社の業績や今後の戦略についてさらなる情報が明らかになる見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ベライゾン(VZ)の財務パフォーマンスに関して

ベライゾン(VZの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、資本配分および経済的価値創出に関して、きめ細やかな財務パフォーマンスを示しています。同社のROICは、過去5年間の中央値で6.56%、現在のROICは5.96%となっています。一方、WACCは、過去5年間の中央値が3.73%、現在の水準が5.00%です。これらの数値を比較すると、ベライゾンのROICは一貫してWACCを上回っており、同社が正の経済価値を創出していることを示唆しています。

ROICとWACCの差分は、同社が投下資本を効果的に活用しており、事業運営や投資に必要な資本コストを上回るリターンを生み出していることを意味します。さらに、自己資本利益率(ROE)は18.27%に達しており、WACCを大きく上回っています。これは、レバレッジの効果的な活用と、株主資本に対する高い収益性を裏付けるものです。

総じて、ベライゾンは市場環境の変動にもかかわらず、ROICがWACCを上回る水準を維持していることから、価値創出能力と資本配分の効率性に優れていることがうかがえます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ベライゾン(VZ)の配当に関して

ベライゾン(VZ)の配当実績は安定しており、緩やかな成長軌道を維持しています。過去5年間の配当成長率は2.00%であり、直近3年間ではわずかに低下して1.90%となっています。現在、同社の予想配当利回りは6.49%であり、通信セクターの一般的な利回りレンジと比較しても魅力的な水準にあります。

現在の配当性向は58.0%であり、同社の利益水準を踏まえると持続可能な配当方針であることがうかがえます。EBITDA有利子負債倍率は3.49で、適度な範囲内に収まっており、ベライゾンは相応の負債を抱えてはいるものの、業界標準の範囲内で管理可能な水準を維持しているといえます。この指標は、同社が債務返済能力を十分に有していることを示す一方で、引き続きレバレッジ水準の監視が必要であることも示唆しています。

今後の見通しとして、今後3〜5年間の予想配当成長率は1.74%とされており、現在の緩やかな成長トレンドが続くと見込まれます。前回の権利落ち日が2025年4月10日であり、四半期ごとの配当支払いを継続していることを踏まえると、次回の権利落ち日は2025年7月10日になると予想されます(配当方針に変更がない場合)。

予想配当利回り6.49%

配当性向:58%

配当カバレッジ・レシオ:1.56倍

過去5年間の配当成長率: 2.00%

EBITDA有利子負債倍率:3.49倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ベライゾン(VZ)のバリュエーションに関して

ベライゾン(VZの現在の株価は41.91ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である39.84ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-5.2%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

一方で、同社の直近12か月(TTM)の株価収益率(PER)は9.98であり、過去10年間の中央値である12.52を下回っていることから、過去の水準と比較して割安である可能性が示唆されています。一方で、予想PERは8.94となっており、今後の収益成長または安定が見込まれていることを示しています。

直近12か月の株価売上高倍率(PSR)は1.3であり、過去10年の中央値である1.60よりも低く、10年の最低水準である0.96に近い水準にあります。これも売上高に対する割安感を強める要素となっています。また、直近12か月のEV/EBITDA倍率は7.23であり、10年中央値の7.96を下回っていますが、過去最低水準である5.85は上回っており、EBITDAに基づく評価としては混合的な印象となっています。

また、直近12か月の株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF比率)は8.76で、過去10年の最低水準である8.44に近づいており、キャッシュフローに基づく評価では割安感があると考えられます。直近12か月の株価純資産倍率(PBR)は1.75であり、過去10年の中央値である3.90を大きく下回っており、純資産に基づく評価でも魅力的な水準にあるといえます。

さらに、市場のアナリストのセンチメントはやや前向きであり、目標株価の平均値はここ数か月でわずかに上昇し、47.53ドルとなっています。これは現在の株価から約13.4%の上昇余地があることを示しています。現在の株価は本源的価値を若干上回っているものの、歴史的な平均と比較して各種バリュエーション指標が低いことから、特に業績が市場の期待に沿った場合には、株価上昇の余地があるようにも見えます。

ただし、安全余裕率がマイナスであるため、下値リスクに対する保護が限定的である点には注意が必要でしょう。

総じて、同社は本源的価値を上回る価格で取引されていますが、穏やかな成長期待のもとで安定したリターンを求めるバリュー投資家にとっては依然として魅力的な銘柄となる可能性があります。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ベライゾン(VZ)のリスクとリターンに関して

ベライゾン(VZのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

過去3か月間において、同社ではインサイダーによる株式売却が80,675株発生している一方で、インサイダーによる購入は一切行われておらず、これは会社内部にいる者たちの信頼感の欠如を示唆している可能性があります。過去5年間における営業利益率の平均年率-1.9%の低下も懸念材料であり、売上高を利益に変換する能力が低下していることを示しています。

さらに、現在の株価純資産倍率(PBR)および株価売上高倍率(PSR)は過去2年間の最高水準に近づいており、現時点の株価が割高である可能性も示唆されています。また、アルトマンのZスコアは1.27となっており、「ディストレスゾーン(財務危機ゾーン)」に該当しています。

一方で、ポジティブな要素として、ベライゾンのピオトロスキーのFスコアは7であり、財務状態が健全であり、効率的な財務管理が行われていることを示しています。加えて、ベニッシュのMスコアは-2.7であり、-1.78を大きく下回っているため、財務操作が行われている可能性は低いと考えられます。

しかしながら、予想配当利回りが過去2年間の最低水準に近づいていることは、インカム重視の投資家にとって魅力を欠く要因となるかもしれません。

総じて、一定の強みは存在するものの、特にアルトマンのZスコアに示された財務リスクを踏まえると、潜在的な投資家にとって慎重な検討が必要であると言えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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ベライゾン(VZ)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるベライゾン(VZ)のインサイダー取引活動は一貫した傾向を示しており、3か月、6か月、12か月の各期間においてインサイダーによる株式購入は一度も行われず、インサイダーによる売却が8件記録されています。この傾向は、取締役や経営陣を含む社内関係者が株式を取得するのではなく、売却していることを示しています。

このような動きは、インサイダーが同社の短期的な業績や株価に対して自信を持っていない可能性を示唆していると考えられます。

ただし、インサイダーの保有比率は0.07%と非常に低く、他の多くの企業と比較しても低水準であり、株主利益との利害一致が相対的に弱い可能性があります。

一方で、プロの機関投資家の保有比率は64.70%と非常に高く、これは一般的に同社の長期的な見通しに対する機関投資家の信頼を反映していると考えられます。

総じて、インサイダーによる売却活動は注目すべき点ではありますが、高い機関投資家比率を踏まえると、ベライゾンの戦略的方向性や市場でのポジションに対して、大手金融機関の間では一定の信頼が維持されているとみることもできます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ベライゾン(VZ)の流動性に関して

ベライゾン(VZ)は、過去2か月間の1日平均取引量が約27,998,727株に達しており、堅固な流動性プロファイルを示しています。これは、流動性が非常に高く、大口取引でも比較的容易に売買できる銘柄であることを意味しています。また、直近営業日の取引量は23,306,667株となっており、2か月間の平均をやや下回っているものの、依然として強い投資家の関心と活発な取引活動が見られます。

また、ベライゾンのダークプール指数(DPI)は56.27%と報告されています。これは、取引活動の大部分が非公開市場(ダークプール)で行われていることを示しており、通常、DPIが50%を超える場合は、機関投資家が積極的に売買していることを意味します。こうした取引は一般市場には見えにくいため、洗練された投資家による戦略的な買いまたは売りが行われている兆候と考えられます。

総じて、ベライゾンの取引および流動性指標は、安定した市場での存在感と積極的な機関投資家の関与を示しています。このような高い流動性により、リテール投資家・機関投資家を問わず、ポジションの出入りが大きな価格変動を引き起こすことなく行えるため、同社株は引き続き魅力的な投資対象となっているように見えます。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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