やや強気ウォルマートすべて表示ウォルマート / WMT / 予想配当利回り1.4% / 強気:連続増配の小売配当銘柄の株価分析と今後の見通し(後編)
ヴェンカット・ ラガーヴァン- ディスカウントやロイヤリティを重視する大型小売企業は、経済的な難局を乗り切ることができことから、長期的な投資にも適していると考える。
- 本稿では、世界最大の雇用主であり、世界中に実店舗とeコマースを展開するウォルマート(WMT:予想配当利回り1.4%)を取り上げたい。
- 同社は50年に渡り毎年配当金を増やし続けており、魅力的なインカムゲイン(高配当)の機会を提供していると見ている。
※「コストコ / COST / 予想配当利回り2.4% / 強気:連続増配の小売配当銘柄の株価分析と今後の見通し(前編)」の続き
はじめに
前回は、会員制ビジネスモデルで消費者に支持されているコストコ(COST)を取り上げた。
本日は、急成長するダイナミックなeコマース・エコシステムと、小規模ながら成長を続ける会員制モデルを持つ、世界最大級の実店舗型小売企業であるウォルマートを取り上げたい。
ウォルマート(WMT:年間予想配当利回り1.4%)
1962年、サム・ウォルトンは日常的な低価格をモットーにウォルマート(WMT)を設立し、以来、食料品から衣料品、電化製品に至るまで、あらゆるものを低価格で提供するウォルマートの店舗に消費者が集まっている。
大金融危機(the Great Financial Crisis)の間でさえも、ウォルマートはその価格設定力と不況に強いビジネス・モデルにより、収入、売上、フリー・キャッシュ・フローが増加していた。
現在、ウォルマートは20カ国で11,000の店舗とクラブを運営し、ウォルマートUS、ウォルマート・インターナショナル、サムズクラブの3つの報告セグメントを持っている。
ウォルマートの会計年度は1月31日で、2023年度の売上高は6,113億ドルであった。
ウォルマートは世界最大の雇用主でもあり、全世界で約210万人の従業員を抱えている(米国で160万人、海外で50万人)。
米国ではアソシエイトの93%が時間給従業員で、70%が正社員である。
2024年度第3四半期のウォルマートの売上高は1,608億ドル(前年同期比5.2%増)で、通期では引き続き前年同期比5~5.5%の増収を見込んでいる。
特筆すべきは、売上総利益率が24%に改善したことである。
ウォルマートの通期EPSガイダンスは一株当たり6.4~6.48ドルで、株価のフォワードPERは24.4倍と、3年平均より若干プレミアムとなっている。
ウォルマートはeコマース事業が好調で、第3四半期は売上高の15%を占めている。
会員制ビジネスモデルでコストコと直接競合するサムスクラブ・ウェアハウス(倉庫型店舗)に加え、同社は新規に、顧客ロイヤルティを促進する魅力的な特典を提供するウォルマート+会員プログラムも展開している。
そして、同社は、2024年度の最初の9ヶ月間に40億ドル以上の会員収入を計上することに成功した。
同社は1974年3月以来、配当金を増やしながら株主に優しい経営を維持してきた背景がある。
ウォルマートは、足元、50回目の増配を行い、1株当たり2.28ドルとし、配当王(Dividend King)クラブ入りも果たしている。
現在の配当利回りは年率1.4%で、配当性向35%という控えめなものであることから、十分な成長余地があることを示している。
2024年度の9ヶ月間で、ウォルマートは135億ドルのフリーキャッシュフローを生み出し、配当として45億ドルを分配し、13億ドルを自社株買いに充てている。
実際に、ウォルマートは第3四半期中、0.7億株を1.11億ドルで買い戻した。
そして、更に同社は、成長機会やその他のイニシアティブに投資するための健全な金額を残している。
(出典:2024年度第3四半期の投資家向けプレゼンテーション)
堅調なフリー・キャッシュ・フローと優れた収益性の指標により、ウォルマートは配当王として成功するだけでなく、持続的な収益拡大を約束する企業として確固たる地位を築いていると考える。
そして、ウォルマートの世界の消費者の日常生活における幅広いリーチと比類なき影響力は、同社の永続的な配当成長シナリオを支える重要なファクターであると見ている。